8052ボード衛星追尾ソフトウェア                  操作マニュアル TRAKBOX ROM Version 3.00            1993年3月28日発行                JAMSAT      日本アマチュア衛星通信協会 「TrakBox」取り扱い説明書                 目  次          頁 2−1 はじめに                              1 2−2 ローテーターコントローラーとの接続(アンテナの方位角・仰角制御)  2 接続例1 エモトデュアルコントローラEV−700D2/D5   3 接続例2 KENPRO KR−5400A/B          3     接続例3 エモト 747SR                    4     接続例4 KENPRO KR−400/500            4 2−3 スタンドアローンTrakBoxとしてまとめる場合の追加ハードウェア 5 2−3−1 衛星選択SW    5     2−3−2 LCDモジュールの接続図             6 2−3−3 LEDの接続                      7     2−3−4 アンテナコントロールSWの接続             7 2−4 無線機との接続                           7 2−5 ソフトウェアーインストール (ROMの実装)           11   2−6 TrakBoxソフトウェアの使い方               12   2−6−1 自局のQTH情報の入力 (メインメニュー4) 13 2−6−2 リアルタイムクロックの校正 (メインメニュー5)   14     2−6−3 軌道要素の更新 (メインメニュー3) 14     2−6−4 スケジュ−ル表示 (メインメニュー2)   21 2−6−5 コンフィギュレーション (メインメニュー6) 23 2−6−6 リアルタイムトラッキング (メインメニュー1) 33 2−6−7 マルチサテライトトラッキング(メインメニューM)   35 2−6−8 ホストモード        (メインメニュー7)   37 2−7 スタンドアローンモードでの使い方                39 局情報ファイルについて(STATION.DAT)         42     衛星情報ファイルについて(FREQ.DAT)           43 2−8 まとめ                              44 「TrakBox」取扱い説明書 '93/03/28 開発担当 JA6FTL/JAMSAT JG6MCG            [注意! 以下に述べるインストールの説明はVersaBoard−8052が完全 に動作することが前提です.製作マニュアルの初期動作確認の手順に従ってRTC、A DC等のI/Oのテストを行って間違いなく動作することを確認したうえでこのファー ムウェアーを組み込んで下さい.] 2−1 はじめに  「VersaBoard−8052」に付属しているW3IWIオリジナルのBAS ICによる衛星追跡プログラム(8052移植版)は、通常の衛星追跡には十分な機能 を持っていますが、スピードその他の点でいま一つ満足できない部分があります.この ファームウェアーは独自に開発されたもので、C言語およびアセンブラーで書かれてい ます。このファームウェアーを「VersaBoard−8052」ボードのユーザー ROM(U9)に組み込むことによってスタンドアローンで動作するリアルタイム衛星 追跡装置が完成します.   「TrakBox」の機能    *ターミナルモードおよびスタンドアローンモードの両モードで動作    *衛星のリアルタイム軌道計算及びアンテナコントロール    *ドップラーによる周波数シフトのリアルタイム計算及びシリアルポートを経由 してリグの受信及び送信周波数の設定    *ターミナルから衛星の軌道要素ファイルをアップロードすることにより軌道要 素の自動更新    *最大60個の軌道情報をRAM内に記憶    *パネル面のデジタルロータリーSWで15個の追跡衛星の選択が可能    *LCDディスプレイにUTC、衛星名、方位角、仰角、フェーズを表示    *LEDでAOS、LOSの表示    *AOS警告LED     - 1 - 「TrakBox v3.00で追加された機能」    *同時に最大5個までの衛星の位置を計算しAOSした衛星を自動追尾するマル チトラック機能    *衛星追尾中でも優先度の高い衛星がAOSすると自動的に追尾を切り替えるプ ライオリティートラック機能    *局情報 衛星付加情報をファイルアプロードにより自動更新    *マイククリックによるドップラー追尾およびAOS時に自動的に受信周波数を AOS値に設定する    *ホストモード機能    *非AOS時にアンテナをあらかじめ設定された位置に移動するパーキング機能    *アンテナをあらかじめ設定した移動範囲内でのみコントロールするローテータ ーリミット機能    *アンテナをあらかじめ設定した方向へ向けるプリセット機能    *キーボードから直接ローテーターをコントーロール    *COMポートのボーレイトを1200〜9600設定    *トラッキング中にキーボードから100Hzステップでドップラー補正周波数 を補正     2−2 ローテーターコントローラーとの接続  現在市販されているAZ/ELデュアルローテーターコントローラーはコンピューター インターフェース用の端子を持っていますので「VersaBoard−8052」か らコントローラーへ直接接続することができます。  そのようなインターフェースを持っていないコントローラーに対応するために「Ve rsaBoardー8052」はオープンコレクターのダーリントン接続トランジスター アレーICを用意しています。これは最大50V、500mAまで制御できますが、こ れでは直接ローテーターモーターのON/OFFはできませんので、リレーやトライアッ クを使った外付けインターフェースを製作する必要があります。詳しくはそれぞれのロー テータコントローラの説明書を合わせてお読みください。 「VersaBoard−8052」とローテータとの基本的な結線は次のとおりです。  VersaBoard            ローテーターコントローラー CN5(8255 port−C) 1 PC0 −−−−−−−−−> CCW(left)                    - 2 - 2 PC1 −−−−−−−−−> CW (right) 3 PC2 −−−−−−−−−> DOWN 4 PC3 −−−−−−−−−> UP 8 PC7 −−−−−−−−−> BRAKE CN12(ADC in) 1 ADC0 <−−−−−−−−− Azimuth position                            sense(0〜5V) 2 ADC1 <−−−−−−−−− Elevation positi- on sense(0〜5V) 5 GND −−−−−−−−−− GND   では、代表的な機種については接続例を示します。ローテーターコントローラボッ クスのリアパネルにあるDINコネクタへ接続します。  