[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[jamsat-bb:6703] Re: 初QSO成功 SO−35


JF6BCC 今石です。

At 2000/12/16 16:03:38 Yasuo Mikashima wrote:
> きょう、SO−35での初QSOに成功しました。
> 相手はKH0XX、SO−35は初めて聞いたのですが、UO−14に
> 比べて返りの信号も強力で感動しました。

  はい、聞こえてましたね。

> ところで、誠に初歩的な質問で申し訳ないのですが、FM衛星のアップリンク
> の周波数は「固定」なのでしょうか。?

  固定ではありませんが、FM モードの特徴から、SSB/CW のアナログ衛星
とは違った考え方が必要です。FM 衛星はアナログ衛生の一種ですが、周
波数についてはデジタル衛星の考え方と同じになります。

  SSB/CW のトランスポンダーとは異なり、FM 衛星は、受信した信号を一
旦音声に復調して、それを送信機に入れて再送信してきます(地上のレピ
ータと同じです)。ですから、AO-13 や FO-29 などと違って、送信と受
信の周波数には相関関係はありません。送信周波数を動かしたところで、
受信周波数は変わらないのです。
  衛星側は、ある特定の周波数を聞いています。アップリンクする地上側
は、電波が衛星側に届いた時点でその周波数になるよう、ドプラーシフト
を考慮して送信周波数を変えてやる必要があります。また、衛星はある特
定の周波数で再送信してきますので、それが地上側に届くときにはドプラ
ーシフトによって周波数がズレることになります。つまり、FM 衛星やデ
ジタル衛星の場合、送受信のどちらとも、地上側で補正しなくてはならな
いのです。

  ただし、FM 衛星の場合は使っているモードが FM ですから、周波数の
多少の変動には敏感ではありません。UO-14 や SO-35 などの低軌道衛星
の場合、発生するドプラーシフト量は、435MHz では最大 9KHz にもなる
ため補正が必要ですが、145MHz では最大 3KHz ですから、補正しなくて
も、復調に影響するほどはズレないのです。
  また、UO-14 は元々が高速デジタル衛星だったものを FM 衛星に転用
している関係で、受信帯域が広く作ってあるようですし、その他の FM 衛
星は受信回路にある程度の周波数補正を行う AFC 回路が入ってるそうで
す。と言うことは、Mode-J などで衛星に対し 145MHz でアップリンクを
する場合は、3KHz のズレを地上側であえて補正しなくても、衛生側でし
っかり受信してくれる訳です。

  ですから、FM 衛星では、使っている周波数によって、補正の要否が決
まることになります。

  SO-35 の場合、現在は Mode-B (436up,145down) ですから、アップリ
ンク側は 436.280〜300 の間で補正が必要で、送信機の周波数を割とこま
めに変えてやる必要があります。しかし、ダウンリンク側は、特に帯域
の狭い受信機を使っていない限り、145.825 のままでも良いことになり
ます。
  AO-27 や UO-14 の場合は逆に Mode-J (145up, 435down) ですから、
アップリンク側は 145.850/975 のままでもさほど問題はありません。こ
ちらはダウンリンクが 435.080〜060/436.810〜790 の間で変化しますの
で、受信機のほうで補正が必要になります。

  とは言っても FM の話ですから、1KHz ステップでしっかり補正しなく
ても何とかなるものです。私は時々 FT-73 (最小 10KHz ステップ) で
SO-35 にアップリンクを行いますが、436.280/290/300 の3つしか選べ
ませんけど不自由はしません。最近のハンディ機やモービル機なら 5KHz
ステップは当たり前にできるはずですから、補正に困ることはないでし
ょう。
 これが、SSB/CW 衛星と違って FM 衛星の手軽な部分です。何といって
も FM ハンディ機やモービル機の「粗い」ステップで対応できる訳です
から。

  ドプラーシフトは、近づいてくる場合は + に、遠ざかる場合は - に
発生します。

1. AOS から最大仰角地点までは衛星が近づいてくるので、受信周波数は
  +にズレる。送信周波数はそれをキャンセルするために−にズラさな
  くてはならない。
2. 最大仰角地点から LOS までは衛星は遠ざかっていくので、受信周波
  数は−にズレる。送信周波数はそれをキャンセルするために+にズラ
  さなくてはならない。

 例えば SO-35 の Mode-B なら、時間の経過に合わせて、

AOS 直後  436.280 送信 → 145.827 受信
   ↓     436.285 送信 → 145.826 受信
仰角最大  436.290 送信 → 145.825 受信
   ↓     436.295 送信 → 145.824 受信
LOS 直前  436.300 送信 → 145.823 受信

  のような形になります。受信側は無理に動かさなくても何とかなりま
すから、送信側だけ気をつけておけばいいでしょう。
  Mode-J の UO-14 や AO-27 はこの逆で、送信周波数はそのままでいい
ので、受信周波数を刻々と変えていく必要があります。

では。
- -
Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
JF6BCC, KH2GR (ex. T88J, T88IY, V63BP)
  jf6bcc@jarl.com
  http://plaza16.mbn.or.jp/~palau/
- -
この電子メールは100%再生電子を使用しております。:-)