手作りデュアルバンド八木アンテナ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
JASMAT 日本アマチュア衛星通信協会
WA5VJB AMSAT LEO 1000円 デュアルバンド八木アンテナ 手持ち八木アンテナで衛星通信する
1000円で作るデュアルバンド八木デュアルバンドHTを使いFMモードのアマチュア無線衛星を経由した衛星通信をするには、適度な利得を持ったデュアルバンドビームアンテナが必要になります。 市販の衛星通信用デュアルバンド八木アンテナもありますが、すでに紹介した 500円 八木アンテナと同じ構造で実用的なデュアルバンド八木アンテナを作ることができます。 ブームに3/4インチ(19mm) x 3/4インチ(19mm)程度の木材を使い、エレメントに1/8インチ(3mm)直径程度の銅線、アルミ棒、アルミパイプなどを使うことは実績ある 500 円八木 と同じです。 この記事には、大きなデュアルバンドアンテナを扱いやすく、安く手軽に、しかし高性能に仕上げるためのアイデアが詰まっています。 たとえば、市販の2バンド手持ちアンテナでは2つのバンドのアンテナが互いに干渉しないように直交させています。 しかし、それではかさばりますし、床や車の中に置いたときに不安定です。 Kent は 2バンドのアンナを同じ面に配置しつつ、しかし互いに干渉しない配置にして、格段に扱いやすくしています。 また、デュアルバンドハンディー機と同軸1本で接続できるようにスプリッターも付けています。
図1 輻射器の寸法 (SWR調整のための切りつめしろ含む) Kent は 12m で 5 ドルの接地用アルミ線とホームセンターで手に入る真鍮や青銅の溶接棒(90cm)をパイプと半田でつなぎ合わせて使っています。 日本ではホームセンターで直径3mmの 1m 定尺の金属棒や盆栽用3mm径アルミ針金を入手できます。 435MHz 500円八木を製作した時にはホームセンターで買ってきた 3mm 径の金属棒を使いました。 今ではヨドバシ.comでも3mm径 995mm長の各種金属棒を買うことができます。 今回は波長2mの 145MHz ですから、もう少し長い金属棒が必要になります。 導波器と反射器には安くて軽く強度もあるアルミ合金の棒や盆栽用アルミ針金が適しています。 輻射器は同軸を半田付けする都合上、銅や真鍮が好ましいのですが、ちょっと工夫して半田付けの代わりに鰐口クリップで同軸ケーブルを接続したり、サンドペーパーでやすってから圧着端子を圧着して、その端子に同軸を半田付けすることもできるでしょう。 とにかく、アルミ棒は軽くて良い素材ですが、半田付けできないところが難点です。 ホームセンターやヨドバシ.comで手軽に入手できる 1m 定尺の金属棒の唯一の問題は、145MHz の輻射器や反射器を作るには短すぎることです。 その点、盆栽用アルミ針金は便利です。 輻射器は半田付けできる銅や真鍮の棒が同軸の接続や調整で切りつめすぎた時に継ぎ足すのに便利ではありますが、工夫次第でアルミでも何とかなります。 1本物で仕上げたいのなら、工業国日本には少量からでもインターネット通販してくれる鋼材屋さんがあります。 1000円で作るには送料で足が出てしまいますが、素材自体はとても安く、少量でも切り売りしてくれます。 例えばこのような会社があります。 https://www.e-metals.net/product/200651 https://metal-super.com/?page_id=1332 輻射器の寸法は上に書きました。 反射器と導波器の長さと、エレメントの間隔は次の通りです。
表1:145MHz用八木アンテナの寸法 (単位:mm)