接続例1 エモトデュアルコントローラーEV−700D2/D5 CN5(8255 port-C)     DIN端子 1 PC0 ----------> CCW(left)        3 2 PC1 ----------> CW (right)        2 3 PC2 ----------> DOWN         5 4 PC3 ----------> UP          4 8 PC7 ----------- BRAKE         なし CN12(ADC in) 1 ADC0 <---------- Azimuth sense(0-5V)   6 2 ADC1 <---------- Elevation sense(0-5V)   7 5 GND ----------- GND           8 接続例2 KENPRO KR−5400A/B CN5(8255 port-C)     DIN端子 1 PC0 ----------> CCW(left)       4 2 PC1 ----------> CW (right)     2                   - 3 - 3 PC2 ----------> DOWN         5 4 PC3 ----------> UP           3 8 PC7 ---------- BRAKE         なし CN12(ADC in) 1 ADC0 <---------- Azimuth  sense(0-5V)  6 2 ADC1 <---------- Elevation sense(0-5V) 1 5 GND ----------- GND         8 接続例3 エモテーター747SR(水平用と仰角用に1台ずつ使う) CN5(8255 port-C)         水平用コントローラー 仰角用コントローラー 1 PC0 ----------> CCW(left)      5 2 PC1 ----------> CW (right)    2 3 PC2 ----------> DOWN     5 4 PC3 ----------> UP          2 8 PC7 ---------- BRAKE     なし   なし CN12(ADC in) 1 ADC0 <---------- Azimuth  sense(0-5V)  1 2 ADC1 <---------- Elevation sense(0-5V)    1 5 GND ----------- GND         GND      GND  接続例4 KENPRO KR−400/500 KR−400とKR−500は同じ回路です。ケンプロより販売されているコントロール  アダプターCX−500を組み合わせることで簡単に外部接続が可能となります。 内部には、外部制御用のリレー及び角度検出用のOPアンプが組み込んであります。 コントローラ     コントロール アダプター         CX−500 KR−400      端子               又は       1 UP回転      KR−500 2 DOWN回転 モータ                4 角度検出 5 GND                   - 4 - 2−3 スタンドアローンTrakBOXとしてまとめる場合の追加ハードウェア  コンピュターをターミナルモードとしてTrakBoxを制御する場合は上記アンテ ナローテーターインターフェースだけでいいのですが、スタンドアローンモードで動 作するようにまとめる場合は以下の工作が必要です。 2−3−1 衛星選択SW    1)ロータリーバイナリーSWを用いる場合  8255ポートBを入力モードで使用しbit0〜3をロータリーバイナリーSWと 接続します。0ーF(16ポジション)または1ー10(10ポジションBCD)い ずれも使用できます。バイナリーエンコーダーSWはポジション0のときに各端子が 開放するタイプ(コンプリメンタリーでなくリアルタイプということ)が必要です。 8255ポートBのプルアップ抵抗(RP3 47kx8)をさしこんでおきます。 CN9(8255 port-B)   Binary SW (real logic) 1 bit0 ----------- bit0 ^^^^^^^^^^ 2 bit1 ----------- bit1 3 bit2 ----------- bit2 4 bit3 ----------- bit3 GND ----------- comon terminal  2)ボリューム(可変抵抗器)を使用する場合  衛星選択SWとしてデジタルSWを使わずに、VRでアナログ的に衛星を選ぶことも できます。その場合は次のように接続します。 CN9(8255 port−B) PB5 pin6 −−−−−−−− GND ピン6をGNDに落とすことで、衛星選択を8255ポートBからADコンバーター への電圧で行うよう切り替えます。Vcc−GND間の電圧をVRで分圧し、その電 圧をADコンバーターに読み込ませて衛星を切り替えます。                   - 5 -   VR Vcc−−/\/\/\/\/−−−−GND ^ CN12 pin3 −−−−−−|  VRは10k〜50kオームくらいが適当です。左に回しきった状態がデジタルSW の0でターミナルモードの状態に、また右に回し切ると衛星No.15を選択した状 態に相当します。  3)ロータリースイッチと抵抗器を使用する場合  あるいは16接点のロータリーSWと1kオームの抵抗16本で次のように組むこと もできます。この場合にもCN−9ピン6をグランドに接続します。 Vcc---1k-1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k--1k----GND | | | | | | | | | | | | | | | | 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15              ^            |            +---- CN12 pin3 (ADC2) 2−3−2 LCDモジュールの接続図  日立のLCDコントローラー44780を使用したモジュールのほとんどに接続可能 ですがコス トの面から16文字x2ラインのモジュールに対応するようコーディング されています。 CN8(8255 port-A) LCD module (HITACHI 44780 compatible) 1 bit0 ----------- 7 DB0 2 bit1 ----------- 8 DB1 3 bit2 ----------- 9 DB2 4 bit3 ----------- 10 DB3 5 bit4 ----------- 11 DB4 6 bit5 ----------- 12 DB5 7 bit6 ----------- 13 DB6 8 bit7 ----------- 14 DB7                   - 6 -  CN3(8052 P1.0-7) 1 P1.0 ----------- 6 E 2 P1.1 ----------- 5 R/W 3 P1.2 ----------- 4 RS Power +5V ----------- 2 Vdd * GND ----------- 1 Vss GND ----------- 3 Vcont.                *フラットケーブル使用時は極性に注意 2−3−3 LEDの接続 LED (AOS indicator) CN5-6(port-C-5) -------- (-)LED2(+) ---- 500ohm ------ +5V(CN5-10)   AOS接近時 EL>−3.0で点滅し EL>2.0でアンテナコントロールS WがON時に持続点灯状態になります. 