2008JAMSATシンポジウムについて


皆さん、こんばんは。

JH4DHX/5@大谷です。

毎日暑い日が続いていますが、皆さん如何お過ごしでしょうか。

さて、先週末に開催されたJAMSATシンポジウムについて、簡単に開催報告
をしておきたいと思います。これまでにもお伝えしてきたとおり、今回は、
関西アマチュア無線フェスティバル(池田市民文化会館)での同時開催と
なり、衛星通信入門講座をはじめ、屋内・外ブースでの展示や資料配布等、
積極的に出展しました。関ハムの結果については、すでにJH3BUM石原さん
から御報告いただいておりますので、シンポジウム関連について纏めてみ
たいと思います。


★19日(土)【第一部】 小会議室1 13:00〜17:00

@KSATの開発紹介 (JH3RKB:河村氏)
神戸発の衛星軌道計算プログラムKSATの概要及び、このソフトがもつ多種
多様な機能について、その開発者である河村氏を直接講師に招き、御講演
いただきました。講演は、先ず衛星通信を行うにあたっての基礎部分の話
から始まり、ソフトに関する具体的な機能説明、関連ソフトの紹介と続き、
最後に同ソフトのダウンロード方法等について、大変丁寧に御説明いただ
きました。この豊富な機能満載のソフトを、ぜひ沢山の方々に試していた
だきたいと思います。



A測距装置の開発紹介 (JA5GOJ/3:田中氏)
来る高軌道衛星P3Eの打ち上げを念頭に開発を進めてこられた測距装置に
ついて、装置の概要及びハードの構成等について御講演いただきました。
田中氏は、すでにこれまで同様の測距装置を試作され、実験を重ねながら
測定精度の向上を目指してこられましたが、本講演では新方式による装置
を開発、加えてハードウェアも簡素化され再現性が高く、また汎用性にも
大変優れた装置を発表いただきました。P3E打ち上げまでの十分な期間を
利用して、ぜひ各局による一斉同時観測が実現できればと思います。


BP3Eの開発進捗状況 (JA0CQP:小松氏)
現在、開発が進む次期高軌道衛星P3Eの進捗状況について、最新の情報を
ふまえながら、JAMSAT理事の小松氏に講演いただきました。すでにハード
部分に関しては、ほぼ製作作業も終盤を迎えようとしている一方で、打ち
上げに使用するロケットをどう調達するかが大きな課題となっていること
が明らかになりました。この課題を早期に解決するためには、我々もそれ
なりの支援(募金等)の強化が、今後更に必要ではないかと感じました。




★20日(日)【第二部】 中会議室  13:30〜16:00

@SEEDSUの開発と運用 (日大:荒木氏)
ロケットの不具合発生により1号機打ち上げ失敗に涙を呑んだ日大Cubesat
開発チームが手塩に掛けて開発したSEEDSUの打ち上げが無事成功しました。
現在、順調に飛行を続けるSEEDSUの開発と運用について、日大管制局を代
表して荒木氏に御講演いただきました。講演では、同衛星開発の歴史から
現在の衛星運用状況について、また今後新たに開発が進むSPROUTについて
も触れていただきました。また、今回デジトーカで流されているSSTV画像
の原画を拝見できたことが、今回一番の目玉として深く印象に残りました。




ACute-1.7+APDUの開発と運用体制 (東工大:芦田氏、川久保氏)
日大衛星とともに今年4月に打ち上げが成功し、その後順調に飛行を続ける
東工大3機目の人工衛星Cute-1.7+APDUの開発と、その運用体制について、
同管制局の芦田氏並びに川久保氏に御講演いただきました。講演では、衛星
の概要と運用状況について、また衛星に使用する各種運用支援ソフトウェア
の使用方法について詳細な説明がありました。さらに会場では、本邦初とな
るCute-1.7+APDUの動画撮影画像も公開されるなど、大変記念すべきシン
ポジウム講演となりました。



BCubeSatデコーダソフトの開発 (JA3TDW:浅井氏) 
Cubesatから送信されるUIパケットフレームの解読ソフトの開発について、
浅井氏に御講演いただきました。これまで各種デコーダソフトにおいて発生
してきた問題については、今回、KISS MODE対応TNCの通信ソフトを開発する
ことによって解決が図れることを説明いただきました。またこれまでの概念
からクライアント・サーバ方式の導入による負荷の分散を念頭にしたソフト
ウェアへの変更理念についても発表いただきました。今後コンパクトなデコ
ーダが実現すれば、Cubesatの受信人口も増えるものと大いに期待しています。

以上、簡単に今回のJAMSATシンポジウムについて報告させていただきました。
今回は、関ハムとの同時開催という点において異例の開催とはなりましたが、
例年にはないJAMSATシンポジウムへの一般参加も多くあるなど、衛星通信に
ついて広く知識を深めていただくための良い機会になったのではと思います。
また、最新情報を共有することによって、より明確な方向性を見出すきっか
けとなったのでは、と自負しています。

シンポジウムに御参加いただいた皆さん、そして講師の皆さん、大変有難う
ございました。今後の皆さんの一層の御活躍を、心より祈念致しております。

2008.7.25 JH4DHX/5 大谷