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[jamsat-news:1522] SATINF#192 24 June 2001



衛星情報  SATINF#192   24 June 2001
                                                           JN1GKZ 新井


トピックス

◆アークジェットモータの運用が始まりました。遠地点でアークジェットモー
 タを噴射(アンモニアガスのみの噴射)し、周期16時間の軌道への投入を目
 指しています。
 アークジェットモータを動作させるための電力を確保するためにMA100-180
 でS2送信機を停止しています。



1.運用中の衛星

●AO-10
  状況は、その日によって異なり、不安定です。

  6月24日は、フィールドデイのため多くの北米の局の運用を期待していま
 したが、状態が悪くQSOできる状態ではありませんでした。


●RS-12/13
  RS-12のAモードが動作しています。

  6月24日 1100JSTの真上を通過するパスでは良好なダウンリンクが帰って
きました。


●RS-15
  Aモードで運用されているようですが、ビーコンは5秒間キャリアを送信、
 2秒間停止を繰り返しているようです。トランスポンダは、ビーコンの送信
 がおこなわれている間だけオンになっているようです。

  6月24日 1030JST過ぎのパスでCWビーコンを受信しました。アップリンク
 を試みましたが、ダウンリンクは確認できませんでした。


●FO-20
  夜間のパスでは、食によってUVC(Under Voltage Controler:バッテリの
 過放電防止のため送信機への電源を遮断する)が動作し、送信が一時的に停
 止します。
  夜間は、食から抜けるパスの後半でトランスポンダが使えるようになって
 います。

  6月16日 2220JST過ぎのパスでは、FO-20がLOSするのとFO-29がAOSする位
 置が重なっていました。同時に2つの衛星にアップリンクすることができ、
 両衛星からのダウンリンクが確認できました。


●FO-29
  以下のスケジュールで運用が予定されています。
    2/1 - 7/2 アナログ


●AO-27
  電源に余裕がないため、昼間のパスでのみトランスポンダがオンになりま
 す。
  運用スケジュールは3月24日に次のように変更されました。
    TEPR 4=38
    TEPR 5=78
 衛星に日が当たり始めた19分後から20分間トランスポンダが動作します。
                                          [from KM4NZ Chuck @amsat-bb]


●AO-16
  RBBSは再開されていませんが、デジピータがオンになっています。

  6月24日にデコードしたデータです。
    PACSAT-1>TIME-1 [24-Jun-01  10:59:34] <UI>:
    PHT: uptime is 496/22:20:42.  Time is Sun Jun 24 01:57:46 2001
    
    PACSAT-1>AMSAT [24-Jun-01  10:59:38] <UI>:
    June 2001
    Digipeat is ON
    AO-16 (PACSAT) owned and operated
    by AMSAT-NA
    AO16 Command Team <WJ9F>
    
    PACSAT-1>LSTAT [24-Jun-01  10:59:38] <UI>:
    I P:0x1D00 o:0 l:6654 f:7171, d:1 st:1


●LU-19
  CWビーコンがオンになっています。CWビーコンは12WPMのゆっくりとした
 CWで約30秒毎に送信されています。

  6月24日 1030過ぎのパスでは強力なCWビーコンを送信していました。


●UO-11
  正常動作しています。


●UO-14
  JモードのFMリピータの運用がおこなわれています。

  6月24日にはUA0CQ、VR2YY、HL2JFMが聞こえました。


●UO-22
  正常運用しています。


●KO-25
  正常運用しています。


▲TO-31(TMSAT-1)
  管制局の可視範囲でのみ送信機をオンにしているようです。


●GO-32(TechSat-1B)
  断続したビーコンが送信されているようです。


●SO-33(SedSat-1)
  テレメトリを送信しており、SGS20というソフトでデコードすることがで
 きます。SGS20は、
    http://uah.seds.org/projects/sedsat/SGS20Source.zip
 から入手できます。


