SCOPEミーティング
The Japan AMSAT Association


SCOPE 合宿ミーティング (1997年5月24〜25日)

The Japan AMSAT Association


1997年5月24〜25日の週末を利用して、SCOPEプロジェクトグループのメンバーが千葉県市川市にてSCOPE合宿ミーティングを行いました。参加者は、JA2PKI(岡本),JA6XKQ(武安)、JR1SWB(中山)、JM3MAJ(大畑)の4名でした。

SCOPEのフライトモデルは、いったんPhase-3D衛星の組み立てを進めているフロリダ州オーランドに送られましたが、ミーティングの時点では「帰国」していました。このフライトモデルは、たった1つの問題点をのぞいては全く問題なく動作していました。今回の合宿ミーティングでは、そのSCOPE-BカメラをRS-485のシリアルポートからブート(立ち上げること)できないという問題を解決すること、さらに次回のRUDAK-UとSCOPEの接続試験のために改良したSCOPEのエンジニアリングモデルとソフトウェアツール類を用意すること、この2点がミーティングの目的でした。

ミーティングは土曜日の午後、JM3MAJ大畑氏とJA6XKQ武安氏が市川市のJA2PKI岡本氏宅に到着したところから始まりました。JM3MAJ大畑氏は、SCOPEのエンジニアリングモデルと開発中のソフトウェアツール類を携えて京都から、また、JA6XKQ武安氏は、SCOPEのフライトモデルを持って横浜から集合しました。JR1SWB中山氏も、土曜日の深夜までミーティングに参加しました。

ブートできないという問題点は、無事に原因が判明して修復されました。修復後のSCOPEフライトモデルは、カメラAとカメラBのどちらも、CANバスとRS-485シリアルリンクのどちらを使ってもブートすることができます。また、カメラAとカメラBは、それぞれ単独でも、あるいは2台同時にでも、動作させることができます。

また、RUDAK-Uチームに対して、新しいSCOPEのエンジニアリングモデルを動作試験用に提供することが決まりました。これは、すでにRUDAK-Uチームに貸し出し中のエンジニアリングモデルと入れ換えることになります。新しいエンジニアリングモデルは、ハードウェア、ソフトウェアともにフライトモデルと同等のものであり、こうすることによって、RUDAK-UチームがSCOPEとの組み合わせ試験を行う場合に、SCOPEのフライトモデルを相手にした試験により近い試験ができるようになります。

