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[jamsat-news:505] Phase-3D Integration Test Progress


出処ANS-068およびJAMSAT-NEWSを明記しての転載可
Phase-3Dの進捗について、[jamsat-news:501] ANS-068から紹介します。
                   訳:JA3GEP  毛利幹生
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 先日1997年2月末から3月初めの週にかけて、フロリダ州オーランドのAMSAT 
 Phase-3D組立工場に、各国からメンバーが集まり、組み上げとテストを行い
ましたが、その結果は、記念すべきものとなりました。

 AMSAT-DL Vice PresidentであるWerner Haas, DJ5KQと、AMSAT-NAの
Executive Vice PresidentであるKeith Baker, KB1SFは共同で、この2週間に
すばらしい進展があったと3月7日に、報告しました。

 「Phase-3Dに生命が吹き込まれ、良好に動作している。」「組み上げテスト
のため、今回初めて世界中から集まったのだが、やろうとしていたことは、す
べて達成することができた。」と、DJ5KQは報告しました。

 この期間に、衛星のメイン電源、コンピュータ(IHU)および X-Band, V-
Band, U-Bandの送信機が、チームによって組み込まれ、電源が入れられ、徹底
的にテストされました。すべて、問題なく動作しました。さらに、衛星に搭載
される各種の受信機もその後組み込まれていて、徹底的にテストされ、現在も
良好に動作中です。

 日本のJAMSATによって製作されたSCOPEカメラも、無事に筐体へ組み込まれ、
通電されました。テスト期間中には「日の出」が撮影され、その最初の画像の
質は、素晴らしいものでした。

 送信機と受信機の組み込みと平行して、受信機を送信機へと自由に相互に接
続するIFマトリックスと、アリゲータ抑圧用の自動アッテネータ機構LEILAも、
筐体へ完全に組み込まれました。

 3月4日火曜日の午後遅くは、Phase-3Dの歴史において記念すべき瞬間でした。
チーム員Werner Haas (DJ5KQ), Peter Guelzow (DB2OS), Keith Baker (KB2SF)
, Lou McFadin (W5DID)が、Phase-3DのコンフィギュレーションU/Vのトランス
ポンダーを用いた、初めての交信を成し遂げたのです。この実験の際には、U-
Bandの受信機がIFマトリックスを経て、V-Bandの送信機へ接続されていました。

 そこへ、 Stan Woodが、わざとハイパワーの信号で割り込んできたとき、
Phase-3Dのもう一つの能力、LEILAの威力が証明されました。彼のダウンリン
ク信号に、LEILAは最初は、警告音をかぶせました。チーム員が興味津々で見
守る中、さらにStanが彼の「アップリンク信号」を強めていくと、LEILAは最
初140WあったV-Bandのパワーを、2Wまでカットしてしまったのです。通信系を
開発していたドイツのチーム員が、彼らの開発したPhase-3Dの非常に有能な新
しい機能が、完全に期待通りに働くことをアメリカのチーム員に見せ付けるこ
とができて、大喜びしたことは、いうまでもありません。

 Phase-3Dプロジェクトのリーダとして、Dr. Karl Meinzer(DJ4ZC)は、 
Werner(DJ5KQ)、Peter(DB2OS)とともに、アメリカ滞在中の配慮に対し、感
謝の意を表明しました。もちろん、多くのなさねばならないことが残っていま
すが、7月に予定されている打ち上げに向け、今回の組み上げとテストは、ス
ケジュール通りに進展しました。Phase-3Dを「打ち上げ準備完了」状態にする
ための作業が続きます。関心を持って、ANSの新しい情報に注意していてくだ
さい。

 Phase-3Dが最終の組み上げに入っていたその隣の部屋では、3月の初めに、
プロジェクトの財政の現状に関する代表者ミーティングが行われていました。

 3月4日にはAMSAT-DLのVice President Werner Haas, DJ5KQ と、 AMSAT-NA
の Executive Vice President Keith Baker は共同で、今までのところ、募金
は予定通り集まっており、各組識の支出に当てられている、と、概要を報告す
るとともに、衛星を完成させ、打ち上げるまでに必要な資金の見直しについて
も、報告しました。

 Keithによれば、「必要額と募金額のギャップは狭まってはいるが、まだ見
通しは立ってはいない。」状態です。1996年12月31日現在で、Phase-3Dプロジ
ェクトの2大資金提供者であるAMSAT-DLとAMSAT-NAから、それぞれ $1.6 
Million (US))と$1.4 Million (US)の、計 $3.0Million (US)の提供を受けて
います。Phase-3Dが予定通り今年の中頃に打ち上げられ、テスト中に重大なト
ラブルが生じないと仮定しても、テストを完了し、南米の仏領ギアナのクール
ーへ船積みし、そこでの各種作業を実行するには、さらに、$700,000から$800,
000が必要と、Phase-3Dチームは見積もっています。

 プロジェクトを完遂するのためにこれから必要な出費と、すでにある、ある
いは入ってくることになっている資金とを比較して、現在目処の立たない資金
は$200,000.とチームでは見積もっています。最近の募金活動で、大きな成果
が上がっています。これらの、ありがたい多額の募金にもかかわらず、プロジ
ェクトを完遂するのには、あとおよそ$120,000を、なんとかひねり出さなけれ
ばなりません。

 もちろん、これらの額は、クールーから予定通りに打ち上げられ、これから
もトラブルが生じなかったと仮定してのものです。 Wernerが言うように、も
し、打ち上げが延びたり、最終的な組み上げやテストの際に衛星にトラブルが
発生したりすれば、衛星を仕上げて打ち上げるのに、さらに巨額の資金が必要
となります。

 全世界のPhase-3Dチームを代表して、このプロジェクトに対し、長年にわた
って資金カンパを続けてくれた人たちへ、KB2SFKeithが感謝を述べています。
「Phase-3Dを実現するために技術活動をしている間にも、多くの方がPhase-3D
を実現する資金的な活動に、非常な犠牲を払い続けていて下さっていることを
忘れたことはありません。」

 「このプロジェクトに募金するために、多くの方が、本来シャックのリグを
購入するはずだった計画をよろこんで延期してくださったことを、チーム員は、
本当にありがたく思っています。このような援助で、このプロジェクトは初め
て実現できたわけですし、アマチュア無線精神の一つの現われでもあると思い
ます。」

 いよいよPhase-3Dは、European Space Agencyの次のAriane 5(Ariane 502)
に搭載され、南米フランス領ギアナのクールーから打ち上げられます。今の予
定では、打ち上げは7月初めです。ANSの今後の情報に、ご注目ください。

 [ANS thanks Werner Haas, DJ5KQ and Keith Baker, KB1SF, for the 
information that went into this bulletin item.]