●UO-36(UoSAT-12)
  正常に動作しているようです。

  UO-36の情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sstl.co.uk/


●OO-38(OPAL)
  デジピータとして機能しているようです。周波数は、アップリンク、ダウ
 ンリンク共に437.100MHzです。


●Tiungsat-1
  38400bpsの運用がおこなわれています。普段はダウンリンクは、オフにな
 っていますが、地上局からのコマンドでオンにすることができます(WiSPで
 サポート)。ダウンリンクの出力は8Wで良好に38400bpsの信号がデコードで
 きているようです。


●ISS
  パケットの運用が始まり、デジピータが動作しています(1200bps AFSK)。
 SSIDは、NOCALLです。
  北米上空では、頻繁に音声による運用が頻繁におこなわれています。先週
 からヨーロッパ上空でも運用を始めたようです。

  6月23-24日におこなわれARRL主催のフィールドディに宇宙か参加するよう
 です。
                                            [from KA3HDO @amsat-sarex]

  デジピートに成功した局にはQSLが発行されます。日本からのQSLマネー
 ジャは現在、検討中です。ARRL等へQSLは送付しないで下さい。

  ISSのアマチュア局のコールサインは次の通りです。
   コールサイン:RZ3DZR、R0ISS、NA1SS、DL0ISS
  現在、3名がISSに滞在しており、次の2名がコールサインを持っています。
   UA9AD/R3MIR Yuri Usachev
   KC7NHZ Susan Helms

  FM音声のアップリンク周波数は、日本ではバンドプランに合致しないため
 対応が考えられています。当面は、FM音声のアップリンクはしないで下さい。

  ARISS-Europeのwebサイトが立ち上がりました。同時に、ヨーロッパの局
 向けのQSLマネージャの設定もおこなわれました。
    http://www.ariss-eu.org

  ARISSの情報は、以下のサイトから得られます。
    http://ariss.gsfc.nasa.gov/



2.調整中の衛星

●SNAP-1
  SNAP-1は、OBC(on-board computer)ソフトがないため、マニュアルで衛星
 を制御しなければなりません。また、小型衛星であるため、電源に余裕が無
 く、コマンド局(英国 サレー大学)の可視範囲でのみ、ダウンリンクをオ
 ンにしています。
  ダウンリンクは、2430MHz 100mW、38.4kbpsです。昨年夏にダウンリンク
 が良好に受信できているとの報告がありましたがその後、何も報告がありま
 せん。


▲KO-23
  10月30日にOBCがリセットされ、未だ復旧していませんが、変調の掛かっ
 た信号を送信しています。


▲PO-34(PanSat)
  スペクトラム拡散の運用が予定されていますが、未だ運用されていません。
  PanSatの情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sp.nps.navy.mil/pansat/


●SAUDISAT-1A(SO-41)、SAUDISAT-1B(SO-42)
  現在、管制局(リヤド、ワシントンDC、デンバー)の可視範囲でのみダウ
 ンリンク(9600bps)がオンにされ動作確認がおこなわれています。


★AO-40(P3D)
  アークジェットモータの運用が始まりました。オービット#295(6月21日)
 にて22分間の噴射(放電はおこなわず、推進剤のアンモニアガスの噴射のみ)
 がおこなわれ、アンモニアを熱するヒータ、流量調整器、バルブ、圧力計が
 うまく動作していることがテレメトリデータによって確認されました。
  オービット#296(6月22日)では、MA121.4から3618秒間にわたってアンモ
 ニアガスの噴射がおこなわれ、成功しました。推定される加速度は、
 54E-6 m/s^2で、その方向は、ALON/ALAT=274/-2(現在の衛星姿勢)です。
 この噴射で近地点高度 2.5kmの上昇が期待されています。
  オービット#297では遠地点付近で2時間の噴射がおこなわれ、成功しまし
 た。続く3周回でも同様の噴射をおこなうようにAO-40にコマンドがセット
 されています。噴射時間は、今後、延長される予定です。

