軌道要素の書式
JAMSAT
JAMSAT 日本アマチュア衛星通信協会

AMSAT-NA 軌道要素の書式

軌道要素は通常2つの書式のいずれかで配布されています。 それらは NASA 2ラインフォーマットAMSAT フォーマット と呼ばれています。 3番目の書式は one ライン エレメントとか "Charlie" エレメント と呼ばれ、軍のなかで使われる事があります。


NASA 2-ライン フォーマット


これは NASA により NASA Prediction Bulletin のなかで軌道要素を配布するのに使われている書式です。 この書式をいつ誰が使い始めたのかは定かではありません。 ある古い NORAD の報告書はこの書式を T-card フォーマットと呼んでいます。

アマチュア無線の世界で使われる時には、このフォーマットは3行で構成されます。1行目は衛星の名前で、それにNASAやNORADに使われている標準的な2ライン軌道要素が続きます。 軌道計算プログラムはこの書式に厳密に従っていないと受け付けません。

NASAフォーマットは次のようなものです:
OSCAR 10
1 14129U          88230.56274695 0.00000042           10000-3 0  3478
2 14129  27.2218 308.9614 6028281 329.3891   6.4794  2.05877164 10960
GPS-0008
1 14189U          88230.24001475 0.00000013                   0  5423
2 14189  63.0801 108.8864 0128028 212.9347 146.3600  2.00555575 37348
それぞれの数字は指定された桁に入れられています。 それぞれの行の最後の数字は mod-10 (訳注1)のチェックデジットであり、この行が正しく読み取れたかどうかをプログラムが確かめるのに使います。 プログラムは行の最初の桁であるシーケンス番号も調べ、またそれぞれの要素が妥当な範囲にあるかを調べます。 すなわちかなりしっかりしたチェックが行われます。 ですからこのフォーマットはかなり安全で、堅牢なものといえるでしょう.

いかに "+" 文字をチェックデジットに組み入れるかについて異論もあるようです。 もし、 "+" 記号のついた要素でチェックサムエラーにあったのなら、すべての "+" をスペースに置き換えてみてください。 (訳注2)

一つの衛星のデータは次の3行で表されます:
AAAAAAAAAAA
1 NNNNNU NNNNNAAA NNNNN.NNNNNNNN +.NNNNNNNN +NNNNN-N +NNNNN-N N NNNNN
2 NNNNN NNN.NNNN NNN.NNNN NNNNNNN NNN.NNNN NNN.NNNN NN.NNNNNNNNNNNNNN


1行目

1行目は11文字の衛星の名前です。

実に、名前の長さについては別の意見もあります。 あるプログラムは 12 文字まで許しています。 またあるものは 24 文字まで許しており、NORADの文書と一致しています。

ある配給元ではさらに情報をこの行に加えますが、これは標準の書式の一部ではありません。 目視するさいの明るさを付加する方法が Ted Molczan の format description に書かれています。

この行にはチェックサムはありません。



2行目

   桁      説明
 01-01     要素データの行番号
 03-07     衛星の番号
 10-11     国際標識 (打上げられた西暦年の末尾2桁)
 12-14     国際標識 (その年の打上げ番号)
 15-17     国際標識 (打上げ個数)
 19-20     エポック (元期) の年 (西暦年の末尾2桁)
 21-32     エポック (年初からの日数と小数部からなる)
 34-43     平均運動の一次時間微分値の半分
        または弾道係数 (予報の形式による)
 45-52     平均運動の二次時間微分値の1/6 (使わない時は空欄)
 54-61     BSTAR ドラグ(大気抵抗) GP4 一般摂動理論が使われる時
           それ以外は、輻射圧係数
 63-63     予報の形式
 65-68     要素の番号
 69-69     チェックサム (modulo10)
チェックサムは次のように計算します:

  1. 最初はゼロ。
  2. その行の各数字について、その数字の値を加算する。
  3. 負符号は 1 を加算する。
  4. 正符号は 2 を加算する (あるいは 0, いつ誰がこの要素を作ったかによる)。
  5. 文字、空白、ピリオドはなにも加算しない。
  6. 結果の10進数の最後の桁 (modulo10) がチェックサムの値になる。
他の桁は空白です。
注:国際標識は通常空欄です。