01.jpg (24k) RS485シリアルリンクの波形
SCOPEは、Phase-3D衛星の内部ではRUDAK-UとIHUとの間でそれぞれ通信を行います。その通信は、主としてCANバスというLANを使って行われることになっていますが、バックアップとしてSCOPEとRUDAK-Uとの間ではRS-485シリアルリンク(マルチドロップ)も用意されます。この写真でオシロスコープ上に映っている波形は、SCOPEとコンソールの間で交わされるRS-485シリアルリンクの波形です。コンソールとは、地上で行なう試験のために特別に接続される端末(パソコン)です。中央から右の4目盛分がSCOPEからCONSOLEへの信号(Lowレベル)、右はじの2目盛分がコンソールからSCOPEへの信号(Highレベル)です。
左はJM3MAJ大畑廣幸氏、右はJA6XKQ武安義幸氏。信号波形を観察しながら、カメラBのブート問題の原因を調査しているところ。このシンクロは、JAS1(FO12)プロジェクトでも使われた。
06.jpg (83k) SCOPEフライトモデルの側面 (カメラAのCCDブロックとカメラBのプリント基板アセンブリが見える)
SCOPEフライトモデルのサイドパネルをはずしたところ。内部にあるフライトハードウェアの一部が見える。右はじから中央に向けてA/D基板、メモリ基板、CPU基板の3枚の基板が並ぶ。これらはカメラB(広角撮影用)の基板類である。左上は、カメラA(狭角撮影用)のCCDブロック(レンズは取り付けられていない)、左下に見える基板2枚はカメラA用のスイッチング電源回路。
カメラBのCPU基板上にあるチェックポイントを確認する2人。SCOPEモジュールを支えているのは JM3MAJ 大畑廣幸氏、モジュールの向こう側にいるのは JA6XKQ 武安義幸氏。
08.jpg SCOPEフライトモデルの側面 (カメラBのCCDブロックとカメラAのプリント基板アセンブリが見える)(67K)
SCOPEフライトモデルのサイドパネルをはずしたところ。内部にあるフライトハードウェアの一部が見える。右はじから中央に向けてA/D基板、メモリ基板、CPU基板の3枚の基板が並ぶ。これらはカメラA(狭角撮影用)の基板類である。左上は、カメラB(広角撮影用)のCCDブロックとレンズ。左下に見える基板2枚はカメラB用のスイッチング電源回路。
09.jpg
コンデンサーをはんだ付けする作業中の JA6XKQ 武安義幸氏。SCOPEモジュールを支えているのは、JM3MAJ 大畑廣幸氏(左)と JR1SWB 中山幹康氏(右)。
10.jpg アイソレーションダイオード
10V電源ラインに入っている2本のアイソレーションダイオードのクローズアップ。放熱をよくするために、アルミニウムのブロックに穴をあけてその中に納められている。ブロックは、さらに温度を逃がすためにブロックをヒートブリッジでモジュールケースに接続している。写真の右側には、カメラBのCCDブロックが映っており、3枚のCCDやドライバー回路と一緒にダイクロイックミラーも見える。
12.jpg かわいいボランティア(50K)
3人の可愛いボランティアたち。左から、さえちゃん、れいちゃん、えりーちゃん。JA2PKI岡本氏、JA6XKQ武安氏のお嬢さんたち。SCOPEの内部を勉強中。
14a.jpg (115K)
カメラBのCPUボードの1部。RS-485ドライバー、CANのチップ、CANフィルターなどが見える。
14.jpg 犯人の抵抗 R20 (40K)
上の図の拡大。カメラBのブート問題の犯人は、上部中央に見える抵抗 R20 の足(リード線)だった。こいつを取り除かねばならない。
15.jpg 外科手術の術後(40K)
抵抗を取り除くために行った「外科手術」の術後。抵抗の足を切り取ることはできたが、本体を除去することは断念した。これは、抵抗が conformalなコーティングでしっかりと基板に取り付けられていて、無理に取り外すことは基板内を走っている細いパターンにダメージを与えかねないため。
ブート問題の原因を突き止めて解決、ほっと一息、リラックス。左から JA6XKQ 武安義幸氏、JM3MAJ 大畑廣幸氏、JR1SWB 中山幹康氏。
18.jpg (40K)
コンソールのスクリーンを見ながら、問題解決を確認する。左から JM3MAJ大畑廣幸氏、JA6XKQ 武安義幸氏。
19.jpg (49K)
カメラB用の基板を引き出した状態のSCOPEフライトモデル。基板上に3つの同一パターンが見える。この基板はA/Dコンバーター基板で、パターンはそれぞれ赤、緑、青の色を処理する回路。
20.jpg (69K)
カメラB用の基板を引き出した状態のSCOPEフライトモデル。
21.jpg (56K)
カメラAで撮影した画像のシーリングをチェックしている JA6XKQ 武安義幸氏と JM3MAJ 大畑廣幸氏。
23.jpg (55K)
カメラBのCPUボードの修復作業(JA6XKQ 武安義幸氏)とSCOPE用コンソールのプログラ ムに改良を加える作業(JM3MAJ 大畑廣幸氏)が同時進行中。大畑氏が作成したプログラムを使って、 RS-232、RS-485、CAN のいずれでもSCOPEを立ち上げ、完全に動作されることができた。
24.jpg 合宿ミーティングの参加者(51K)
左から、JR1SWB 中山幹康氏、JM3MAJ 大畑廣幸氏、JA2PKI 岡本健男氏、JA6XKQ 武安義幸氏とさえちゃん。


SCOPEチームは、合宿ミーティングにあたりメンバーが作業に集中できるよういろいろと取りはからってくれました岡本夫人に感謝しています。また、またもやリビングを散らかし放題に散らかしてしまいましてごめんなさい。

この資料の作成:
オリジナルテキスト(英文)JA2PKI 岡本健男. 写真のスキャニングによるデジタル化 JG3XOD. テキストの日本語化 JJ1WTK

SCOPEホームページ
    (C) 1997 JAMSAT