2−3−4 アンテナコントロールSWの接続 CN9(8255 port-B) 5 bit4 -------SW------- GND  スタンドアローンモードでこのSWがONのとき「TrakBox」はローテータを 制御します。ローテータを制御中はLCDの表示において衛星の名前の前にトラッキ ングマーク(*、!、&)がつきます。 2−4 無線機との接続  1) 周波数制御対応機種  「TrakBox」はYAESU、KENWOOD、ICOMの3社のリグに対して 周波数制御が可能です。これは外部のコンピューターから指令を送ってリグの周波 数やモードなどをコントロールできるリモート機能を使って行います。この機能を YAESUではCATシステム、ICOMではCI−Vと呼んでいます。 - 7 -      対応しているリグは表2−4のとおりです。ただしYAESUとICOMのリグに 接続するには、あらかじめ「VersaBoard−8052」に後で説明する改 造を実施しなければなりません。       表2−4 対応RIG一覧表    メーカー        機 種         備考     KENWOOD    TS−790              TS−711/811    注1     YAESU      FT−736          ほかCAT登載TRX                IC−970   ICOM       IC−375        注2              IC−275              ほかCI−V対応機種      注1) IF−10A/10Bが必要    注2) CI−IV登載機種IC−271、IC−371はオプションのUX− 14を使えば可能  2) KENWOODのリグへの接続法  KENWOODのリグにはCN4のピン2から直接接続できます。       CN4 −−−−−−−− 2 LPT(TTL) -----------> KENWOODリグのコンピューターコ ントロール端子へ 5 GND    -----------  GND  またRS232Cインターフェース IF−232Cを使う場合には - 8 -      CN4    −−−−−−−−    1 LPT(232C) --------> IF−232Cへ    5 GND       --------> GND  3) YAESU/ICOMリグへの接続法    まず次の改造が必要です。これはYAESU/ICOMのリグではKENWOO Dのリグと信号の論理が逆で、非反転でよいからです。    ピン2の出力をインバーターでもう一度反転し、それを余っているCN4のピン3 に取り出します。改造箇所を下図に示します。       パターン面の図  上の改造を実施すればピン3がYAESU/ICOM用の端子となります。       CN4 −−−−−−−− 3 LPT(TTL) -----------> YAESU/ICOMリク゛のコンヒ゜ューターコントロール端子へ 5 GND    -----------  GND - 9 -  またメーカーオリジナルのRS−232Cインターフェースを使う場合には上記KE NWOODと同様CN4ピン1へ接続します。  4)マイククリックを使った周波数追尾のための接続  リモート機能のないリグでも、マイクあるいはアクセサリーコネクターに周波数のUp/ Down 制御が行える端子が出ているリグであればマイククリックから周波数制御が可 能です。 CN12(ADC)  4 ADC3 −−−−−受信機のディスクリミネータのDC電圧(9600bps AFSK用)TAPRモデムPLL変移電圧  5 GND  −−−−−GND CN9(8255 portーB)  7 bit6 −−−−−−−モデムのロック信号(active low)あるい     はGNDにおとしてもよいがこの場合ノイズ等で誤動作することがある。 CN5 (8255portーC)  5 bit4 −−−−−−−マイククリックUP端子(*)  7 bit6 −−−−−−−マイククリックDOWN端子(*)  9 GND  −−−−−−−GND (*)TS−790の場合にはこの接続でうまくいきます。もしクリックによって周   波数が逆にシフトしてしまうようなら、UPとDOWNを入れ換えます。 (*)YAESUの受信機ではパルスの極性が逆になりますので外部にプルアップ抵    抗をつけなおかつメニュー6−8マイククリック設定で極性を変えてみてくだ   さい。   ADCへの入力電圧は2.5V±(0.3〜0.5V)になるように抵抗で分圧、    また は不足の場合にはオペアンプ等で増幅して供給してください。 - 10 - 2−5  ソフトウェアーインストール  別売の「TrakBox ROM」は27512(64kバイトEPROM)に焼き  込んで供給されます。このROMを「VersaBoard−8052」のユーザー ROMとしてU9(28ピン)に実装します。さらにボード上のジャンパースイッチ を次のとお りに設定します。   □「TrakBox ROM」をU9に実装(向きに注意)              ジャンパーの設定                          ジャンパ番号     機能   ジャンパー指定      □JP1   AD15ライン切り換え 1−2(A15) 注1        □JP3   8052ROMモード  2−3(外部)             切り換え      □JP7               ショートする      □JP12  8255ポートA    1−2(出力)   □JP13  バッテリーバックアップ ショートする       □JP16  8255ポートB    2−3(入力)    □これ以外のジャンパーは不要ですから外しておきます。  ブリッジBR1、BR2、BR4、BR5はあらかじめ裏面でパターン接続されてい ますので、そのままにしておきます。ただしBR4は接続するローテータコントロー ラーの種類によってはオープンにする必要のある場合があります。(5V以上でリレー を駆動している場合) 注1 - 11 - 2−6 「TrakBox」ソフトウェアの使い方  「TrakBox」にはターミナルモードとスタンドアローンモードの2種類があり  ます。スタンドアローンモードで使おうとする場合でも、最初は内蔵リアルタイムク  ロックの校正、自局のQTH情報や衛星の軌道情報の入力のためにターミナルモード  でたちあげてください。ターミナルモードで立ちあげるには、まずパネル面の衛星選  択SWをポジション−0に合わせ、それからリセットします。リセットするにはリセッ  トボタンを押すか、電源をいったんOFFにしたあと再度ONにします。 デフォールトのボーレイトは9600ボーに設定されています。 端末(ターミナル)では通信ソフトを次の条件で立ち上げてください。      通信速度   9600ボー   (ボーレート)      データ長     8ビット      パリティ       なし      ストップビット     1  電源SWをオンするとすべての接続および設定に誤りがなければターミナルの画面に 次のような初期メニューがでるはずです。 **************************************** * TrakBox 8052 V3.00 * * (C) JAMSAT/JA6FTL Jan.15 1993 * **************************************** ------ MAIN MENU ------ 1. Realtime Tracking. 2. Display Schedule. 