9月にV7からFO-29およびEMEにQRVされたJH3QFL 畑さんのグループの運用記を頂きました。AO-40では運用記録がなく、1997年V73AQ、1995年JA1WPX下市さんのV73WP、AO-10/-13の時代1992年頃のV73BQ、V73ATなどのQRV以来で、およそ18年ぶりと思われます。サテライトペディション/サテライトDXの時代を取り戻したいものです!(Ed.)
JH3DJX/ヒラタ さんからの訂正情報です
V7からのSATの運用ですが、2002年7月にJF1OCQ/三宅さんがV73Xのコールサインで、RS-12/13のTモードでQRVされておられ、当局含めて数局がQSO出来ております。ですので、13年振りのQRVになろうかと思われます。
ヒラタさん、訂正情報有り難うございました。 (JH3BUM)
V7でのサテライト通信FO-29 初心者の挑戦V73A/JH3QFL畑 多喜男 |
写真1 ナガラ電子工業に製作してもらった移動用アンテナ |
昨年10月のV6ペディションで、サテライト通信を依頼されていましたが、準備が間に合わず断念。「今年のV7では是非とも・・」との声に応える意味からも、チャレンジすることにしました。 しかし、サテライトは、ハム暦45年の中で初めての挑戦。どんな準備が必要なのか、そもそもサテライト通信は実際、どのように行うのかもさっぱり分からず、白紙の状態からのスタートでした。 そこで、JAMSATの石原さん(JH3BUM)に、イチから教えてもらうことにしました。 まずは、CALSAT32で軌道とパスを確認しながらFO-29のビーコン受信から練習を始め、ループテス ト、ダウンリンクの受信など、初歩的なことを積み重ね、実際の交信ができたのは、V7出発1週間前でした。交信の要領が少し分かったばかりのV7ぺディでしたので、実際に交信ができるかどうか、心もとない状態でした。アンテナの特注 海外ぺディでまず、考えなければならないのは、飛行機に持ち込む荷物の量と重量です。これまでの経験から、制限寸法や重量をオーバーすると高額な預かり料金を支払わなければならず、コンパクト化を考えました。その手始めはアンテナです。当初は144Mhz、430MhzともナガラのQFHアンテナを使うことを考えていました。アンテナを回す必要がなく、スーツケースにも収まり、軽量で扱いやという理由からでした。 現地でも大丈夫だろうと考えていました。ところが、石原さんに日本とのパスをシミュレーションしてもらうと、最も好条件のパスで高度60度を超えるものもありましたが、ほとんどが30度以下で、中には10度もないケースもありました。このため、QFHアンテナでは、交信可能のパスが限られると思い、ビームアンテナを持っていくことにしました。再現性を重視してナガラ電子工業に製作を依頼し、できるだけコンパクトでそこそこの性能が期待できるアンテナをお願いし、144Mhz3ele、430Mhz5eleを1本のブームに直角に交差させたサ テライト用の特注アンテナを持っていくことにしました。 受信にはプリアンプを使いましたが、ビームが切れ過ぎず、必要なフロントゲインも得られるという移動には大変、都合のいいアンテナで、満足いく性能が確保できました。 次に考えたのが、どのようにして衛星を追尾するかです。石原さんに作成していただいたJA−V7ウインドウのシミュレーションで、JAとのパスの方向は西から北北西の低角度が多く、交信可能時間が長くて10分ほどでしたので、同行した眞田さん(V73H/JJ3CIG)に衛星に向けてアンテナを回してもらう、いわば人間ローテーターをお願いし、連絡を取りながら、追尾しました。 最後に残った課題は、オペレートのスキルです。これだけは、急には備わりませんので、一生懸命やるしかありません。 出発前に経験はしておいたものの、実際にループテストができないと安心できません。これが、不慣れなこともあってすばやく確認することができず、戸惑っていると衛星が進んでしまうという、ストレスに追い込まれながらも、何とかJAのダウンリンクを見つけ、交信に成功。 最初は、アップリンク周波数を固定にしたCWに出て、3局と交信できました。おそらくCQを何回も出していましたので、多くの局に呼ばれていたのではないかと思います。ドップラー効果でダウンリンクの周波数が移動することは、サテライトをする上での常識として知ってはいましたが、JAとV7との遠く離れた距離では、こちらのダウンリンクとの周波数に少し、ズレがあることに気づくのが遅く、私のダウンリンクに合わせて呼んでもらっていたJAの局とは、あまり交信できなかったのではないかと反省しています。結局、6回のパスに挑戦し、CW16局、SSB局2局の成果でした。 来年のV6の課題 CWの送信には、ノートPCを使いましたが、一回で相手コールを取って打ち返す際に、わずかなタイムラグが生じ、数分間の限られた短い時間内で1局でも多くの局と交信するには、PCを使わずパドルの手打ちにし、手書きログにした方が効率的で多くの局をピックアップできるのではないかと思いました。私のタイピング操作が今以上に素早くなれば、その必要はないかもしれませんが・・・。 呼んでもらっている相手コールを効率よく取るには、さらに実践でのトレーニングが必要で、HFのパイルをさばく場合とはまた違う、ダウンリンクを追いかけながらの受信する能力を鍛える必要があることを痛感しました。
