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[jamsat-bb:6736] FM衛星の運用方法(Re:本日12/17のFMアナログ…)


JF6BCC 今石です。

At 2000/12/18 00:01:59 ji1izr/眞田正弘 wrote:
> ところで、今石さんのおっしゃる通り、最近のFM衛星では弱肉強食状態ですね。
> ハンディ機での移動運用セットを作っても、これではQSOできないかも。

  CQ誌の中田さんの記事の効果か、出てくる人が増えたのは嬉しいこ
となんですが、最近は FM 衛星の特性を誤解されているのではないか、
と言う感じの運用が耳についてしまうもんで、ついつい苦言を書いてし
まいました。
  FM モードが弱肉強食である、と言うことよりも、FO-29 や RS-13 な
どと違って、同時に一人しか使えないのだ、と言うことを、もっと理解
してもらいたいなと思っています。1回に十数分しか使えない広域レピ
ータ局だと思っていただかないと…。

  別に、CQ の連続が常に悪いわけではないんてすよね。交信チャンスの
少ない DX 局には周波数を優先して使ってもらうべきですし、特に今回
の中田さんの KH0 のように、数日間しか運用されない「ペディション」
であれば、チャンスを最大限生かしてもらうべきです。また逆に、自分
以外だれも応答してくれない場合などは、衛星の状況や自分の機器の動
作状況を確認したり、居るかも知れない「受信だけしている局」へのパ
イロット信号代わりになることを考えれば、あまり間隔を空けずに続け
て CQ を出したほうが役に立ちます。
  私も AO-27 のパスの後半などは、TEPR による衛星の OFF 時間がどう
なっているかの確認も兼ねて、ループテストや CQ を短間隔で繰り返し
たりしますし、AOS 直後や LOS 直前には、送受信の能力確認のために意
図的に電波を出してます。以前、昼間に全く出てくる局が居なかった時
に、アップリンク周波数をどんどんズラして、UO-14 の受信帯域幅を測
定してみたと言う方も居ると聞いています。

  しかし、1回 CQ を出して誰かに呼ばれたら、続けて CQ を出す必要
はありませんよね。同時に使える人が一人だけでも、その時ワッチして
いる局は多数いるはずですから、交信したければ続けて呼んでくるはず
です。また、最初に CQ を出した局ではなく、応答してきた局の方を呼
んでくるかも知れませんし、わずかなチャンスを狙って電波を出そうと
している他の局が居るかも知れません。
  AOS 後、ループテストに成功したら1回 CQ、応答がなければ短間隔
で CQ を繰り返す、応答があったら交信終了後 20 秒ほど黙り、それで
も誰も出てこなかったら 20 秒間隔程度で CQ、応答がなければ間隔を
詰めていく…、応答局が多い時は2回目以降の CQ は出さない、と、私
はこんなやりかたが「スマート」だと思います。交信局数は伸びないか
も知れませんが、いいじゃないですか、早く交信してしまったら、すぐ
に飽きてしまいますよ。常駐局同士の交信くらい、のんびりやりましょ
うよ。

 また、コールサインを複数回繰り返すのはできるだけ避けるべきだと
思います。相手にちゃんと聞き取ってもらうための配慮とは思うのです
が、相手の受信性能が自分と同等なら、自分の返り信号が自分で確認で
きるなら、同様に相手にも確認できるはずなんです。1回十数分しかな
いパスを多数の局とシェアするのですし、数秒単位で QSB が起きるこ
ともあります。送信はできるだけ短くすべきです。
  FM 衛星と言っても基本的に「衛星通信」なのですから、自分の信号を
自分で確認できることから始めるべきですよね。相手の受信能力不足に
配慮するのは、衛星通信では美徳とは言えないと思います。各自が、少
なくとも自分の返り信号を充分受信できる程度にまで責任を持つべきで
しょう。そう考えれば、例え DX 相手でも、フォネティックでコールを
1回言って、それが自分で了解できるなら繰り返さない、これがやはり
「スマート」だと思います。
  幸い、VR2XMT 局や 4F2KWT, DU1EV 局など、普段 QRV してくる DX
局は皆、耳が確かです。発音の違いから誤解されるケースはままありま
すが、フォネティック1回で充分に理解してくれます。いわゆる「ロン
グコール」をする必要は全くありません。

  もっとも、残念なことに受信能力が全然追いついていない(本人の責
任ではなく環境による場合もありますが)局も少なからず存在します。
コールサインはあえて書きませんが、ワッチされている方なら心当たり
があるのでは?。そういう局が QRV してきた場合、確かに、フォネテ
ィック1回では無理でしょう。しかし、そこでパイルにしてしまったの
では、更に無理になってしまいます。
  こういう場合、私は「最初にその局を呼んだ局が、その局との交信を
成功させるまで、他の局は黙ってワッチする」のが「スマート」だと思
います。そういう場合はたいてい、交信終了まで1〜数分かかるもので
す。交信が終わる頃には LOS しているかも知れませんし、ループテス
トができなくなっているかも知れません。が、それはあきらめて、次の
チャンスを待てばいいのです。今回、交信に成功した人は、次のチャン
スには呼んでこないはずですよね。相手が QRV してくれる限り、チャ
ンスはずっと続く訳です。

  じゃあ、その最初の一声に勝つためにハイパワー&ビームアンテナ化
するしかないのか、と言うと、私はそうは思いません。勝つ=競争相手
をツブす、と考えるのがそもそも間違いで、そういう考え方でいきつく
所まで進んでしまうと、AMSAT-bb で議論になった、北米大陸の FM衛星
の現状と同じになってしまいます。競争してツブすのは違法局・業務局
相手で充分です。身内でつぶし合っても何の意味もありません。
  自分の返り信号を確認するために受信をしている、と言うことは、衛
星のダウンリンクに誰が声を乗せる事に成功したか、一目瞭然だという
ことです。DX 局が CQ を出してスタンバイした直後、一番最初に応答
した人の声がダウンリンクに乗るはずです。半秒でも後からアップリン
クした人は、自分の声が返る前に誰かの声を聞くはず、だったらそこで
「負け」と考えてアップリンクを止めるんです。全く同一タイミングで
複数の局が出たとすれば、自分の音声が返らなかった局が「負け」、互
いに同レベルだったためにどちらの声も聞こえない、となったら、いず
れも「負け」ですぐ引っ込めるべきです。でないと、ツブし合いの無意
味な信号がダウンリンクに乗って降りてくるだけで、その時間は無意味
になります。
 それに、ダウンリンクは皆が聞いています。仮に誰かと競ってツブし
合って「勝った」として、それを聞いていた他の局はどう思うでしょう
か?。衛星通信ってのはただでさえ愛好家の少ない「マイナー」なジャ
ンルなんですから、その少ない「同志」に敵を作ってしまったのでは、
この先楽しめなくなってしまいますよね。

 うおっと、長くなってしまいました。この辺でやめておきます。

  自分でも偉そうなことを書いているなと思います。わが身を振りかえ
って恥ずかしく思うことも多々ありますしね。まあ、大丈夫だと思って
いても失敗することはあるのですから、その可能性を謙虚に受けとめて
「スマート」な運用に努めたいと思います。

では。
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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
JF6BCC, KH2GR (ex. T88J, T88IY, V63BP)
  jf6bcc@jarl.com
  http://plaza16.mbn.or.jp/~palau/
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