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[jamsat-bb:6474] Re: [jamsat-bb:6471] 感覚的に考えたドップラー


芝山さん、こんにちは

面白く読まさせて貰いました。
数学は苦手ですので、私も感覚的な説明しか出来ませんが・・・。
二つコメントさせてもらいます。

ドプラーと言うと、すれ違った時の救急車のサイレンの音が急変することで
説明されることが多い為、若干の誤解を招いている可能性があります。

1)ドプラー効果の定義ですが、「発信源と観測者のいずれか、あるいは両方が
   移動して伝播路の距離が変化する時に、測定される周波数が異なる現象」
   としています。「発信源が近づく時には観測者での周波数は高くなり、遠ざか
   る時には周波数は低くなる」というものです。
   この時、近づく(又は遠ざかる)速度が一定ならば、ドプラー による周波数偏
   移は一定のため、観測者には周波数の変化は認められません。発信源の周
   波数が判っている場合には、それとの一定の差が分かるだけです。
   救急車が遥か前方から一定の速度で近づいて居る場合にも「ドプラー」は生
   じて いて、発信源の出す周波数よりも高い音が聞こえているはずです。
   接近しすれ違う瞬間には、相対的速度が急変するために周波数はそれまで
   のプラス偏移からマイナス偏移に一変するため、その違いが観測者にはっき
   りと分かりますが、その後一定の速度で遠ざかって行く時には、周波数は低い
   まま、一定となります。この段階でも、「ドプラー」は生じていると言えます。

2)ドプラー効果の大小は「信号の伝播速度に対する上述(1)で説明した発信源
   と観測者間の相対的速度の比および周波数に比例する」と言えます。
   秒速30mで近づく救急車から1000Hzのサイレンを聞いた場合、
   簡単のため音の伝播速度を300m/秒とすると1100Hzに聞こえ、すれ違う
   瞬間を境に、900Hzに急変すると説明できます。
   電波は光速で伝わるので300,000km/秒に対して衛星の速度を5km/秒と仮定
   し、 そのまま単純に145MHzで計算するとドプラー偏移は約2400Hzとなります
   が、地上にから見た衛星の見かけの速度のうち、近づくか遠ざかる成分は、
   一定ではないので、ドプラー偏移も時々刻々変化し、その変化が最大になるの
   は、衛星軌道が観測者に最接近する時点であることは救急車と同様です。

ついでの話しですが、ドプラー偏移は周波数に比例するので、2.4Ghzでは
145MHzの約17倍、5.6GHzでは40倍近くなりますので、AO-40が本格運用される
と、新たな対応も必要になることでしょうね。

プロの世界でのドプラー対応の話があれば、ご披露されると面白いと思い
ますが・・。

73,

JA6BX   江 崎  昌 男
<ja6bx@jamsat.or.jp>