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[jamsat-bb:4185] Re: 質問TrakBox


JJ1WTK 坂本です。

現在世の中に出ている TrakBox は、大きく分類すると2種類あります。

TrakBox と TrakBox Turbo です。TrakBox-II は開発中です。リリース
されれば、これが3世代目のTrakBoxになります。

TrakBox(初代)は、CPUに 8051系を使ったものです。
JAMSATが初代TrakBoxを Versaboard-8052として頒布したときは
8052AH-BASICというBASICインタプリタ内蔵のCPUを使っていました。
TAPRの頒布品では 80C31が使われていたと思います。CPUに 8051、8052、
8031などが使われているものは、いずれも初代の TrakBoxです。

第2世代の TrakBox Turbo は、初代 TrakBoxのCPUを ダラス・セミコン
ダクター社の DS80C320 に積み替えて、クリスタルも倍速にして
高速化を図ったものです。

第3世代の TrakBox-IIは、CPU に 80251という石を使ったものです。
これは、初代とTurbo に比べて、高速化と高精度化を可能にしたものです。
倍精度演算ができるようになったために、精度が向上しました。

CPUの種類の違いで上記のように分類されます。それぞれに合わせた
コード焼きこんだROMを使わないといけません。

動作上の機能の違いはほとんどありません。初代ではできない
こういうことがTurbo ならできる、ということはありません。
CPUを積み替えることで速度や計算精度を向上させていますが、CPU以外の
ハードウェアは改造しませんので、ローテーターの制御に関係すること
とか、リグの周波数(やモード)を制御してドップラーの補償すると
いった部分は、初代と同じです。ただ、後から出てきたほうが
高速あるいは計算精度が高いですので、例えばスケジュールを計算させて
次のパスを調べるときの待ち時間や、Sバンドのダウンリンクのドップラー
を計算させたりするとはっきりわかります。

多くのみなさんは、UO-22のような 435MHz帯の 9600bpsFSKダウンリンクの
デジタル衛星を使うのに、アンテナと周波数のトラッキングにTrakBoxが
重宝していると思いますが、このような使い方なら、初代でも十分に
働いてくれます。計算上の精度は高いほうがいいですが、計算誤差より
アンテナの指向性のほうがよっぽどブロードですし、ドップラーの計算
誤差よりFM波の帯域のほうが広いですから、実用上問題ありません。
ただし、FSKダウンリンクでなく PSKダウンリンクを自動追尾しようとか
SバンドのLEO(低高度衛星)のダウンリンクを追いかけようという場合には
違いが出てくると思います。
計算精度云々よりも、時刻が正確に合ってない、軌道要素が古い、TrakBox
にデータをきちんと送り込めない、というほうが問題を引き起こします。

Turbo化改造の方法は、JAMSATのWebサーバーからダウンロードできる
Trk350bの中に 320inst.docという説明書に書いてあります。
ただし、これは全世界向けなので英語です。
昔の JAMSAT NewsLetterには JA1OGZ 金子さんが書いてくださった
日本語の説明があります。内容は同じです。
これと同じものが JAMSATの Webサーバーから読めるといいのですが。

ftp://ftp.jamsat.or.jp/pub/trakbox/trk350b.zip


de JJ1WTK 坂本