3. Update Satellite Elements. 4. Update Station Elements. 5. Update Realtime Clock. 6. Configuration. 7. Host mode. 8. Direct Antenna control. Select [1-8,S,M]: - 12 -  このとき、LCDディスプレイには、サテライト選択SW位置が0の時には  TrakBox v3.00 (c)JAMSAT/JA6FTL サテライト選択SWが0以外の位置にあるときは、一瞬上記の初期画面表示がでてす ぐに 12:30:20 UO-22 AZ 123.8 EL-12.5 と表示され無事立ち上がったことがわかります。もし表示されない場合にはマニュアル の最初に戻りインストールの項を再確認してください。  メニューはすべてプルダウン形式になっていますので希望メニューの番号をキーイン しますと次のメニューに移行します。 Q をキーインすれば前のメニュー画面に復 帰します。  では順次立ち上げ時に必要な項目を設定していきます。 2−6−1 自局のQTH情報の入力(メインメニュー4)  まず計算の基本となるQTHの情報を入力しましょう。メニュー4を選択しコールサ イン、経度、緯度、高度を入力します。この情報は後述されるようにファイルをアッ  プロードすることによって自動的に設定することも可能ですが、ここではマニュアル  で入力してみます。 Select [1-8,S,M]: 4 ========= Station Element ======== Callsign: JA6FTL    <−−− 自局のコールサイン Latitude: +35.000     <−−− 緯度 Longitude: +135.000    <−−− 経度を入力(東経+、 西経ー) Antenna height: 100.00 <−−− アンテナ標高(メートル) Rotor start (S/N): South  <−−− 水平ローターの起点 (NまたはS) COM port baud: 9600  <−−− ターミナルとの通信ボーレイト                      1200、2400、4800 および 9600に対応します。リセット後有効になります。   自局のQTH情報を最後まで入力すると自動的にメインメニューに戻ります。 - 13 - 2−6−2  リアルタイムクロックの校正(メインメニュー5)  続いてメニュー5を選択して、リアルタイムクロックの校正をします。現在時刻をU TCに換算し秒単位まで正確に入力します。NTTの時報サービスが正確で手軽でしょ う。 Select: 5      <−−− メインメニューで5を選択 Enter 'Y' for zero sec. adjustment Enter 'Ret' for Real Time Clock set Present Time:UTC 1992/03/04 15:41:54  <−−− 現在時刻が表示されます  秒を0にセットするだけでよければ Y を、時刻を修正する場合は改行 をします。   すると次のように画面が変わります。   Set realtime Clock.   Present Time: UTC 1991/10/00 22:04:32   Enter with format [YY/MM/DD HH:MM:SS]   92/03/04 15:45:00 <−−−入力   Set time: 1992/03/04 15:45:00   年は19を省いて西暦の下2ケタだけ入力すれば よいです。   'ENTER' when ready.           <−−− この状態で待っています。 時報を聞きながら改行をすることにより計時を始めます。 2−6−3 軌道要素の更新(メインメニュー3) Select [1-8,S,M]: 3 ========= UPDATE MENU ======== 1. EDIT: View/Edit satellite Elements by hand. 2. SELECT: Select Satellite for list. 3. UPDATE: Clear database & read in new Elements. 4. MULTI TRACK: Configure multi tracking sat. number. - 14 -  サブメニュー1(EDIT)は軌道要素を手入力したり、変更する場合に使います。  前後しますが、サブメニュー3(UPDATE)は衛星の軌道要素をまとめて読み込  ませる(アップロード、といいます)ときに使います。サブメニュー2(SELEC T)は、サブメニュー3を使って軌道要素をアップロードした衛星の中から衛星選択  SWに割り当てる15コの衛星を選択するために使います。  ではサブメニュー3のUPDATEを使って、AMSATフォーマットあるいはNA  SAフォーマットの衛星軌道要素をアップロードしてみまましょう。まずAMSAT  フォーマットとNASAフォーマットとは次のような書式です。     AMSATフォーマット    Satellite: FO-20    Catalog number: 20480    Epoch time: 92054.36154364    Element set: 294    Inclination: 99.0640 deg    RA of node: 354.2565 deg    Eccentricity: 0.0541054    Arg of perigee: 92.6976 deg    Mean anomaly: 273.6148 deg    Mean motion: 12.83202648 rev/day    Decay rate: 2.40e-07 rev/day^2    Epoch rev: 9577     NASAフォーマット  FO-20  1 20480U 90013 C 92054.36154364 0.00000024 10561-3 0 2948  2 20480 99.0640 354.2565 0541054 92.6976 273.6148 12.83202648 95777  上の例は「ふじ2号(JAS−1b)」について同じ軌道要素を表現したものです。  NASAフォーマットのほうが短くて済みます。衛星1機あたり2行で表すことから  2ラインフォーマット、と呼ばれることもあります。 - 15 -     サブメニュー3を選ぶ前に、まず軌道要素ファイルを用意して、その書式がど  ちらのものであるか確認しておいてください。最新の軌道要素ファイルを用意して下  さい。NASAフォーマットとAMSATフォーマットがあります。なお、衛星軌道  要素ファイルは毎週新しいものが発表されており、JDB(JAMSAT Data  Base)及びパケットBBSなどから入手できます。JAMSATではNASA  フォーマットのほうをトラフィック量の関係で推奨しています。     では、サブメニュー3を選んで軌道要素ファイルをアップロードします。 Select [1-8,S,M]: 3 ========= UPDATE MENU ======== 1. EDIT: View/Edit satellite Elements by hand. 2. SELECT: Select Satellite for list. 3. UPDATE: Clear database & read in new Elements. 