3行目

   桁      説明
 01-01     行番号
 03-07     衛星の番号
 09-16     軌道傾斜角 [度]
 18-25     昇交点赤経 RAAN [度]
 27-33     離心率 (小数点以下のみ)
 35-42     近地点引数 [度]
 44-51     平均近点角 [度]
 53-63     平均運動 [一日の周回数]
 64-68     エポックにおける軌道番号 [周回]
 69-69     チェックサム (modulo10)
チェックサムの計算方法は2行目と同じです。
他の桁は空欄です。


AMSAT フォーマット


いくつかのよく似通ったフォーマットが "AMSAT"フォーマットとして流通しています。 軌道計算ソフトはそれらのどれであっても読み込もうとします。 この書式は親しみやすいもので、人にとって読んだり変更したりしやすいものでもあります。 空白は重要ではありません。 それぞれの軌道要素は別々の行に記述します。 軌道要素が現れる順番も重要ではありませんが、一つの軌道要素の組はいつも"satellite" という単語で始まります。 空白行は一つの軌道要素の組の終わりと翻訳されます。

この書式には2ラインフォーマットのようなチェックデジットはありませんが、すべての数字を加算したチェックサムが使われることがあります。

AMSAT の配給するAMSATフォーマットの軌道要素は次のような書式になっています:
Satellite: AO-13
Catalog number: 19216
Epoch time:      94311.77313192
Element set:     994
Inclination:       57.6728 deg
RA of node:       221.5174 deg
Eccentricity:    0.7242728
Arg of perigee:   354.2960 deg
Mean anomaly:       0.7033 deg
Mean motion:    2.09727084 rev/day
Decay rate:      -5.78e-06 rev/day^2
Epoch rev:            4902
Checksum:              312
チェックサムはNASA 2ラインフォーマットと同じ方法で加算を行いますが、1の位の桁だけを使うのでなくすべての桁を使います。 すべての行の数字と+/-記号を加算しますから、"rev/day^2" の "2" も加算されることに注意してください。


ワンライン "Charlie" 要素フォーマット

The One Line Element (OLE) format is a somewhat abbreviated set of data used by the Navy at the Naval Research Laboratory (and perhaps others). Some useful information which is included in the 2-Line Element format is omitted, such as the Revolution Number at Epoch. Other information, such as the International Designator, can often be obtained from other sources using the satellite number (NORAD catalog number). The only virtue to this format is its brevity.
         1         2         3         4         5         6
123456789012345678901234567890123456789012345678901234567890
nnnnnyydddffffffddddddiiiiiinnnnnneeeeeeaaaaaammmmmmxxxxxxxx
206399019071772000014705251829684400765901146334880715202450

Column Definitions

ColumnsDescriptionFormatUnits
1 - 5NORAD catalog numberNNNNN 
6 - 7YearNNyears
8 - 10Day numberNNNdays
11 - 16Fraction of a day0.NNNNNNdays
17 - 22Drag0.NNNNNNrev/day^2
23 - 28InclinationNNN.NNNdegrees
29 - 34R.A.A.N.NNN.NNNdegrees
35 - 40Eccentricity0.NNNNNNdimensionless
41 - 46Argument of PerigeeNNN.NNNdegrees
47 - 52Mean AnomalyNNN.NNNdegrees
53 - 60Mean MotionNN.NNNNNNrev/day

Example

206399019071772000014705251829684400765901146334880715202450
The following values are obtained:
20639 catalog number
90 year
190 day number
0.717720 fraction of a day
0.000147 drag term
52.518 inclination
296.844 ascending node
0.007659 eccentricity
011.463 argument of perigee
348.807 mean anomaly
15.202450 mean motion
The input of elements in this form may be terminated by a line which contains a zero for the catalog number.
[One-Line Element format information courtesy Mike McCants.]


Updated 11 March 1999. Feedback to KB5MU.
Translated by JAMSAT

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訳注1 : mod-10 = modulo-10 = 10の剰余 = 10で割った余り = 1の位の数
訳注2 : なぜこんな事になったのかはDr. T. S. Kelso の この文書 に詳しい説明がある。

訳注 : 2ラインフォーマットのさらに詳しい解説はこの文書にある。
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