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[jamsat-news:1316] SATINF#174 20 August 2000
衛星情報 SATINF#174 20 August 2000
1.運用中の衛星
●AO-10
姿勢安定化のためのスピンが止まってしまい、姿勢がふらついているもの
と思われます。そのため、状態はその日によって違います。ビーコンを受信
し、状態を把握してQSOに望むと良いと思います。
遠地点が南であるためため、ヨーロッパや北米と窓が僅かになってしまっ
ています。反面、近地点付近で北米との窓が数分間開けるのでローパワーや
簡単な設備で北米とのQSOのチャンスがあります。
8月20日は遠地点付近でも良好なダウンリンクが帰ってきていました。
●RS-12/13
RS-13がKAモードで運用しています。北米では盛んに使われていますが、
日本ではほとんどアクティビティがありません。
8月20日22時過ぎのパスでは21MHzの信号が良く聞こえていました。ダウン
リンクも良好でした。
●RS-15
Aモードで運用されているようですが、ビーコンは5秒間キャリアを送信、
2秒間停止を繰り返しているようです。トランスポンダは、ビーコンの送信
がおこなわれている間だけオンになっています。
●FO-20
一時聞こえなくなったビーコンですが、再び聞こえるようになりました。
トランスポンダは良好に動作しています。
●FO-29
リクエストが多いようで、夏休みの間はデジトーカの運用が続きます。
今後のスケジュールは次の通りです。
7/20 - 8/31 デジトーカ
(水曜日は状態確認のためアナログモードで運用)
●AO-27
ソフトウエアのアップロードがおこなわれており、一時的にトランスポン
ダの運用が停止していましたが、運用を再開したかどうかは未確認です。
日照時間帯はトラポンがオンになります。
7月26日にスケジュールが変更されました。新しいスケジュールは
TEPR 4=46
TEPR 5=82
です。衛星に日が当たり始めた23分後から18分間トランスポンダが動作しま
す。
[from KM4NZ Chuck @amsat-bb]
●AO-16
RBBSは再開されていませんが、デジピータがオンになっています。
Sバンドの運用は停止しています。
●LU-19
CWビーコンがオンになっています。CWビーコンは12WPMのゆっくりとした
CWで約30秒毎に送信されています。テレメトリの解読は、SATINF#159 16
January 2000を参照してください。
8月20日21時過ぎのパスでは強力なCWビーコンを確認しました。
●UO-11
正常動作しているようです。
●UO-14
アマチュアバンドに復帰し、JモードのFMリピータの運用がおこなわれて
います。
8月13日にはロシアのモービル局が運用をしていました。
●UO-22
全日照に入り、温度上昇を抑えるために衛星の姿勢を変えていましたが、
姿勢は既に元に戻されたようです。
●KO-23
食の時間が長くなり、電源事情が悪化し、運用が不安定になっています。
8月20日18時過ぎのパスではRBBSの運用がされていました。
●KO-25
正常運用しています。
●IO-26
デジピータがオンになっています。
●TO-31(TMSAT-1)
BBSへの書き込みはできませんが、ディレクトリ、テレメトリデータ、CCD
カメラの画像データのダウンロードが可能です。
●GO-32(TechSat-1B)
断続したビーコンが送信されているようです。
●SO-33(SedSat-1)
現在までに管制局のアラバマ大学では18000行のテレメトリデータを収集
しており、以下のサイトで公開しています。
http://uah.seds.org/projects/sedsat/
これらのデータは、太陽電池パネルやバッテリの解析などに有効に機能
しています。管制局では今後ともテレメトリデータの収集に協力してほし
い旨伝えています。
テレメトリはSGS20というソフトでデコードします。SGS20は、
http://uah.seds.org/projects/sedsat/SGS20Source.zip
から入手できます。
テレメトリがデコードできたら管制局 telemetry@seds.org へレポー
トして下さい。
●SO-35(SunSat)
FMトランスポンダがJモード(up:145.825MHz/down:436.250MHz)で動作し
ています。
8月27日までの日本上空でのFMトランスポンダの運用スケジュールは次の
ように発表されています。東京で最大仰角となる夜のパスでトランスポンダ
が動作する傾向にあるので、そのパスを目安にワッチしてください。
8/21 1748-1802 JST
8/22 1847-1901
8/23 1807-1821
8/24 1726-1740
8/25 1825-1839
8/26 1745-1759
8/27 1844-1858
FMトランスポンダが動作していない時間は、デジピータとして動作して
ます。デジピータの周波数は、
up:145.825MHz 9600bps,145.900MHz 1200bps
down:436.250MHz 9600bps
です。
(SATINF#173では、1200bpsと9600bpsのアップリンク周波数が間違ってい
ました。訂正します。tks JH3DXH/4)
デジピート用のコールサインは SUNSAT-*(*はSSID。SSIDは何番でもok)
で、デジピートするには、unprotoを
UNPROTO CQ VIA SUNSAT-3