4. MULTI TRACK: Configure multi tracking sat. number. Select: 3 [Retern] <−−− サブメニュー3を選択  File format NASA/AMSAT (N/A) : N  <−−− アップロードするファイルがN  ASAフォーマットかAMSATフィーマットか尋ねてきますから、NまたはAで答え  ます。  Upload data file. (EOF:ctrl+Z)   <−−− この行が表示されたら、端末から  軌道要素ファイルをアップロードします。初期動作試験のためのBASICプログラ  ムを読み込ませた要領とまったく同じです。  AO-10  1 14129U 83 58 B 92365.61164878 -.00000082 00000-0 99998-4 0 9558  2 14129 27.0174 46.9353 6015488 45.5070 350.3508 2.05880840 71796  UO-11  1 14781U 84 21 B 93006.10837104 .00000637 00000-0 11709-3 0 3933  2 14781  .  .  .途中省略 - 16 -  NOAA-9  1 15427U 84123 A 93006.04962885 .00000170 00000-0 11115-3 0 2642  2 15427 99.1233 43.2697 0014242 265.8655 94.0883 14.13472925415874  最後まで送ったら、端末からctrl−Zを入力すると読み込みが完了し、「Tra  kBox」の中ではデータベースの整理を始めます。このとき次のように表示されま  す。この例は20個の衛星の軌道要素を読み込ませたので#1から#20までとなり  ます。  NASA># 1 AO-10  NASA># 2 UO-11  NASA># 3 RS-10/11  NASA># 4 AO-13B  NASA># 5 AO-13L  NASA># 6 AO-13S  NASA># 7 FO-20A  NASA># 8 FO-20B  NASA># 9 AO-21  NASA># 10 RS-12/13  NASA># 11 UO-14  NASA># 12 AO-16  NASA># 13 DO-17  NASA># 14 WO-18  NASA># 15 LO-19  NASA># 16 UO-22A  NASA># 17 UO-22B  NASA># 18 KO-23B  NASA># 19 KO-23A  NASA># 20 NOAA-9  この後で各衛星の周波数、モード等の情報ファイルのアップロードを行います。(フ  ァイルのフォーマットについては後述)もしアップロードを行わない場合には端末か  ら Ctrl−Z を入力します。 Upload freq/mode data file. (EOF:ctrl+Z)  UO-22A 435.120 145.900 fm fm cat no  UO-22B 435.120 145.975 fm fm cat no - 17 -  KO-23A 435.163 145.850 fm fm cat no  AO-21 145.987 435.016 fm fm mic no  AO-13B 145.900 435.500 usb lsb mic ma  AO-16 437.025 145.940 usb fm mic no  DO-17 145.825 435.000 fm none cat no  ; 435.000 is dummy  WO-18 435.075 145.000 usb none cat no  LO-19 437.125 145.840 usb fm mic no  FO-20A 435.910 145.850 usb fm cat no  FO-20B 435.910 145.870 usb fm cat no  AO-13L 435.850 144.500 usb lsb mic ma  AO-13S 2400.730/-1256.000 435.620 usb lsb mic ma  AO-10 145.900 435.100 usb lsb mic ma  STS-47 145.550 435.000 fm fm cat no  KO-23B 435.163 145.900 fm fm cat no     Ctrl−Z を入力  すると、さきほどアップロードした20個の衛星情報中この情報ファイルにかかれた  衛星が最大15個選択SWに割り当てられ同時にそれぞれの衛星についての付加情報  が書きこまれます。  Satellite ( UO-22A) updated and selected as # 1  Satellite ( UO-22B) updated and selected as # 2  Satellite ( KO-23A) updated and selected as # 3  Satellite ( AO-21) updated and selected as # 4  Satellite ( AO-13B) updated and selected as # 5  Satellite ( AO-16) updated and selected as # 6  Satellite ( DO-17) updated and selected as # 7  Satellite ( WO-18) updated and selected as # 8  Satellite ( LO-19) updated and selected as # 9  Satellite ( FO-20A) updated and selected as #10  Satellite ( FO-20B) updated and selected as #11  Satellite ( AO-13L) updated and selected as #12  Satellite ( AO-13S) updated and selected as #13  Satellite ( AO-10) updated and selected as #14  Satellite ( KO-23B) updated and selected as #15 - 18 -  このようにして、最大で15個の衛星を自動的に割り当てることができます。また  サブメニュ−2はマニュアルで衛星を割り当てるのにつかいます。この場合 Ret  urn キーのみを入力すると以後の割当を中止しサブメニューにもどります。 ========= UPDATE MENU ======== 1. EDIT: View/Edit satellite Elements by hand. 2. SELECT: Add to calculation table. 3. UPDATE: Clear database & read in new Elements.  サブメニュー1は、軌道要素を手作業で入力したり、既に入力済みのデータを修正す  るのに使います。たとえばドップラー補正を計算させるための周波数情報を修正する作業を  してみましょう。 Select: 1 <−−− サブメニュー1を選択   *** Select object satellite ***  1.*UO-22A 2. UO-22B 3. KO-23A 4. AO-21  5. AO-13B 6. AO-16 7. DO-17 8. WO-18  9. LO-19 10. FO-20A 11. FO-20B 12. AO-13L  13. AO-13S 14. AO-10     Select: 1   <−−− 衛星1を選択   ====== Satellite data ======   Satellite : UO-22A   Epoch Year Y0 : 93 Y0: 訂正の必要がない項目は、   ただ Return します。   