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[jamsat-bb:10796] FO-29 JTA 統計的解析


衛星FO-29 の CWテレメトリを解析した中から、アナログ(JTA)送信電力の数値
について、統計的に処理してみます。まず、次は 1月29日に受信したデータを
Fo29cwt2 プログラムにより解析した最新データです。


受信:高山 秀造  JH6MME  , in jas2info #260
解析:脇田美根夫 JE9PEL/1, with Fo29cwt2.exe (Ver 2.43)

29Jan2002, 18:33-18:47(JST), Freq. 435.803-.785MHz

(行頭 "HI HI")
AE C7 88 55 O0 D4 FF 71 09 21 A8 4B 5E 63 9A 97 B0 70 81 83 88 84 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A8 52 58 63 9A 97 B0 73 81 83 88 84 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A7 58 57 63 9A 97 B0 7C 81 83 88 84 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A7 5F 53 63 9A 97 B0 72 81 83 88 85 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A6 65 4E 63 9A 97 AF 72 81 83 89 85 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A5 6A 4B 64 9A 97 AD 6C 81 82 89 85 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A4 6F 48 65 99 95 A9 88 81 82 89 85 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A3 72 45 66 97 94 A5 84 81 82 89 85 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A2 74 43 67 96 93 A1 77 81 82 89 85 81
AE C7 88 55 00 D4 FF 71 09 21 A1 74 44 66 95 92 A2 69 81 82 89 85 81

アナログ送信電力 (# 20mW)
 ( Data 1 )   629.9[mW] : ###############################
 ( Data 2 )   649.4[mW] : ################################
 ( Data 3 )   707.9[mW] : ###################################
 ( Data 4 )   642.9[mW] : ################################
 ( Data 5 )   642.9[mW] : ################################
 ( Data 6 )   603.9[mW] : ##############################
 ( Data 7 )   785.9[mW] : #######################################
 ( Data 8 )   759.9[mW] : ######################################
 ( Data 9 )   675.4[mW] : ##################################
 ( Data10 )   584.4[mW] : #############################


この10個の標本、629.9, 649.4, 707.9, 642.9, 642.9, 603.9, 785.9, 759.9,
675.4, 584.4  の平均値 (統計用語で標本平均) Xを求めると、X=668.3 と
なります。

もしアナログ送信電力の値が、母平均m・母分散σ^2 の分布をもつ母集団で、
ここから大きさnの標本を抽出したとすると、標本平均Xの分布は、nが十分
大きいと、正規分布N(m、σ^2) に近似的に近づく、ということが知られて
います。 これが、統計学の分野で言うところの「中心極限定理」です。

また、標本平均Xのそのまた平均はmで、標本平均Xの分散は(σ^2)/n とな
ることも知られています。 従って、母平均m・母分散σ^2 の母集団から抽出
した大きさnの標本の標本平均Xについて、nが十分大きいとき、次の不等式

  X−1.96*(σ/root(n))< m <X+1.96*(σ/root(n))  ..... (1)

が成立する確率は、0.95 (つまり 95%) となります。この(1)の範囲が統計学
で言うところの、「信頼度95%のmに対する信頼区間」です。つまり、母平均
mの値が、この意味で推定できることになります。

しかし、実際的には母分散σ^2 は一般には知られていませんし、また 上記の
アナログ送信電力の値の標本数は 10 と小さいので、(1)で 母平均mを推定す
るわけにはいきません。このような時には、次の不等式で推定すればよいこと
が知られています。

  X−t*(u/root(n))< m <X+t*(u/root(n))  ......... (2)

ここで tは、スチューデント分布 (t分布) における確率0.95 から求めます。
uは、不偏分散(u^2)=[(X1-X)^2+(X2-X)^2+ ... +(Xn-X)^2]/(n-1)
から求めます。いま、n=10 です。従って、tの自由度νは 10−1=9 です。
t分布表からこの時の値を求めると、t=2.26 です。 つまり 個々の値は、

       標本数    n= 10
       標本平均   X=668.3
       不偏標準偏差 u= 65.1
       自由度    ν=  9
       t値     t=  2.26

これらを(2)式に代入して計算すると、上記の10個のアナログ送信電力の標本値
から、「信頼度95%の母平均mに対する信頼区間」が、次のように求まります。

       621.8<m<714.8


数理統計学の参考書はたくさんありますが、ここでは わかりやすく解説されて
いる、次の3冊を紹介しておきます。

 統計数学入門 本間鶴千代 著 森北出版
 新しい誤差論 吉澤康和 著  共立出版
 確率統計入門 小針明宏 著  岩波書店

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Name : JE9PEL/1 脇田
Mail : ei7m-wkt@asahi-net.or.jp
URL  : http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/
QTH  : Yokohama, Japan
Date : Jan 30, 2002
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