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[jamsat-bb:6685] AMSATニュースAO-40の現状について


JAMSATホームページにも掲載されていますが、AO-40の現状を説明した
12/13付けnewsを、JF6BCC 今石さんが訳されましたので、以下に紹介
いたします。
JA3GEP/6 毛利

Subject: AMSAT Special Bulletin
SB SAT @ AMSAT $ANS-348.01

この数週間、AO-40のコマンド局は、忙しく働き詰めです。AMSAT
OSCAR-40搭載の複雑な回路を使って、一般的な衛星の維持作業、シス
テムの試験、そして軌道変更が進行中です。

AMSAT-DL会長で、P3DプロジェクトリーダでもあるDr.Karl Meinzer,
DJ4ZC および AMSAT-NA 会長 Robin Haighton, VE3FRHは、ANSに
現在の状況を伝えてくれました。

AMSAT OSCAR-40 status report / December 13, 2000 訳JF6BCC 今石
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Phase 3D 衛星の打ち上げ成功から4週間が経過しましたが、皆様にとって
良いニュースと悪いニュースがあります。

ロケットからの分離直後、我々は 70cm 送信機からの信号を受信できません
でした。その結果、我々は IHU-2 を中継機としてプログラムし、2m 帯の
ミドルビーコンをダウンリンクとして使いました。加えて、2つのSバン
ド送信機を時々動作させましたが、衛星のアンテナの指向性が地球上を向
く軌道上の位置のみとなり、ごく限られたテストしかできませんでした。

ここまでのコマンド局の活動は、衛星の飛行状態の把握と、400N モーター
による最初の軌道変更の準備に費やされました。このためには、衛星の姿
勢を、近地点での衛星の進行方向と逆に向け、衛星のスピンの回転数を 9
rpm にまで上げる必要がありました。このため、70cm 送信機の調査につ
いては最初の 400N モーターの噴射後まで延期することにしました。衛星
の姿勢変更は予定より時間がかかりましたが、それには2つの問題があり
ました。

1. モーター噴射に必要な姿勢へと衛星が近づくにつれて、スピン軸を変更
するのが困難な位置関係となりました。地球磁場とスピン軸とが直交する
状態はスピン数の変更は容易ですが、方向はなかなか変えられません。
また、IHU のソフトウェアの丸め誤差が、スピン変更に必要な量と同程度
であることが判明しました。信頼性のある制御が出来なくなりましたが、
この問題はIHU の設定を注意深く行なうことにより、解決できました。

2. 位置関係から、衛星に搭載された地球・太陽センサーは、時として同じ
方向となり、衛星の姿勢を測定することが困難でした。地球センサーは時
として太陽によって目が眩んで測定不能の状態となり、測定に必要なデー
タを得られなくなりました。IHU-2 に接続された YACE カメラは、この重要
な時間帯に必要な地球の写真を撮影して手助けとなりました。我々は YACE
を実際に衛星に搭載された各社センサーの代用とし、我々が実に必要とす
るデータの取得に貢献しました。

IHU-2 は、撮影した写真画像の処理と蓄積にも活躍しました。しかしなが
ら、IHU-2 は IHU-1 ほど信頼性の高い装置ではなく、1日か2日おきに
クラッシュを起こしました。この結果、時としてビーコンは、地上局から
の IHU-2 リセット作業までキャリアのみの送信となりました。これは深
刻な問題ではありませんが、わずらわしいものです。我々は放射線によっ
て、メモリーの記憶がどのように破損していくかのデータを取得すること
ができました。

最終的に、我々は IHU-2 にこれらのクラッシュを排除(もしくは自動復
帰)する附加プログラムを導入したいと思っています。しかし、それは
もう少し仕事が落ちつくまで待たなくてはなりません。それまでの間、衛
星が、近地点付近で地球周辺の放射線帯に突入する度に起こる IHU-2 の
クラッシュを監視しなくてはなりません。

12/10 の日曜、我々はようやく、遠地点高度 50,000km への変更のため
の 400N モーターの噴射に必要な姿勢と回転数を達成しました。各種の
事情から、噴射は 12/11 の月曜日、オービット 50/51 の近地点で行な
うように延期しました。赤道上空 600km の地点で、コマンド局からの直
接の指令なしにモーターを自動的に噴射させるためのプログラムがロー
ドされました。

オービット 50/51 の近地点を過ぎ…、しかし噴射はうまくいきません
でした。取得されたテレメトリデータが解析され、我々は、必要な手順
を追っていくうちに、ヘリウム圧力が無くエンジンが点火しなかったこ
とを知りました(ヘリウム圧力は燃料バルブを開けるために必要でした)。

12/11 の月曜、これらの状況が調査され、与圧指令が効かなかったこと
を発見しました。最初に検証されたのは、打ち上げ前のテスト版と本番
用ソフトウェアに不一致があるかどうかでした。しかし、これはおそら
く原因ではないと考えました。バルブは単純に開かれていなかったから
です。
P3D の試験フェースで我々は似た状況を経験し、ヘリウム用バルブのひ
とつが結果として修理されています。調査した様々な状況は、再びこの
問題が、搭載機器の「古さ」によって発生したのではないか、と言うこ
とを示していました。

我々のコマンド局は、ヘリウムの流れを起こすため、開放・閉鎖の複合
指令を衛星に対し与えましたが、必要な圧力を1桁下回っていました。
それでもなお、我々はタンクの圧力を通常まで上げ、月曜の夜に再度噴
射を行なうよう、衛星のプログラムを変更しました。

今度の噴射は成功しました。しかし、テレメトリデータは、噴射が予定
の時間で停止しせず、予定より3分間長く噴射したことを示すいくつか
の異常状態を示しました。こうして、我々は遠地点高度 60,000km に達
する現在の軌道を得ることになりました。我々の最終的な計画のために
は、このことは問題ではなく、アークジェット推進システムによって近
地点高度を上げる手段を持っています。

コマンド局のひとり、G3RUH ミラー氏は、IHU-2 のためのデータ修復プ
ログラムを作成しました。我々はこの一連の軌道変更の詳細なデータを
取得しています。調査は少しずつ進み、我々は問題の性質を把握し、解
決または対処の方策をを用意しています。400N モーターはこの事件の
結果でもダメージを受けませんでした。

この先数日、我々はこの件について調査を行ないます。もし 400N モー
ターに何らかの問題が発見されれば、最終目標軌道に至るまでの計画を
改める必要があります。ただしそれは、噴射の後には様々な条件がある
というだけの話であり、我々のゴールまでの道のりに支障があると言う
ことではありません。

これから数日の間、姿勢変更は計画されていません。我々は UHF 送信機
の調査を開始することができます。この試験によって、70cm 送信機が使
用できるかどうかがはっきりすることでしょう。

我々はいま、とてもエキサイティングな瞬間を過ごしています。

最後に、我々は、この一連の困難な任務を遂行してくれるコマンド局の
皆さんに、感謝を賛辞を送りたいと思います。彼らは毎日、何らかの困
難に直面し、多くの時間をそれに割き専念しています。彼らは素晴らし
い仕事をしています。

Dr. Karl Meinzer, DJ4ZC  (and)   Robin Haighton, VE3FRH
 President AMSAT-DL                  President AMSAT-NA

EOF