Epoch Time T0 : 3.75719   T0: Epoch Rev K0 : 7705     K0:   Mean Anomaly M0 : 291.65860 M0:   Mean Motion N0 : 14.36760   N0:   Inclination I0 : 98.48989   I0:  Eccentricity E0 : 0.00085 E0:   Arg perigee W0 : 68.55100    W0: R.A.A.N. O0 : 82.39630   O0: Decay N1 : 2.600000e-06 N1: Downlink Frq.F1 : 435.120 F1: Offset for F1 : 0.000 F1OFFSET: Uplink Frq.F2 : 145.900 F2: 145.975 入力 - 19 - Offset for F2 : 0.000 F2OFFSET: Downlink mode : FM Uplink mode : FM Doppler correct. : CAT LCD MA display : No   ここで付加情報について説明します。   Downlink Freq.F1:衛星からのダウンリンク周波数です1kHz の単位まで正確に入力します。0(ゼロ)を入力するとドップラー補正機能は働き ません。   Offset Frq.F1:受信にダウンコンバーターを使用する際のコンバー ターの局発の周波数です。たとえばAO−13のモードSを144MHzの親受信  機で受信する場合この値を −2256.000にセットするとドップラー補正さ   れた受信周波数を144MHz帯に変換してCATコマンドを発行します。(CA   Tについては後述)   Uplink Frq.F2:衛星に対するアップリンク周波数です。1kHzの   単位まで正確に入力します。   Offset for F2:送信にアップバーターを使用する場合の局発周波数   です。受信と同様にドップラー補正された送信周波数を親送信機に送ります。   Downlink 及び Uplink mode:FM,USB、LSB、No   neを指定することができます。Noneが指定されるとモード設定のCATコマ   ンドは発行されません。頭文字(F,U,L,N)の1文字だけでも受け付けます。   Doppler correct.:受信機に対するドップラー周波数補正をCA   Tで行うかマイククリックで行うかを指定します。CAT,MIC及びNoneが   指定できます。頭文字(C,M,N)の1文字だけでも受け付けます。   LCD MA display:LCDに衛星のphase値を表示するかどうか   の指定です。Yesが指定されるとphase値が表示されます。AO−13運用   時に有用です。   1つの衛星についての入力が終わると次のようにサブメニュー画面に戻ります。   ========= UPDATE MENU ========   1. EDIT: View/Edit satellite Elements by hand.   2. SELECT: Select Satellite for list.   3. UPDATE: Clear database & read in new Elements.   4. MULTI TRACK: Configure multi tracking sat. number.   Select: _ - 20 -   サブメニュー4はマルチトラッキング時に同時に計算表示する衛星の数を指定する   ものです。2−5個が指定可能です。(マルチトラッキングについては後述)。 デフォールト値は3になっています。   ここでQを入力すれば、メインメニューに戻ります。   Select: Q   ****************************************   * TrakBox 8052 V3.00 *   * (C) JAMSAT/JA6FTL Jan.15 1993 *   ****************************************   ------ MAIN MENU ------   1. Realtime Tracking.   2. Display Schedule.   3. Update Satellite Elements.   4. Update Station Elements.   5. Update Realtime Clock.   6. Configuration.   7. Host mode.   8. Direct Antenna control.   Select [1-8,S,M]: 2−6−4 スケジュール表示(メインメニュー2)  メインメニューの2を選択すると、ひとつの衛星についてその位置を計算して表示し  ます。ある衛星が次は何時何分から可視となるか、などを知ることができます。パス  とパスとのあいだで結構時間がかかりますが Q をキーインすることによっていつ  でもトップメニューにぬけることができます。   ------ MAIN MENU ------   1. Realtime Tracking.   2. Display Schedule. - 21 - 3. Update Satellite Elements.   4. Update Station Elements.   5. Update Realtime Clock.   6. Configuration.   7. Host mode.   8. Direct Antenna control.   Select: 2  <−−− メインメニュー2を選択   衛星のリストが表示されますので選択します。  *** Select tracking satellite ***  1.*AO-10 2. RS-10/11 3. UO-11 4. RS-12/13 5. AO-13   6. UO-14 7. AO-16 8. DO-17 9. WO-18 10. LO-19  11. FO-20 12. AO-21 13. UO-22 14. Mir 15. STS 45       Select: 11  <−−− No.11のFO−20を選択します。  1992/03/04 15:53:23  Starting Day/Time ? [YY/MM/DD HH:MM:SS]  <−−− 現在時刻を起点として計  算させる場合には、ただリターンキーを入力すればよい。  Day of the Year [T] > 64.66207  Time Step.                 計算の時間間隔を指定します。  