  AO-40コマンドチームは、アークジェットの燃料噴射だけで近地点高度を
 上げ、16時間周期の軌道への投入を考えているようです。
  AO-40の重量を500kgと仮定すると、近地点高度を100km上昇させるには、
 アーク放電無しで、ガスだけを噴射するとすると、30〜40時間の噴射(流量
 を20〜30mg/秒と仮定)が必要になり、3.6kgのガスを消費します。消費電力
 は、120〜130Wです。一方、アーク放電をおこなった場合は、10時間の噴射、
 ガスの消費量は0.8kgで済みますが1000Wの電力が必要になります。省電力で
 済むアーク放電なしの噴射を選択したようです。
  アークジェットモータを動作させる期間は、電力をアークジェットモータ
 に振り向けるためMA100-180でS2送信機を停止しています。

  運用スケジュール(6月24日現在)
      MA    トランスポンダ   RUDAK   ビーコン
     0- 99       OFF           S2      S2-MB
   100-180       OFF          OFF       OFF
   181-255       OFF           S2      S2-MB
     ビーコン: MB ミドルビーコン
     RUDAK: ダウンリンクのみ(アップリンクは禁止)。予告無しに
         停止されることがあります。

  ビーコン周波数(打ち上げ前の最終チェックで測定された周波数に実績を
 加筆。*は、打ち上げ後にアナウンスのあった実績のある周波数)
   BEACON    General Beacon  Middle Beacon   Engineering Beacon
   Vバンド          -           145.898MHz*          -
   Uバンド       435.438MHz     435.588MHz       435.838MHz 
   S1バンド     2400.188MHz    2400.338MHz      2400.588MHz 
   S2バンド     2401.168MHz    2401.323MHz*     2401.568MHz
   Xバンド     10450.975MHz   10451.125MHz     10451.375MHz 
   Kバンド     24047.885MHz   24048.035MHz     24048.285MHz 
   赤外レーザ                   360    THz
  アップリンク、ダウンリンク周波数
   S2バンドdown: 2401.210 - 2401.495 MHz
                MBの±5kHzの範囲はダウンリンク禁止
                MBに妨害を与えないこと
   L1バンドup: 1269.496 - 1269.211 MHz
   Uバンドup : 435.780 - 435.495 MHz
   RUDAK S2 down:2401.74MHz(主に9600bps FSK)

 トランスポンダ
  L1U/S2(アップリンク/ダウンリンク)の動作が確認されています。
  姿勢変更のため運用は中止されています。

 姿勢
  ALON/ALAT=270/0に達し、アークジェットモータの運用が始まりました。
  6月21日の姿勢は、ALON/ALAT = 275/-2 でした。

 YACE
  アークジェットモータ運用に先立ち、オービット#292で姿勢を確認するた
 めにYAECにより地球の画像が撮影されました。画像は、テレメトリアーカイ
 バで公開されています。
    http://www.amsat.org/amsat/ftp/telemetry/ao40/2001/06/
    ao40_2001-06-18_00292.zip

 Kバンド送信機、Xバンド送信機、Cバンド受信機
  試験がおこなわれましたが、動作が確認されていません。
  姿勢変更のため試験は中止されています。

 RUDAK
  RUDAK-A、Bの試験が引き続きおこなわれているようです。

 LEILA
  正常動作が確認されました。

 アークジェットモータ
  オービット#295で動作が確認されました。アーク放電なし、アンモニアガ
 スの噴射のみで運用されています。

  AO-40のテレメトリデータがamsatのサイトで公開されています。
    http://www.amsat.org/amsat/ftp/telemetry/ao40/
  P3Tでデコードしたテレメトリデータを ao40-archive@amsat.org へZIP形
 式の添付ファイルとして送付するように求めています。
                                            [from VP9MU Pau @amsat-bb]

  RUDAKのWOD(Whole Orbit Data)テレメトリファイルをCSV形式のファイ
 ルに変換するプログラムがリリースされました。Windows版(RudakTLM、
 KE4AZN作)、JAVA版、DOS版(WOD2CSV)の3つがあります。
  AMSAT-NAのサイトから入手できます。
    http://www.amsat.org/amsat/ftpdelta.html
                                                 [from WD0E @amsat-bb]