のように設定し、CONVERSモード(convコマンドまたはkコマンドを実行)
で送信すると信号がデジピートされます。
SunSatの情報は、次のweb siteから得られます。
http://sunsat.ee.sun.ac.za
http://esl.ee.sun.ac.za
http://www.jamsat.or.jp/oscar/sunsat/mirror/
2.調整中の衛星
◎SNAP-1
SNAP-1は、OBC(on-board computer)を搭載していないため、マニュアルで
衛星を制御しなければなりません。また、小型衛星であるため、電源に余裕
が無く、コマンド局(英国 サレー大学)の可視範囲でのみ、ダウンリンク
をオンにしています。
ダウンリンクは、2430MHz 100mW、38.4kbpsですが、2.4mのディッシュで
良好に受信できているそうです。
[from G7UPN Chris @amsat-bb]
▲PO-34(PanSat)
スペクトラム拡散の運用が予定されていますが、未だ運用されていません。
PanSatの情報は以下のサイトから得られます。
http://www.sp.nps.navy.mil/pansat/
●UO-36(UoSAT-12)
437.400MHzで38.4Kbpsの信号を送信しているようです。
何度か受信を試みていますが、信号は聞こえませんでした。
UO-36の情報は以下のサイトから得られます。
http://www.sstl.co.uk/
3.運用を停止している衛星
▲MIR
搭乗員は6月16日にMIRを離れ、無人状態になっており、アマチュア局の運
用は停止しています。
新しい搭乗員が乗り組むのは、MIR誕生15周年となる2001年2月が予定され
ています。
▲DO-17
▲WO-18
▲WO-39(JAWSAT)
4.これから打ち上がる衛星
●P3D
7月25日に予定されていたアリアン506の打ち上げはロケットの問題で延期
されましたが、問題が解決したため、9月14日に打ち上げ予定日が設定され
ました。また、年内の打ち上げは予定通りにおこなうとの発表がアリアンス
ペースからありました。
AMSAT-UKコロキュームでP3Dの打ち上げは10月31日であり、打ち上げキャ
ンペーンを9月11日から始めると発表があったようですが、AMSAT-NA、DLか
らの正式な発表はありません。
[from G3RWL Richard @amsat-bb]
アリアン44は、8月17日に打ち上げがおこなわれ成功した模様です。
アリアンスペース打ち上げ予定
打ち上げロケット ペイロード 打上予定/結果
---------------------------------------------------------
V128 Ariane 505 AsiaStar, Insat 3B 3/21 成功
V129 Ariane 42L Galaxy 4R 4/19 成功
V130 Ariane 506 Astra 2B, GE-7 9/14
V131 Ariane 44LP Europe*Star 8/17
or 44L
V132 Ariane 507 AMSAT P3-D, PAS-1R, 10/31? 11/9?
STRV-1C/1D
●ISS
7月12日にロシアが打ち上げたZvezdaモジュールは、7月26日0044zにISSと
ドッキングに成功しました。これでISSはZarya、Unity、Zvezdaの3つのモ
ジュールがつながり、長さ36.6m(120フィート)になりました。ZvezdaはISS
搭乗員の居住棟になります。ZvezdaにはARISS用のアンテナケーブルを引き
込む口が4つ設けてあるそうです。
ARISSのイニシャル局の設備は、9月8日打ち上げ予定のSTS-106 スペース
シャトル アトランティスによってISSへ運ばれる予定です。
イニシャル局は、2mと70cmのエリクソン製ハンディ機(出力5〜6W)、
Paccom製ピコパケットTNC、David Clark製特性ヘッドセットなどから構成さ
れます。これらの設備は、最終チェックを終え、打ち上げを待つばかりになっ
ています。
アンテナは、イタリア、ロシア、米国のチームで開発を完了していますが、
ISSへの取り付けは2001年後半まで取り付けることができない状況です。しか
し、幸いにもZaryaに2mのアンテナが設置してあるので、当面はこのアンテナ
を使って運用をおこなうようです。
ARISSの運用はISSが有人化となる10月30日以降からの予定です。
●SAUDISAT-1A、SAUDISAT-1B、Tiungsat-1
8月25日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地より次のアマチュア衛星
が3機同時に打ち上げられます。アマチュア衛星ではないようですが、
DNEPR-1という衛星も同時に打ち上がるようです。
SAUDISAT-1A、SAUDISAT-1B
サウジアラビア初のアマチュア衛星。Pacsatと同一プロトコルの9600bps
のデジタルモードとFMトランスポンダを持っているようです。ダウンリンク
は次のように発表されています。アップリンク周波数は2mですが、打ち上げ
後に公表される予定です。
SAUDISAT-1A:437.075MHz
SAUDISAT-1B:436.775MHz
[from Dr. Turki Al Saud @amsat-bb]
Tiungsat-1(マレーシアのムクドリの意味)
マレーシア初のアマチュア衛星。Astronautic Technology (M) Sdn. Bhd.
