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[jamsat-bb:3728] 半裁のオスカーハンター




私はマスプロのオスカーハンターWHS-32Nを半分のながさにして使っていますが、
取付け・使用方法などについて問い合わせのメールをいただき、返事のメールを
送りました。
多少加筆したものを、集合住宅などにお住まいの方の何かの参考になればと思い、
ここにアップさせていただきます。


                              7N1JVW 藤田忠義
                                   E-mail: FA7T-FJT@asahi-net.or.jp 
                                    226-0016 横浜市緑区霧が丘4-1-17-504



私はアパマン・ハムでベランダには長いブームのアンテナは取り付けできないため、
衛星通信用にはマスプロのオスカーハンター(クロス八木)WHS-32Nのブームを半分
のながさにして使っています。

その前は 145MHz は8エレメント、435MHz は15エレメントのシングルのウエーブハン
ターを、グラスファイバー製の水平ブーム上に互いの干渉をなるべく避けるため、V
型(2つのアンテナを後ろから見て)に配置して取り付け使用していました。

これでも幾つかの衛星で「それなり」の交信はできましたが、偏波面の変化による
QSBが激しいこと、衛星通信用というオスカーハンターWHS-32Nでの左旋・右旋切り
替えとはどういうものか興味もあって、ブームを半分のながさにしての使用に踏み
切りました。


概要:

オスカーハンターWHS-32Nは、145MHz帯用が12エレメント、ブーム長4.11m
              435MHz帯用が20エレメント、ブーム長3.68m
ブームは145MHz 435MHzともにブーム・ジョイントにより前後2本のパイプを継いで
組み立てるようになっていますが、私の方法はこのブーム・ジョイントから先を使用
せず、単純に後部のみを使用するという方法です。
したがってブーム長は145MHz 帯が約 2m、435MHz帯が約 1.8mになります。


工作:(ブームをグラスファイバー製のスタックブームに取付けるための孔明け)

ブーム・ジョイント付近の既存の孔が使えないため、ブームの後部に新たな取り付け
孔を、145MHz、435MHzそれぞれ2個づつあけます。アンテナブームパイプの円周上の
孔位置を正確にきめ、バイスでしっかり固定して慎重にあけます。
パイプ円周上の孔位置(角度)がずれると、取り付け完成後のクロス八木エレメント
の傾きが45度でなく、見ばえがわるくなります。

アンテナブームパイプの長さ上の孔位置は、設置方法にもよりますが私は、
 145MHz は左右合計12エレメントのうち、後部から6番目と7番目との間に、また
 435MHz は合計26エレメントのうち、後部から10番目と11番目との間にしました。

取り付け完成後、未使用の孔は接着剤つきのアルミテープを巻き付け、雨水の侵入
などを防ぎます。


調整:

前記概要の方法では構造上 145MHzは 7エレメント、435MHzは 13エレメントになりま
すが、組立てて測定した結果、145MHzの 7エレメントでは VSWRが極端にわるいため、
先端の一組みのエレメントをはずし、6エレメントにしました。

6エレメントにするか7エレメントにするか、VSWRを測定して良い方に決めるわけです
が、これはマスプロ電工・技術相談担当への問い合わせの結果でもあります。
また、435MHzは 13エレメントのままで良好なVSWRになりました。


1998年10月に再測定した周波数ごとのVSWRは下記のとおりです。

  周波数    VSWR(左旋)  VSWR(右旋)
 145.980 MHz      1.72*      1.33
 145.900 MHz      1.69*      1.33
 145.800 MHz      1.69*      1.33
 145.000 MHz      1.53       1.42
 145.020 MHz      1.33       1.53


  周波数    VSWR(左旋)  VSWR(右旋)
 438.000 MHz      1.09       1.38
 437.000 MHz      1.09       1.30
 436.000 MHz      1.13       1.27
 435.000 MHz      1.17       1.29
 434.000 MHz      1.22       1.42
 433.000 MHz      1.33       1.57
 432.000 MHz      1.37       1.71

測定は同軸ケーブル10D-FB 約8mを含む無線機側にておこない、計器は Bird社製の
Model 43を使用しました。
マスプロ電工 WHS-32Nのカタログ規格では VSWRは 1.1−1.5 となっています。
私のアンテナは、衛星バンドでは*印の周波数で規格をオーバーします。

使用感など:

145MHz用と435MHz用とは、仰角ローテーターを中にはさんで左右に取り付けるのが
標準ですが、私は水平ブームの一方の端に2つのアンテナを取り付け、設置場所は
マンション最上階の南西の角を利用しています。
これにより仰角ローテーターを途中で180度反転することで、結果的に方位角270度
をカバーできます。
運用後は水平ローテーターをまわして軒下に収納し、台風のときはさらにロープな
どでブームを固定します。

このアンテナで低軌道衛星の場合はアナログ、デジタルともに十分に使用できます。
ただ、FO-29やマイクロサット系のデジタルモードで 145MHz 帯アップリンクの場合
はフルサイズにくらべ「通り」がやや弱く、またAO-10 や、いまは無き AO-13の145
MHz SSB電話受信の場合は利得が不足のようです。
逆にフルサイズにくらべ指向性が広くなる分、アンテナの追尾が楽かもしれません。

 145MHz、435MHz 帯それぞれ無線機がわに 20dB のプリアンプを、また 435MHz帯は 
145MHz帯送信時の3倍周波数の干渉を防ぐために、ヘリカルキャビティ3段のバンド
パスフィルタをいれています。


PS:

 145MHzは構造上 7エレメントが可能で、何とか7エレメントでVSWRを改善できないか
不要のエレメントを使っていろいろ実験・測定をしましたがうまくいかず、やむなく
6エレメントで使っています。
どなたか、これについての助言をいただければ助かります。

 435MHzは1エレメント追加しても利得はあまり変らず、VSWRも改善の必要ないため
13エレメントのまま使用しています。

                                                            1998/10/27