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[jamsat-bb:10800] Re: 統計値から・・・


Mr. Shibayama wrote at 31 Jan 2002 12:17,

>                         「信頼度95%の母平均mに対する信頼区間」
> 
>                                                         |    |
> アナログ送信電力 (# 20mW)                               |    |
>  ( Data 1 )   629.9[mW] : ###############################    |
>  ( Data 2 )   649.4[mW] : ################################   |
>  ( Data 3 )   707.9[mW] : ###################################|
>  ( Data 4 )   642.9[mW] : ################################   |
>  ( Data 5 )   642.9[mW] : ################################   |
>  ( Data 6 )   603.9[mW] : ##############################|    |
>  ( Data 7 )   785.9[mW] : #######################################
>  ( Data 8 )   759.9[mW] : ######################################
>  ( Data 9 )   675.4[mW] : ################################## |
>  ( Data10 )   584.4[mW] : ############################# |    |
>                                                         |    |
> 
> 全体の平均値=668.3
> 全体の中央値=646.2(小さい順に並べて5番目と6番目の平均)
> 
> この信頼区間から、
> 統計的に何がわかり、物理的に何が推定できるのでしょうか。
> 
> 素人ですので統計的推定・判断方法とは異なり、
> 下記推定方法は正しくないのかもしれませんが、
> 何を知ればよいのでしょうか。
> 
> 
> 送信出力の平均値は、数学的な意味合いでしかなく、
> 実際には、信頼区間以外は何らかの異常状態ではないか?
> 異常のデータが4割あるということは、どういうことなのか?
> 原因は発電量なのか?、その原因は衛星の空間的位置なのか?、
> または、衛星の傾きと太陽の関係なのか?
> この変動は最初から想定され、
> 異常とは言えず稼動に問題ない範囲なのか?
> もっと変動が少なくなる送信部の設計が必要なのか?
> 
> 信頼区間内のデータの平均値=658.1
> 信頼区間内のデータの中央値=646.2
> 信頼区間内のデータの平均値が、
> 全体の平均値668.3から中央値に向かう方向にあるということは、
> この辺の660前後が実質的な稼動の中心の値ではないのか?
> 本来あるべき正規分布の中心なのか?
> この660前後が、何の意味合いを持つのか?
> 本来想定した設計電力に合致するのか?
> 
> AO-40のように空間的位置が大きく異なる場合は、
> 今回の値は、
> 大きく変動する内の特定位置で発生する中心値
> ということも考えられますが、
> FO-29ではどうなのでしょうか。
> よくある値なのでしょうか?
> 
> それとも単純に、周期、非周期を問わず
> 機械的な変動なのでしょうか?
> 
> いろいろな推定と問題がでてくると思いますが、
> この信頼区間の結果をどう判断すればよいのでしょうか。
> FO-29の特性や過去のデータ状況もわからないので、
> 単純に今回の結果のみで考えてみました。


補足します。

調査したいものの全体の集まりを「母集団」といい、この母集団から抽出され
たものの集まりを「標本」といいます。その母集団のもつ特質・性質を調べよ
うとした時に、この標本からそれを推定しようというのが目的です。この特質
を表すために、平均や分散・標準偏差を導入するのは自然な流れです。

一般に、母集団のもつ分布や平均・分散(これを母平均・母分散という)がわか
らないので、標本から(標本平均・標本分散という)その母集団の母平均・母分
散を推定しようというわけです。

今、10個の標本 629.9, 649.4, 707.9, 642.9, 642.9, 603.9, 785.9, 759.9,
675.4, 584.4  の標本平均Xを使い、「信頼度95%の未知の母平均mに対する
信頼区間」として、621.8<m<714.8  を求めました。言い換えると、確率を
表す記号Pを用いて、この区間をL1とすれば、P(L1)=0.95  と書けます。
この計算に t-分布を用いたわけです。この式のもつ意味は、真値のmがこの
区間に入る確率は 0.95 であるということです。

同様に、区間 [X−t*(u/root(n))< m <X+t*(u/root(n)]  を用い
て、他の10個の標本から別の区間L2が求まり、やはり P(L2)=0.95 です。
以下同様に、P(L3)=0.95 、P(L4)=0.95  ・・・ です。つまり、大きさ
nの標本を抽出して信頼区間をつくる操作を何回も行うと、その回数が多い時
には、これらの区間のうちmを含むものが、ほぼ 95% あることが期待される
ということ、これが信頼度 95% のもつ意味です。


             |                                           
             |          L5 ----+----                     
             |                                           
             |                         ----+---- L4      
             |                                           
             |               L3 ----+----                
             |                                           
             |                                           
             |    L2 ----+----                           
             |                                           
             |          L1 ----+----                     
             |____________________.____________________  
                             |   m   |                 X
                     m-t*u/r(n)      m+t*u/r(n)


上図の例では、信頼区間の L1,L3,L5 の3つが真値mを含み、L2, L4 の
2つは真値mを含んでいない様子を示しています。

従って、ある標本値がこの区間から外れているからといって、それが物理的な
外因による何らかの異常現象が生じた、と結論づけることはできないですし、
また、区間推定の結果から、それ以上の物理的な要因を予想することはできて
も、特定することはできません。

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QTH  : Yokohama, Japan
Date : Jan 31, 2002
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