(ATSB) とSurrey Satellite Technology Ltd. (SSTL)との共同開発。衛星の
仕様は以下のとおりです。
大きさ:690 x 390 x 360 mm
重量:50kg(筐体35kg、ペイロード15kg)
太陽電池:GaAs製 35W(max)
搭載機能:マルチスペクトラム画像システム
(MSEIS:Multi-Spectral Earth Imaging System)
気象画像システム
(MEIS:Meteorological Earth Imaging system)
RBBS
高度:645.1km(遠地点)、639.7km(近地点)
軌道傾斜角:65〜67℃
データ伝送速度:9600bps、38.4Kbps、76.8Kbps FSK
アップリンク周波数:144.46、145.85、145.86MHz
ダウンリンク周波数:437.300、437.325、437.350、437.375MHz
アンテナ:4モノポール ゲイン0dBi、無指向性
[from 9M2SS Sangat @amsat-bb]
◎Kollibri
Kollibriというアマチュア衛星が2001年にMIRの補給船プログレスから打
ち上げ(放出)される計画があります。テレメトリとデジタルボイスの送信
機能を持ち、大気圏に再突入するまでの4〜6ヶ月間、運用をおこなう予定で
す。
http://www.iki.rssi.ru/kollibri/missija1.htm
に詳細があります(ロシア語)。
[from WF1F Miles @amsat-sarex]
5.衛星に関する情報
★ハムフェア2000
8月18日から20日まで、パシフィコ横浜でハムフェアが開催されました。
FO-29のデジトーカ公開受信は好評で、沢山の方にデジトーカの受信を体
験してもらいました。
ハムフェアに合わせて来日された衛星にアクティブなXE1KK Ramさん、
VR2XRW Loganさんらともアイボールすることができました。
JAMSAT関連の状況は、以下のサイトにアップしてあります。
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/3025/index.html
[from 7K4IIN]
会場では、衛星に対応した新しい無線機のお披露目がありました。
ICOM IC-810
2m、70cm、24cm(24cmはオプション)に対応したIC-821後継のコンパクト
V/Uオールモードトランシーバ。中央の大型LCDが特徴的。CQ誌9月号に記事
があります。
KENWOOD All-Mode Multi-Bander(参考出展)
デイトンでお披露目されたものです。型番は、まだ付いていません。サ
テライトモードを搭載していますが、サブバンドはFMとAMにしか対応して
いません。衛星でSSBを運用される局にとっては機能は不足です。
★T88 パラオ
パラオから衛星を運用されたJA6BX 江崎さんとJR6NVG 山下さんは、SO-35
経由で、のべ12局とQSOされました。
ロケーション、設備の制約など、悪条件の中の運用だったそうです。ご苦
労様でした。
★パームトップ コンピュータ用軌道計算ソフト
手の上に乗るパームトップコンピュータがこの秋、日本でも流行の兆しで
す。
パームトップコンピュータは、大別するとPalm OSを搭載したものと
Windows CEを搭載したものの2種類があります。これらに対応した軌道計算
ソフトは以下のものがあります。
Palm OS用ソフト
PocketSat
低軌道衛星用軌道計算ソフト(AO-10の軌道計算は不可)。
可視時間の計算とAOSからLOSまでリアルタイムで衛星の位置をプロット
する2つのモード。
www.emmgraphics.com/pilot から入手可能。
Windows CE用ソフト
WiSPでおなじみのG7UPN Chris氏作のソフト。
現行のバージョンはベーシックな軌道計算のみ。地図上に衛星の位置
を表示する機能等をサポート予定。
http://homepage.ntlworld.com/c.d.jackson/ptrack/ から入手可能。
参考
ANS、SpaceNews、JAMSATメーリングリスト、AMSATメーリングリスト
JN1GKZ 新井
jn1gkz@jamsat.or.jp http://www.din.or.jp/~m-arai/