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[jamsat-news:1638] AO-40: 最新情報(2001-12-20)


皆さま、

AO-40コマンドチームの Stacey E. Mills, W4SM から、
近況報告がありました。

(翻訳はJF6BCC/今石さん、TNX)
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2001年12月16日時点で AO-40 の姿勢は ALON/ALAT=
356/-10.5 と測定されました。ALATの値は、予定よりほん
のわずかマイナス方向に大きくなっていますが、マグネトル
キングとはこういうものです。この姿勢測定を受け、(マグネ
トルキングに必要な) 太陽センサが機能し続けるように、
衛星の姿勢を太陽より「下に潜らせる」べく、当初は ALAT
を -30 度 まで落とすことを計画していました。これににより、
センサとマグネトルカとをフル機能で利用できる計画でした。

しかしながら、大きなマイナス値の ALAT を伴うこの計画
には、厄介な問題点が2つあります。1つは、YACE カメラ
がオービット上のどの位置からも地球を見られなくなるの
で精密な姿勢の測定が非常に困難になり、YACE カメラ
無しでは姿勢測定に時間を要するようになることです。もう
1つは、大きなマイナス値の ALAT は、トランスポンダの
利用とテレメトリの受信が非常に難しくなることです。SCOPE
や YACE カメラによる地球の撮影には最適な時期である
ことや、CEDEX システムが RUDAK 経由で良好な試験
データを送ってきていることを考えれば、運用が制限される
ことは大きな失望をもたらします。

そこで、我々は ALAT をこれ以上大きく下げず、例の「謎
の力」の効果を我々に有利になるように利用して、今後の
数週間にやってくる「デッド・ゾーン(休止期間)」をやり過ご
すことにしました。-10.5 度 の ALAT 値は、サン・アングルが
-52 度より悪くならないことを意味し、太陽から適度な電力を
得られることを示します。また、太陽は衛星の無指向性アン
テナ側の面にありますから、搭載カメラに対するダメージを
気にする必要もなく、安全にこの計画を実施できます。我々
は現在のスピンレートにおける「謎の力」の影響を把握して
おり、それは 週あたり 14 度でALON 値を小さくしていくこと
になるでしょう。その結果、サン・アングルが -45 度を超えて
一時的に太陽の位置捕捉が不可能になるとしても、衛星の
姿勢を良好に把握することができます。サン・センサとマグネ
トルキングによる姿勢制御を、「デッド・ゾーン」を抜けるまで
実施しないだけのことです。

ALON/ALAT は、今後数週間、下表のような変化をたどる
と予想されます。

       AO-40  姿勢 - 歳差運動
       謎の力 = -14.0 度 ALON/週

         DATE            ALON   ALAT    SA     ILL%
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   2001  Dec  16 [Sun]  356.2  -10.5  -27.9    88.4
   2001  Dec  23 [Sun]  341.0  -10.6  -42.8    73.3
   2001  Dec  30 [Sun]  325.9  -10.8  -51.8    61.9
   2002  Jan  06 [Sun]  310.7  -10.9  -50.4    63.8
   2002  Jan  13 [Sun]  295.6  -11.0  -39.5    77.2
   2002  Jan  20 [Sun]  280.4  -11.0  -23.6    91.6

(訳注:ILL% は SA[サンアングル]のコサイン[cos]をとった
百分率で、太陽電池パネルの実効面積/発電を示す)

1月の後半に太陽センサが機能を回復し次第、衛星の姿勢
維持作業を再開して ALON の浮動を止め、ALAT を 0 に戻
す作業に入ります。その後、太陽を追いかけるかたちで、ゆ
っくりと姿勢を ALON/ALAT= 300/0 から 0/0 に戻す作業を
行う計画です。この作業は以前に周知した通り、4月頃に終
わる見込みです。

いいニュースもあります。ALAT がこの値の前後であれば、
この期間、トランスポンダを近地点通過後のある時間帯で
動作させることができるでしょう。皆さんがお使いの軌道
計算ソフトで、ALON=300 での MA 10〜40 付近のスクゥイ
ント・アングルを計算してみてください。比較的小さな角度に
あることが判ります。マイナス値の ALAT 値は、もちろん、
南半球の局には有利に働くでしょう。

この期間、ビーコン/トランスポンダ/RUDAK の運用スケ
ジュールは、ALON の変化にともなって随時変更されます。
この運用スケジュールは amsat-bb での広報とテレメトリ
のメッセージブロックで周知します。ここ数日のうちに、一連
の作業を開始するために、現在のスケジュールは変更され
ることになります。

W4SM for the AO-40 Command Team
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2001年12月22日
JAMSAT SCOPE プロジェクトチーム
武安
ja6xkq@jamsat.or.jp