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[jamsat-bb:11070] AO-40の軌道の変化


JF6BCC 今石です。

# 今日はあの日です。皆さん、お返しはしましたか? (^^;)。

  さて、素人の頭で考えますと、推進機構が使えなくなって軌道変更ができな
い AO-40 では、その軌道は宇宙空間に固定されていて、楕円軌道の長径 (Major
Axis) の方向は、季節が変わっても変化しない、と言うことになります。図に
すると、こんな感じでしょうか。

昨年 11 月に作った図
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/4703/temp/ao-40-cycle.gif

  この通りだとすると、AO-40 は毎年 1〜3 月と 7〜9 月には、太陽との角度
の関係で通信が困難になり、その間の期間はフルに通信ができるようになる、
というのをずっと繰り返していくことになります。でも、本当にそれで正しい
のでしょうか?。AO-40 の初心者にそう説明して構わないのでしょうか?。

  そこで、AO-40 の軌道変更が終了した昨年 2001 年1月以降、AO-40 の長径
方向が変化していないかどうか、古い軌道要素と CALSAT32 で調べてみました。
  方法は、それぞれの軌道要素の発行された日の AO-40 の遠地点 (MA=128) 時
の方向と、その時の太陽の方向との差を、それぞれのサブサテライトポイント
の経度で取得し (CALSAT32 から GL で取得し変換) て求め、また、地球の公転
によって太陽の方向がズレていく量も合わせて補正する、と言うものです。

  日          太陽  AO-40  差   方向補正 結果 (単位:度)
  2002/03/07  116E  100E  - 16   + 64    +48 
  2002/02/07   70E   76E  +  6   + 37    +43 
  2002/01/03   78E  118E  + 40   +  2    +42 
  2001/12/06   28E   92E  + 64   - 25    +39 
  2001/11/01   38E  132E  + 94   - 60    +34 
  2001/10/04  350E  108E  +118   - 87    +31 
  2001/09/07   20E  156E  +136   -114    +22 
  2001/08/02  320E  122E  +162   -150    +12 
  2001/07/05  198E   26E  -172   -178    +10 
  2001/06/07   70E  280E  -150   +155    + 5 
  2001/05/03  300E  178E  -122   +120    - 2 
  2001/04/05   68E  324E  -104   + 93    -11 
  2001/03/07  120E   40E  - 80   + 64    -16 
  2001/02/01   76E   20E  - 56   + 31    -25 
  2001/01/04  204E  172E  - 32   +  3    -29 

  この表で、「差」は太陽方向に対する長径方向の角度差を、北半球地上から
みて東(左)方向を+、西(右)方向を−にしたものです。また「方向補正」
は、元日をゼロとして、公転にそって太陽の方向が東にズレていく分を補正す
るためのものです。「差」と「補正」を加算することで、元日の太陽の方向と
AO-40 の軌道の長径方向との差がわかることになります。

# 本当は、これを表現する専門用語があるんだと思いますが (^^;)。

  結果、精度が雑なので細かな数値はアテになりませんが (^^;)、ご覧の通り
長径方向は、東方向へと大きく変化しています ('o')。昨年3月からの1年間
で実に 64 度も変わっています。原因としては、地球大気によるドラグや、月
・太陽・他の惑星からの引力などがあるのでしょうが、そのあたりはよくわか
りません (^^;)。
  もし、今後も同じように変化していくとすれば、今年の冬は早朝に使えた 
AO-40 は、3年後の冬には夕刻に使えるようになる訳です。…これでは、前述
の図は「大嘘」ってことになりますね。うわぁ、危ない危ない (^^;)。偉そう
に説明してたら大恥をかくところでした。

  軌道の長径方向が固定なら、AO-40 の使用可能な時間帯は、1週間ごとに 28
分ずつ早まっていく事になる訳ですが、長径方向が今後も年 60 度ほどの割合
で東方向に変化していくともし仮定すれば、AO-40 の使用可能時間帯の早まり
方は1週間ごとに 23 分と「鈍く」なることになります。
  現在、AO-40 が遠地点にある時のサブサテライトポイントの時刻は 10:30 頃
ですから、地上から AO-40 が見える時間帯は 5:30〜15:30 あたりです。これ
が、運用に適当な 20:00 を中心とした 14:00〜2:00 の時間帯にまで変化する
のは 45 週間後、約 10 ヶ月後(2003年1月頃)と言うことになりますね (--;)。

  …夜間、のんびりと AO-40 を楽しめるようになるには、あと 10 ヶ月もかか
るのかぁ… (-o-;)。

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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
JF6BCC/KH2GR
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