TMSAT TO-31の画像フォーマット入門
JAMSAT
JAMSAT 日本アマチュア衛星通信協会

TMSAT TO-31の画像はそのフォーマットが特殊であり、またその情報が不足しているため、あまりポピュラーではありません。TO-31の画像ビューワーを開発したVK5HI Colin Hurstが、AMSAT Australiaのニューズレターに発表した入門教書を、JA0CQP 小松豊昭さんの翻訳で紹介します。


CCDディスプレイ97の著者であるためか、私はたくさんのTMSATの画像に関する質問を頂きました。すぺての画像に関する実験の概要について詳述している正式なSSTL文書が存在していないので、私のところに集まってきた情報の断片や見聞をまとめて、以下のような入門教書を用意しました。これらの内容は、私の知る限り正確なものですが、間違いがあるかもしれませんので訂正することがあります。

TMSAT 画像ファイル名
TMSATの画像に使われているファイル名は、従来のUO-22、KO-23およびKO-25の画像とは異なっています。ファイル構造そのものが、TO-31に搭載されているOBC(オンボード・コンピュータ)で作られているであろう画像に対して、各種画像の分類に役立っているのです。私の知る限り、ファイル名はTMabxx00.im#という構成になっています。

TMは、TMSATであることを示しています。

3番目の文字、a は、以下に述べる画像種類をあらわしています。

  0  従来のUO-22、KO-23型の画像
  1  IR(Infra Red) -- 赤外線画像 多スペクトルカラー画像
  2  赤色画像 -- 多スペクトルカラー画像
  3  緑色画像 -- 多スペクトル画像
  4  特殊実験用ビデオ(詳細は筆者(VK5HI)にも不明)
  5  ビデオのマルチフレーム・サムネイル画像

4番目の文字、b は、更に次のような画像種類をあらわしています。

  0  従来のUO-22、KO-23型の画像
  1  サムネイル画像
  2  SSTL圧縮画像

5番目と6番目の文字、xx は画像番号を16進数で表しています。

7番目と8番目の文字は使われていません。 00 とされています。

ファイル名拡張子の最初の2文字は、現在のところデフォールトで、im となっています。

ファイル名拡張子の中の3番目の文字、# は以下のようなファイルの形式を表しています。

  i  TMSAT標準画像
  t  サムネイル画像
  c  SSTL圧縮画像

現在の画像フォーマット
現在、TO-31では、次の3種類の画像フォーマットが使用可能です。

  1. サムネイル画像
  2. 256階調、広角 (UO-22、KO-23型)
  3. 多スペクトルカラー画像(24ビット)

サムネイル画像
これらは、TO-31の画像ディレクトリーにおいては、TM01xx00.IMTとして判別できます。ここで、xx は16進数で表示される画像番号です。これらのファイルは、22キロバイト(22,032バイト)のファイルです。これらサムネイル画像は256階調のグレースケールであり、広角画像の1/4の大きさでの複製です。

利用者は、まずサムネイルをダウンロードすることを強く勧めます。と言うのは、これらの画像は、広角画像から、更に重要なことはカラー画像から、どんな品質の画像が得られるかを端的に示してくれるからです。(但し、100%正確とは言えません。これについては後述します。)

サムネイル画像 -- ビデオ・タイプ
これらは、TO-31の画像ディレクトリーにおいては、TM50xx00.IMI として判別できます。大きさは未確定です。この画像は、多フレームの連続したサムネイル画像で、CCDディスプレイ97で見れば、地球を廻る衛星の軌道から見たビデオのように表示されます。フレームの数は搭載されているメモリーおよび、長大なファイルをダウンロードする地上局の能力によってのみ制限されます。

広角画像
これらは、TO-31の画像ディレクトリーにおいては、TM00xx00.IMI として判別できます。ここで xx は16進数で表される画像番号です。それらは、343キロバイト(352,192バイト)のファイルです。これらの画像は、256グレースケールで、幅 611ピクセル、576行で表示されます。(CCDディスプレイ97は、これらの画像を.BMP規格に準拠した、612 x 576で表示します。)