Min:  1    <−−− 分単位を入力 ここでは1  Sec:  0    <−−− 秒単位を入力 ここでは0   DATE TIME AZ / EL Doppler  1992/03/04 16:13:35 13.8/ 2.8 435.929  1992/03/04 16:14:35 14.1/ 7.1 435.929  1992/03/04 16:15:35 14.7/12.7 435.930  1992/03/04 16:16:35 15.2/18.8 435.928  1992/03/04 16:17:35 15.8/26.4 435.927  1992/03/04 16:18:35 16.8/36.3 435.925  1992/03/04 16:19:35 18.4/49.4 435.923  1992/03/04 16:20:35 22.5/66.4 435.919 - 22 -  1992/03/04 16:21:35 64.1/85.4 435.913  1992/03/04 16:22:35 183.2/72.4 435.907  1992/03/04 16:23:35 189.4/54.1 435.900  1992/03/04 16:24:35 191.3/41.7 435.897  1992/03/04 16:25:35 192.3/32.3 435.895  1992/03/04 16:26:35 192.9/25.1 435.893  1992/03/04 16:27:35 193.4/19.2 435.893  1992/03/04 16:28:35 193.8/14.4 435.892  1992/03/04 16:29:35 194.1/10.2 435.892  1992/03/04 16:30:35 194.3/ 6.5 435.892  1992/03/04 16:31:35 194.5/ 2.9 435.890  --- 'Q' for abort 'S' for scrol --- Q <−− Qでいつでも中断できます。 中断した後はサブメニューに戻ります。 S を入力すると連続して表示され何かキー インされるまで続けます。 2−6−5 コンフィギュレーション(メインメニュー6)  メインメニュー6を選択すると各種のコンフィギュレーションを行う次のサブメニュー  へ移行します。   Select [1-8,S,M]: 6   <−−− 6を選択   ======= Configuration Menu ======   0. Display all configured values   1. Calibration of antenna span value   2. Set ADC span value   3. Set Dead Band and Skew value   4. Set antenna Parking and Limit position   5. Monitor ADC value & Antenna position   6. Direct antenna control   7. Radio CAT port configuration   8. Mic-click configuration   9. Set default parameter      Select: _ - 23 -   1)サブメニュー0   サブメニュー0で現在のコンフィギュレーション状況が表示されます。   Select: 0  <−−− サブメニュー0を選択     現在の設定状況が次のように表示されます。   Callsign: NOCALL Lat: 35.0 Long: 135.0 Height: 100.0   ADC span value AZ: 1 - 837 EL: 1 - 440   Dead band AZ: 3.0 EL: 1.0   Skew AZ: 0.0 EL: 0.0   Antenna parking Off   Rotator limit Off   Priority tracking On   CAT Rig KENWOOD Full   Step control ADC value Center: 550 Reff: 560   Frequency step size :100Hz   Rotor start South   COM port 9600 Baud 8-N-1   Press any key to continue   アンテナを正しく制御して衛星の追尾を行うには、これらの項目が正しくコンフィ   ギュレーションされていなければなりません。サブメニュー1から6までがアンテ   ナ方向の制御に関する項目です。  2)サブメニュー1  まずサブメニュー1を選択し、アンテナの方位のキャリブレーションを行いましょう。  ここではメインメニュー4(自局のQTH情報を入力するところ)でローターの起点  は南にセットしてあるものとして進めます。つまり方位ローテータは反時計方向に回  し切った位置でアンテナが真南に向くように位置決めされています。       Select: 1 <−−− 1を選択します。 - 24 - ADC span value AZ: 0006 - 886 EL: 0002 - 0465  <−−−現在の設定   値が表示されます。   Rotate the antenna to fully CCW and Elevation minimum position [Y/N] ? Y  Y/Nの答えを求める状態で待っています。そこで、まず方位ローテーターを反時計  回りに回しきり、次に仰角ローテーターを水平位置になるように手動でローテータコ  ントローラーを操作して Y を入力します。このとき「TrakBox」は水平と  仰角のローテータの角度を示す電圧をADコンバーターで読み込みます。   Rotate the antenna to fully CW and Elevation maximum position [Y/N] ? Y  次に方位ローテーターを逆に回して時計回りに回し切った位置、仰角ローテーターは  垂直位置にセットして、 Y を入力します。このときも「TrakBox」はロー  テータコントローラからの電圧をADコンバーターで読み込みます。これでローテー  ターからの回転角検出電圧とADコンバータのリードアウト値がキャリブレートされ  たことになります。サブメニュー0で確認してください。  「VersaBoard−8052」のADコンバータは10ビットなので、0〜1  023の間をカウントします。回転角最大のときに電圧5Vが出るものの場合に分解  能は最良となります。コントローラー側に電圧調節VRがある場合には、5Vを越え  ない範囲でもっとも大きな電圧が出るように調節しておいてください。またキャリブ  レーションが終わったらサブメニュー0で方位、仰角のMin/Max値を確認し、  メモしておいた方がいいでしょう。   サブメニュー5でアンテナ位置(方位角、仰角)とADCのリードアウト値をモニ  ターすることができますから、マニュアルでアンテナを動かし表示値とコントローラー  表示盤の値が一致することを確認してください。  3)サブメニュー2  サブメニュー2でADCの値を入力できますが上記 1)で得られたADC値に変更  が必要な時直接設定できます。  4)サブメニュー3 サブメニュー3はデッドバンド値とスキュー値を設定します。デッドバンドとは目標  方位、仰角の誤差の許容範囲です。ローテーター、アンテナの種類によっては慣性の  ためモーターの電源がオフになってもすぐに停止せず、多少行き過ぎたところで停止 - 25 -  します。つまり目標値のすこし手前でモーターをオフにする必要があります。この値  が小さすぎるとローテーターは停止することができず、ハンチング状態になります。  実際に動かしてみて最適の値にセットしてください。初期値は水平方向3度、仰角1  度としてありますが次のようにして変更できます。 Select: 3   <−−− サブメニュー3を選択 Azimuth Dead Band : 3.0 <−−− Elevation Dead Band : 1.0 <−−−  スキュー値は方位、仰角の補正値です。プラス+、マイナス−(角度)で入力してく  ださい。