EYESAT-1/AO-27
JAMSAT
JAMSAT 日本アマチュア衛星通信協会

AO-27は商用実験マイクロ衛星EYESAT-1に搭載されたアマチュア無線によるデジタル通信機能です。この搭載機器は米国ワシントン近郊の技術志向の非営利団体 AMRAD のメンバーにより製作されました。
下の最新情報も参照のこと

諸元

名称: AMRAD-OSCAR 27 aka EYESAT-1
NASA カタログ番号: 22825
打ち上げ: 1993年9月26日
打ち上げ機: Ariane 4
打ち上げ地: フランス領ギアナ、クールー

大きさ: 150 x 150 x 150 mm
重量: 11.8 kg

軌道: 低高度 極軌道
軌道傾斜角: 98.5 度
周期: 101 分

周波数と運用モード

アップリンク:
145.850 MHz

ダウンリンク:
436.800 MHz

解説

AMRAD/EYESAT-1 は1993年9月26日の0147UTCにフランス領ギアナからアリアンV59ロケットで打ち上げられた3つのアマチュア衛星の一つです。軌道に投入された後、慣例によりAMRAD-OSCAR-27の名前が与えられました。同時に打ち上げられた残りの2つの衛星はKITSAT-OSCAR-25 (KO-25) と Italy-OSCAR-26 (IO-26)です。

AO-27 はEYESAT-1衛星に搭載された2次的なペイロードでアマチュア無線の通信機能を有しています。EYESAT-1はインターフェロメトリクス社が製作した実験マイクロ衛星であり、AMSATからライセンスされたマイクロサット・バス構造が使われています。この衛星の業務上の目的は、工業機器の移動の監視の実験です。

アマチュア機器は、米国ワシントン近郊の技術志向の非営利アマチュア無線団体である AMRAD の会員がデジタル衛星通信の実験を行うために製作しました。

AO-27 は現在、空飛ぶFMリピータとして機能しています。 それは基本的には 145.850MHz のFM受信機と 436.797MHz のFM送信機で構成されます。 送信機の出力は 1W (ほとんど使われません)、600mW (通常の運用)と 0.1W(エキサイター段だけ)を選択できます。 アップリンク受信用アンテナは衛星の上面の直線偏波ホイップであり、これは商用ペイロードの受信機と共用しています。 ダウンリンク送信用アンテナは衛星の底面の1/4波長ホイップであり直線偏波ですが、衛星姿勢の変化と電波伝播の影響により受信局から見た信号の偏波面は大きく変動します。

衛星の限られた電力による制限と衛星の電池の寿命を可能な限り長く保つために、AO-27のアマチュア業務用の送信機は軌道の日照を受ける側だけONにされます。 1998年の9月の時点で、衛星は当初の5年の設計寿命をバッテリーの劣化が非常に少ない状態で向かえることができました。ですから、この運用の哲学は正しかったといえるでしょう。

一般的なUHFとVHFのアマチュア無線機器を使ってこの衛星を経由した通信を行うことができます。アマチュア無線用トランスポンダは主に週末の日中に稼動しています。

衛星のコントロールオペレータは Michael Wyrick, N4USI です。

AO-27 の運用スケジュール

AO-27 は週末に北半球を日中に通過するときにFMリピータモードで運用されています。 "TEPR" (Timed Eclipse Power Regulation) ステートは衛星に日光があたっている時間と日陰に入っている時間を分単位で表したものです。 TEPR の値は数ヶ月ごとに、AO-27が日陰に入ったり出たりする季節ごとの緯度の変化に合わせて変更されます。Chuck Wyrick, KM4NZがTEPRステートについて解説しています。 ほとんどの軌道計算ソフトはAO-27がパスの途中でONになるか予測するための情報を表示します。

リピータは衛星の可視範囲に日のあたっている北緯38度に達した時から20分弱運用されています。また、臨時に夜間運用されることもあります。

このAO-27衛星のFMリピータモードを使う時は、FMの特性のためにもっとも強力な1局だけがトランスポンダを占有してしまう点に注意してください。ユーザーは一回のパスでなるべく多くの局が利用できるように協力し合い、一回の送信を短くし、ブレークを含めるなどの手法をとるべきです。もちろん送信前に十分モニターし、また送信中もモニターすべきであることは言うまでもありません。衛星は非常に感度の良い受信機を備えており、25Wを無指向性アンテナに送り込んだだけでも十分なアップリンク信号となります。プリアンプをつけた感度の良いUHF受信機と無指向性アンテナがあれば、多少のフェージングを伴ったAO-27のダウンリンクを聞くことが出来ます。ほどほどに利得のある指向性アンテナを使えば完全な受信信号を選られるでしょう。 ダウンリンクの436.797 MHzでは +/- 9 kHz のドップラーシフトがありますから補正が必要です。アップリンクの 145.850MHz にはドップラーの補正は必要ありません。

ユーザーは衛星のダウンリンクが聞こえない間は 145.85 MHz で送信すべきではありません。これは他の衛星へのアップリンクや隣接するダウンリンクに干渉を与えるかもしれないからです。

この衛星に関する質問は ka1lm@amsat.org にお送りください。

Michael Wyrick, N4USI
wyrick@interf.com
Control Operator, AO-27
Systems Engineer, Interferometrics

Steve Greene, KA1LM
ka1lm@amsat.org

参考文献・情報

John Hansen, "New Satellites in Orbit," The AMSAT Journal, Vol. 16, No. 5, Sep/Oct 1993, p. 1.

Steve Ford, "AMRAD Oscar 27," QST, Dec 1993, p. 107.

AMSAT-NA Web Site
http://www.amsat.org/amsat/sats/n7hpr/ao27.html

AMRAD
P.O. Drawer 6148
McLean, Virginia, USA, 22106-6148
http://www.amrad.org
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