来年はV6からのサテライト運用を計画しています。今回よりは、さらにスキルアップしたいと思います。
写真2 V7で使ったサテライト用アンテナ |
写真3 V7のホテルのプールサイドに設置したアンテナ群
写真4 海に囲まれたV7のホテル ドローンで撮影
V73EME運用記JH3AZC 早苗惠造 (jh3azc@jarl.com)
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年初にJH3QFL畑氏と話合い、今年はV7で2mEMEをやろうという事になりました。今回はいかにしてアンテナ一式を手荷持として飛行機に乗せるかというのが最大の問題点でした。考察の結果、クリエートデザインの11エレスタックが比較的軽量でブームさえ4分割してしまえばなんとかゴルフバッグに詰め込める事が分かったので迷わず切断しバッグに収めました。リニアアンプはITALAB社のPhoenix1000Aを採用。電源仕様を100Vでも対応できるように変更してエキサイター5W入力で900W出力@100Vが得られました。重量は7kgです。また、これによりエキサイターにFT-817を選択でき、昨年と比べてリグだけで合計6kgの軽量化に成功です。方位・仰角ローテーターと10DFB26mをいれて総重量70kgを手荷物4個に分割し収納。重量の95%以上が無線関係の荷持です。これでうまく行けば、もうどこででも2mEMEは運用可能になり、今後の活動の大きな一歩となります。
写真5 EU向けにはベストの位置に設置した海上EMEアンテナ(潮が満ちると床下は完全に海) |
9月24日朝からアンテナ設営開始。
0630zから垂直偏波で運用を始めました。Wのwindowなのですが、まったく何も見えてきません。不安の塊です。アンテナの方向を確認するため往復60mの距離を何度もダッシュ。1016z、JAのwindowに入ってすぐにJR3REX/坪井氏の信号を-21dbで捉える事ができ、V7からの1st everの交信に成功!この瞬間というのは実に嬉しいものです。その後、JE1TNL/東野氏、VK2局ともできましたが、その後15zの月の入りまで呼べども結局何も見えず初日は終了。
9月25日第2日目、0600zに月が30度まで昇りホテルの屋根から顔を覗かせたので運用開始。0620zにK9MRIを-29dbで捕捉、その後US3局、HS1局、JA2局、R2局と交信成立。この日はEUとのwindowは開かないので、まあこんなところかと自分を納得させて月の入りとともに終了。
9月26日第3日目、この日は結局W5UNのみ。なんかおかしい。呼んでくれている信号は見えるのに応答が無い。Something wrongとチャットで打ったら沢山のUS/EUの局からあれを調べろ、これを調べろと提案をもらいました。この日は何もできないので月の入りとともにとりあえず就寝する事にしました。
9月27日、第4日目、昼からアンテナ総点検。
V6での成功体験から水平偏波に変更しPhaseの方向を確認すべく給電部の蓋を取ったら前日の雨水が溜まっていて、中は洪水状態。はは~ん。これが原因かと勝手に納得。これで完璧だ。いざ出陣と思ったら、月の出と共に嵐です。屋根しかないシャックなので風や雨が横から殴りつけてくる始末。一時部屋へ避難して嵐が治まるのを待ち1200zから運用開始。やっとレスポンスの良い信号のやり取りができるようになりました。この日は月の入りまでの30分程度EUが開ける時間帯となってきておりEUが開けた途端、猛パイルを浴び合計23局と交信成立。まずは一安心。
9月28日最終日でフライトの時間も迫っており、運用は1800zで撤収とアナウンス。
昨日同様順調に1時間程EUからの猛パイルを浴び29局と交信成立。後ろ髪を引かれながらの早朝の撤収となりました。 EUからは地球のちょうど反対側であるため、windowが狭く、十分なサービスができなかったのが残念。まだまだ交信を希望している局がたくさんいるため、近い将来V7で再挑戦したいと考えています。なお、アンテナ設置状況をYouTubeにUPしましたのでご覧ください。( https://www.youtube.com/watch?v=Ttco8QVxuCk )
写真6 プールサイドに設置した完全にOPENなEME専用シャック(毎晩徹夜で風雨に耐えていました) |