多スペクトル 24ビット カラー画像
これらは、TO-31の画像ディレクトリーにおいては、TM10xx00.IMITM20xx00.IMI、およびTM30xx00.IMI として判別できます。ここで xx は、16進数で表される画像番号です。それらは、1,017キロバイト(1,040,400バイト)のファイルです。画像は1,020ピクセル x 1,020行で表示されます。利用者が24ビットの多スペクトルカラー画像を得るには、3つの全てのファイルを取込まねばなりません。

CCDディスプレイ97を使えば、もし利用者が全セットの画像を持っている場合、画像を回転させることや調整することや更に補正することによって、カラー画像を得ることができます。

利用者がただ1つの画像セット、例えば、TM204200.IMI を持っている場合には、CCDディスプレイ97は256グレースケールの画像を表示します。利用者が狭角画像の実力を見るために、全ての画像セットを取込む必要はありません。

将来の画像フォーマット
カラー画像をダウンロードするのに要する時間には、いらいらさせられます。この時間を短くする為に、TO-31のコマンドチームが採用したのは、画像のPK-Zipping圧縮です。近い将来、SSTL圧縮技術によって画像が圧縮されるであろうと思われます。これらの技術は既に、素早く画像をダウンロードするために、TO-31の非アマチュア衛星部分で検証されています。

この時のダウンロードファイルは以下のようになります。

  TM11xx00.IMT -- 赤外線、サムネイル
  TM12xx00.IMC -- 赤外線、圧縮
  TM21xx00.IMT -- 赤色、サムネイル
  TM22xx00.IMC -- 赤色、圧縮
  TM31xx00.IMT -- 緑色、サムネイル
  TM32xx00.IMC -- 緑色、圧縮

.IMI ファイルを作成するには、.IMT ファイルと、.IMC ファイルの組合せを必要とします。CCDディスプレイ97は、このフォーマットでのダウンロードが可能となった時のために、これらのファイルを処理する能力を持っています。

サンフランシスコ地区の画像を作り出すのに使われた画像は以下の通りです。

  TM11xx00.IMT  IRサムネイル   65キロバイト
  TM12xx00.IMC  IR圧縮      273キロバイト
  TM21xx00.IMT  赤色サムネイル 65キロバイト
  TM22xx00.IMC  赤色圧縮    350キロバイト
  TM31xx00.IMT  緑色サムネイル 65キロバイト
  TM32xx00.IMC  緑色圧縮    309キロバイト

ダウンロード途中でセーブすることは、大変重要なことです。この圧縮技術の特色の一つは、たった3個の65キロバイトのサムネイルをダウンロードするだけで、あとは、CCDディスプレイ97が24ビットの、多スペクトルカラーサムネイルを作成してくれることです。

1020 x 1020 の1/4サイズ(256 x 256) のサムネイルは大変よく見える画像です。合成されたサムネイルの"事前試写"によって、完全画像を作成するかどうかを決定することができます。

将来にわたって計画されているTMSAT画像の実験は大変興味のあるものです。

画像間の関連
いまの時点では、私のところではサムネイルとカラー画像の関連性について分析を行うのに必要十分な画像のダウンロードができていません。私は、全ての画像の中心線は同じものであると考えています。しかしながら、この関連性について指摘できるだけの十分な画像を、幸運にもダウンロードされた方からのコメントを頂ければ幸いです。

私はこの短い入門教書が、全画像とファイル名についての正しい認識と理解を得るための助けになったものと確信しています。CCDディスプレイ97は、画像を表示したときに、全ての画像を分類します。しかし、利用者は、どの一群のファイルをダウンロードするかを知っておく必要があります。

今後とも、画像のダウンロードを続けてお楽しみ下さい。コメントはUO-22、KO-23またはKO-25経由で、或いは hurst_cj@msn.com.au 宛 に送ってください。

(編集注) 文中に出てくる画像表示ソフトウエア CCD Display 97(シェアウエア)は、次のURLからダウンロードすることができます。

  ftp://ftp.amsat.org/amsat/software/win32/display/ccddsp97-119.zip



本文は、Colin Hurst / VK5HI と AMSAT Australia の許可を JAMSAT が得て、小松豊昭さん / JA0CQP が翻訳を行いました。JAMSAT Newsletter No.195 より転載。
   
Original text by Colin Hurst / VK5HI. Translated by Toyoaki Komatsu / JA0CQP, JAMSAT, under permission from VK5HI and AMSAT Australia.

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