  AE4JY Moe氏によるテレメトリデコードソフト AO40Rcv のVer1.40がリリー
 スされました。Moe氏は別のソフト開発に注力したいとのことから、AO40Rcv
 は、今回のバージョンが最終版になるそうです。ただし、開発を継続してく
 れる方があれば、ソースを公開するので、プログラムの改善をして欲しい旨
 伝えています。興味のある方は、Moe氏とコンタクトされて下さい。
    http://www.qsl.net/ae4jy/
                                                [from AE4JY @amsat-bb]


3.運用を停止している衛星
▲DO-17


▲WO-18


▲IO-26
  運用を停止しているようです。


▲WO-39(JAWSAT)



4.これから打ち上がる衛星

●CubeSat
  東京工業大学等で開発している10cm立方のナノサテライト CubeSatが
 2002年5月にロシアから打ち上げられる予定です。
  アップリンク 145.835MHz、ダウンリンク 437.450-437.500MHzが予定され
 ています。
   東工大CubeSatプロジェクト
    http://horse.mes.titech.ac.jp/srtlssp/cubesat/index.html
   東大CubeSatプロジェクト
    http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/cubesat/index.html
             [from 東京工業大学 此上さん、宇井さん、JG1LDV @jamsat-bb]



5.衛星に関する情報

★火星観測衛星 オデッセイからの信号
  NASAのジェット推進研究所(JPL)は、6月6日(8日??)に火星に向かって
 航行中の火星観測衛星 オデッセイ(Mars Odyssey)に搭載したアマチュア
 バンド(437.100MHz)の送信機の試験をおこないました。
  N9AB Andy氏は、16x22八木を使ってオデッセイからの信号の受信に成功し
 たそうです。
  送信試験は、6月22日にもおこなわれた模様です。
  詳細は、以下のサイトをご覧下さい。
    http://members.bellatlantic.net/~km1p/
                                          [from AL7EB、KM1P @amsat-bb]


★ヨーロッパ DXペディション(続報)
  webサイトが開設されました。ルートを記した地図などが公開されていま
 す。
    http://www.qsl.net/pe1rah/
  PE1RAH William氏とON1DLL Dirk氏は、7月7日から8月中旬に掛けて列車と
 船を使って移動し、ヨーロッパ各国から衛星の運用をおこないます。
  運用予定エンティティは、DL, SP, OK, OM, HA, S5, 9A, SV, I, F, EA, 
 CT, T7, 3A, ZB2, EA9です。SY(マウント アソス)からの運用許可を申請
 中です。運用許可は簡単には得られないようですが、許可されれば衛星初運
 用エンティティとなります。
  日本からはAO-10でQSOのチャンスがあります。ヨーロッパが開けていると
 きは探して見て下さい。
                                               [from ON1DLL @amsat-bb]


★HC8N ガラパゴスからの運用
  5月24〜27日にN0JKがHC8Nのコールサインでガラパゴスから衛星を運用が
 しました。北米やヨーロッパなど数局とQSOをしたようです。日本との窓は
 なかったようですが、秋にも運用を計画しているそうで、次回に期待したい
 ところです。
  運用の様子が以下のサイトにあります。
    http://communities.msn.com/6mdx
                                                [from K5OE @amsat-bb]


★衛星から見た地球
  衛星から地球がどう見えるかを表示するサイトがあります。軌道要素から
 位置を計算し、希望日時の衛星から見た地球の画像を表示します。アマチュ
 ア衛星以外にも多くの衛星がサポートされています。
    http://www.fourmilab.ch/earthview/satellite.html
                                                 [from Rick @amsat-bb]



参考
 ANS、JAMSATメーリングリスト、AMSATメーリングリスト

JN1GKZ 新井
   jn1gkz@jamsat.or.jp     http://www.din.or.jp/~m-arai/