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[jamsat-bb:14838] Re: AO-40の状態について@AMSAT-BB


JF6BCC 今石です。

(5) コマンドチーム W4SM より 1/28 10:34 JST
Subject: AO-40 Update, 2004-01-27

  S2 ビーコンの復帰を目指した本日の作業は、今のところ成功していませんが、
今後数日間、世界各地のコマンド局から再挑戦される予定です。AO-40 は現在
適切な姿勢と回転数(3.5 rpm)にあり、「ミステリー・エフェクト」によって
スクイントが問題となるまで悪化するまでに、私達は数週間の猶予を持ってい
ます。現在、「ミステリー・エフェクト」はソーラーアングルを改善する方向
で働いています。これから数日間、K帯の送信開始と信号の探索のための作業が
行われる予定です。コマンドチームは、IHU-1 に基本ソフトを導入しなくても
送信機の送信開始、受信機の切り替え、バッテリーの切り替え、等を行うこと
ができる単純な機械的コマンドを行うことが可能です。

  調査の過程でコマンドチームは、主バッテリーの状態を数ヶ月間に渡り監視
して、警告に至らないその振る舞いが、必ずしも予想通りではないことに気が
つきました。回転する衛星の太陽電池パネル1〜6が太陽光を受ける際、その半
数は発電電圧低下の負荷となって電圧を引っ張り、それは太陽光を受ける時に
復帰しますが、特に、電源の軽負荷時に衛星の回転に伴う電圧変動があったの
です。これは、主バッテリーの20セルのうち1つのセルが弱っていることを示
唆します。
  日曜日 (1/25)、私達はバッテリーが設定電圧を維持せず、トラポンを off
にする安全機構が働いた事に着目しました。いくつか設定値の変更を行い、そ
れらは改善に多少寄与しましたが、私達はトラポン off を継続し問題の究明に
努めました。この間に、2つ目のセルが異常になった可能性があります。オー
ビット 1487 上の食の期間、1/26 の 19:30z に、バッテリー電圧は異常な低電
圧にまで降下し、これにより、バッテリーと太陽電池パネルの動作設定電圧値
は安全状態にリセットされ、予備バッテリーが主バッテリーと接続されます。
これらは想定通りに発生したようです。続くオービットが開始して1時間半後、
私の QTH で MA=8 で AOS を迎えた際、他の項目と同様に、異常低電圧フラグ
がセットされていた事に着目しました。この時点で主・予備バッテリーとも、
日曜の時点の電圧とほぼ同じで、充電電流がありました。この電圧値であれば、
予備バッテリーは充電が終了していなかったでしょう。
  状況は、安定はしているが完全な正常状態にないように見えます。私は現在、
コマンドチーム向けに、0:39:59z に発生した 25.5〜26.5V → 18V 以下への電
圧の急変についての可能性を検討しているところです。この事象には充電電流
の想定通りの増加が伴っています。MA が1つ進んだ時点で S2 送信は安全機構
により停止され、私は手動で2回操作を行い、バッテリー電圧が 14V 付近で安
定し大電流での充電状態にあることを確認しました。数分後の、3回目の S2
送信開始コマンドは成功しませんでした。

  現時点でわかっていることは、主バッテリーの破壊的な不良でバス電圧が低
レベルに落ち込んでいると言うことです。従って、私達は予備バッテリーを主
電源バスに接続して、主バッテリーを切り離し、将来の追跡調査のために微小
電流充電状態にすることに、努力を集中しています。主電源バスの電圧を 10V
にキープし IHU-1 を稼動させることができれば、私達は前述の機械的コマンド
を利用してこれを成功させ、S2 送信が可能なレベルに電圧を引き上げることが
できるはずです。

 このあたりの時間に送られてきたテレメトリを詳細に見ると、電圧の急激な
低下「事件」から 10 分後、摂氏 34.2 度だったヒートパイプの 4 + X + Y の
温度が、テレメトリブロックの間隔の約 14 秒後に急激に上昇し、測定可能範
囲のほぼ上限まで達していることに気づくでしょう。「事件」後 10 分間のこ
れらのデータ変動は、その急激さと熱慣性、ヒートパイプ周辺の機器配置など
から考えると、現実に発生しているとは信じられません。特に重要なこととし
て、このヒートパイプの温度センサーは、衛星の高利得アンテナ面近くのパネ
ル1と6の頂点近くの平穏な区画にあり、この周辺にはバッテリーや充電制御
ユニットなどは無く、液体ロケットモータの制御ユニット (停止中) と L1 受
信機の、温度の変動が報告されていないユニットがあるだけなのです。バッテ
リーと充電制御ユニットは全て、衛星の無指向性アンテナ近くのヒートパイプ
 1 と 2 の近くの区画にあります。ですからこの「温度上昇」は、実際の高温
ではなく、低電圧状態によるソフトまたはハードの誤動作である可能性が高い
と思います。しかし、我々はこの件についても更に調査を行います。他のテレ
メトリデータはまだ解析されていませんが、直に着手することになるでしょう。

--W4SM for the AO-40 Command Team

  …とのことです。誤訳はご勘弁を。

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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
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