表2:435MHz用八木アンテナの寸法 (単位:mm) これらは単一周波数帯のアンテナとしても良い性能を持っています。 これらを組み合わせてクロスバンド衛星通信を行うデュアルバンド八木アンテナを作ります。 145/435MHzデュアルバンド八木アンテナエレメント数が増えれば指向性は強くなり利得は増えますが、形状が大きくなって取り回しが難しくなります。 組み合わせは幾通りもありますが、435MHz 5エレメント八木と 145MHz 2エレメント八木の組み合わせが、実際の衛星通信で良い成果を上げています。 2つのバンドのアンテナを同一平面に配置する場合は、145MHz のエレメントが高次共振を起こすことで生ずる 435MHz 側の輻射パターンへの影響について考えておかねばなりません。 Kent はこれを逆手にとって 145MHz の第1導波器を 435MHz の反射器に使って重量軽減を試みましたが、アンテナの性能が大きく劣化してしまいました。 そこで、Kent が見いだした 2 つのアンテナの干渉を避けつつ2周波の八木を同一平面に配置する方法は、435MHz 用八木の反射器の後ろに3インチ(76mm) 離して 145MHz 用八木アンテナのエレメントを配置することでした。 この分離距離を取り入れたデュアルバンド八木アンテナのエレメントの寸法と配置を表3に示します。
表3:145/435MHzデュアルバンド八木アンテナの寸法 (単位:mm) 工作の方法は 500円八木アンテナと同じですので、そちらの記事も参照ください。 図5:輻射器への同軸の接続 (エレメント中央にシールド、折り返しに芯線) 3mmの銅の棒ですから熱伝導が良すぎて、同軸の半田付けには熱量の大きなこてが必要になります。同軸を直接半田付けしようとすると絶縁物が融けてしまうので、Kent は熱に強いテフロン同軸を使っています。 直接同軸を半田付けしようとせず、玉子ラグを半田付けしてそこに同軸を半田付けしたり、圧着端子を圧着しておいてそれに半田付けしたりすると良いでしょう。 SWR の調整スプリッターを取り付ける前に、個々のアンテナの SWR 調整を行っておきます。 方法は 500円 アンテナで説明したのと同じです。 広いところで SWR をモニターしながら、折り返してない側の輻射エレメントの先端を数ミリずつずつ切りつめていきます。 435MHz では10mm切ることはないはずです。 切りすぎたときは銅線を半田付けしたり、圧着端子を圧着するなどしてエレメントを延ばして下さい。 まったく無調整でも SWR は 2 以下になるはずです。
スプリッターの製作デュアルバンド八木アンテナと組み合わせて使うデュアルバンドHTのアンテナ端子は1つです。 スプリッターを製作して、2つの周波数を分離し、それぞれの八木アンテナに接続するためにスプリッターを製作します。 図2:スプリッター回路図 図2に示したように、このスプリッターは遮断周波数が 250MHz のハイパスフィルターとローパスフィルターの組み合わせにすぎません。 遮断周波数は 200MHz と 400MHz の間にあればよいので部品の定数の精度はほどほどでかまいません。 図3:ブームに取り付けたスプリッター エッチングしていないプリント基板があればその上に作ると半田付けが楽です。 必要な部品は電線とコンデンサだけです。
表4:スプリッターの部品表 コンデンサは50V耐圧のセラミックでも20W程度までは耐えられます。 厳密にこの値である必要はありませんし、直列や並列にしてもかまいませんので、手持ちのコンデンサがあれば工夫して使ってください。 コイルは鉛筆に導体直径0.5sq mmから0.8sq mm程度の単芯被覆線を1.5回と3回巻き付けて作ります。コイルのインダクタンスは厳密ではありませんので、気にせずに作っていただいてかまいません。 図4:鉛筆を使ってコイルを巻く 3本の同軸ケーブル(無線機からスプリッター、スプリッターから145MHzの輻射器、スプリッターから435MHzの輻射器)の長さはそれぞれ任意の長さでかまいませんが、不必要に長くすることはないので必要最小限の長さにしておきます。 これでデュアルバンド八木アンテナが完成しました(図6参照)。 図6:完成した AMSAT 衛星通信用デュアルバンド八木 Kent の Cheap Yagi やその他についてもっとお知りになりたい場合は、こちらに資料がまとめられています。 八木・宇田両先生の1926年の論文も置かれています。 http://wa5vjb.com/references.html
原典
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