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[jamsat-bb:7074] Re: AO-40の光ビーコンについて


武田さん、皆様、

けっこうコメントがつきますね。

>  835nmであれば、普通の光学ガラスでも十分な透過率があったと
> 思います(明日職場のファイルで確認します。)。

確かに透過率だけを論じれば、普通の光学ガラスでも大丈夫
です。身近な例でいうと、オートフォーカス・カメラの合焦に赤外線
が使用されることがありますので。

しかし、光学ガラス(とその周辺)が発生するサーマル・ノイズが、
微弱な赤外線の検出では問題になります。サーマル・ノイズ、
透過損失、そして入射光でのS/N問題です。

> ただ、集光力のコストパフォーマンスから言ったらやっぱり反射式でしょう。
> よく見かけるアルミ蒸着はこの辺の波長の反射率が悪く、金か銀がよかったと
> 記憶しています。

金だと思います。

>  レーザーの輝度は非常に高いので、確認するだけならば、
> CCDカメラでもできるのでは?との淡い期待をもっています。

AO-40のレーザービームは、地上では1000kmにわたって
広がっており、受信電力は10フォトン(光子)/ビット、約10の
マイナス15乗[ワット]とのことです。

アマチュア天文用の冷却CCDカメラで、CCDが飽和する光子量
は約440,000(少し古いタイプのST-6)くらい。これを16ビットで
A/D変換すると、6.7フォトンの分解能があります。CCDの量子
効率は50%くらいですから、約13フォトンの入射光があれば、
判別できることになります。ただし、CCDのサーマル・ノイズも
ありますので、16ビット中の1ビットをそのまま判別はできません。
したがって、積分が必要です。

AO-40のレーザービームを1秒間積分すると、400*10で4,000
フォトン蓄積されることになります。一方、サーマル・ノイズも
蓄積されるのですが、こちらは、1秒間で100*6.7で670フォトン。
従い、4,000対670のS/Nで検出可能。めでたし、めでたし。

> ただし、カラー用のカメラには赤外カットフィルターがついていますので
> 白黒用でないとだめかも知れません。

カラー、白黒にかかわらず、CCD(正確には、CCDのフォトダイオード)
には赤外線領域でも十分な感度がありますので、ブルーミング
防止のため赤外カットフィルタが一般的には装着されています。
一部の市販の監視カメラでは、夜間用として赤外カットフィルタ
が装着されていないものがあるようで、アマチュア天文家が
利用しているようです。

ただ、上記の検証のように蓄積が不可欠だと思いますので、
普通のビデオカメラ(1/60秒シャッタ)では検出できないでしょう。
また、上記の検証は検出のみであり、復調するにはCCD
ではなく、単体のフォトダイオード(アバランシュ型)と復調回路が
必要でしょう。

> 私は実験で扱っている赤外レーザーのビーム確認(保安のため)に
> 市販のCCDカメラ(カラー用)を使っています。

私も、ノートPCの赤外線ポートの実験に、CCDカメラを
昨日使いました。確かに、これは非常に便利ですね。
対向する赤外線LANアダプタが発光していないのに
カメラで気づいて、それからオシロを取り出して回路を
調べた次第です。

長文で失礼しました。いずれにしても、検出だけはアマチュア
天文家レベルで可能のようです。

武安
ja6xkq@jamsat.or.jp