初期値は0です。 Azimuth Skew value : 0.0   <−−− Elevation Skew value : 0.0 <−−−  5)サブメニュー4  サブメニュー4はトラッキングしていないときにアンテナを指定の方向に向ける機能  (パーキング機能)とアンテナの可動範囲を制限する機能(ローテーターリミット) の設定を行います。 Select: 4 Set Antenna Parking position ? [Y/N] y <−−− Y を入力 Azimuth Parking value : 0.0 220   <−−− 水平方位角度を入力 Elevation Parking value : 0.0 0    <−−− 垂直角度を入力 Set Antenna rotation limit ? [Y/N] y  <−−− Y を入力 Azimuth minmum value : 0.0 300   <−−−最小値を入力 Azimuth maximum value : 360.0 60   <−−−最大値を入力 Elevation minmum value : 0.0 0    <−−−最小値を入力 Elevation maximum value : 90.0 45    <−−−最大値を入力 - 26 -  この機能が必要ない場合 N を入力します。  パーキング機能はトラッキング時LOS後 エレベーション値が ―3.0以下にな  ると作動します。トラッキングSWがOFFになっていると作動しません。  ここでアンテナリミットの水平値の最小値は反時計方向回転の限界値、最大値は時計  方向回転の限界値です。したがって北起点のローテータの場合上記の例のように最小 値>最大値となります。  6)サブメニュー5  サブメニュー5はADコンバータの読み値とアンテナ方向のモニタです.マニュアル  でローテーターを動かすと値が変化しますので実際の方向と一致しているか確認して  おきます。 Select: 5  <−−− サブメニュー5を選択 === ADC value & Antenna position === AZ= 519 / 32.8deg EL= 462 / 90.0deg.  7)サブメニュー6  サブメニュー6はアンテナを直接キーボードからコントロールします。 Select: 6 1.Direct rotor control from key board. 2.Enter direction value. 3.Preset Control.  メニュー1は直接キーボードから水平、垂直ローテータをON/OFF制御します。  キーボードの割当は 4:左、6:右、2:ダウン、8:アップになっています。5  でストップです。Q 入力で前のメニューにもどります。 Select[1-3,Q]: 1   <−−− 1 を入力 Left(4), Right(6), Up(8), Dwn(2), Stop(5) or Ret. AZ= 706 / 124.0deg EL= 3 / 0.6deg. - 27 -  ディスプレイおよびLCDにアンテナの現在値が表示されます。  メニュー2はキーボードから目標値を入力します。 1.Direct rotor control from key board. 2.Enter direction value. 3.Preset Control. Select[1-3,Q]: 2   <−−− 2 を入力 Azimuth: 180.8 220 Elevation: -43.4 0 AZ= 706 / 124.0deg EL= 3 / 0.6deg.    ディスプレイ及びLCDにアンテナの現在値が表示されます。アンテナが目標値に達  するかなにかキーインされると前のメニューにもどります。  メニュー3はアンテナのプリセットコントロールで5個の方向をセットできます。 1.Direct rotor control from key board. 2.Enter direction value. 3.Preset Control. Select[1-3,Q]: 3    <−−− 3 を入力 1: 0.0/0.0 2: 0.0/0.0 3: 0.0/0.0 4: 0.0/0.0 5: 0.0/0.0 Select[1-5,S,Q]: s   <−−− 方向をセットするために S を入力 Preset position 1 Az: 0.0 220 El: 0.0 0 Preset position 2 Az: 0.0 300 El: 0.0 0 Preset position 3 Az: 0.0 El: 0.0 - 28 - Preset position 4 Az: 0.0 El: 0.0 Preset position 5 Az: 0.0 El: 0.0 1:220.0/0.0 2:300.0/0.0 3: 0.0/0.0 4: 0.0/0.0 5: 0.0/0.0 Select[1-5,S,Q]: Q    <−−− Q で前のメニューにもどる。    1− 5を入力すると選択された方向にコントロールが開始されます。途中でなにか  キーインされるとコントロールは中断され前のメニューにもどります。  8)サブメニュー7  サブメニュー7は「TrakBox」からリグに対して周波数を制御するコマンド  を送る機能についての設定を行います。この機能が使える機種は表2−4をご覧くだ さい。またこの機能を使うために必要な「TrakBox」とリグの間の接続につい ては8ページをご覧ください。   ======= Configuration Menu ======   0. Display all configured values   1. Calibration of antenna span value   2. Set ADC span value   3. Set Dead Band and Skew value   4. Set antenna Parking and Limit position   5. Monitor ADC value & Antenna position   6. Direct antenna control   7. Radio CAT port configuration   8. Mic-click configuration   9. Set default parameter      Select: 7  <−−− 7を選択 CAT Rig KENWOOD,YAESU,ICOM (K/Y/I) ? y Uplink Doppler correction ? [Y/N] Y - 29 - Downlink Doppler correction ? [Y/N] Y Is the CAT RIG FT-736 ? [Y/N] n Select Full orbit or AOS CAT control (F/A) ? a  CAT Rig KENWOOD,YAESU,ICOM (K/Y/I) ? Y <−−− リグのメーカー名を答える。  YAESUの場合はリグがFT−736であるかどうかまたFT−736の場合FM−  ナロウフィルターオプションを選択するか聞いてきます。ここでFMナロウオプショ  ンはUO−22受信時に通過帯域の広いフィルターをFMナロウポジションに組み込  んだときにCATコマンドでこのフィルターを選択するのに便利です。  Enter destination Address (00) <−−− ICOMを選択した場合だけ、リグごとに決 まっているアドレスを聞いてきますので、機種に合わせて設定します。各リグのアド レスは標準(工場出荷時)で次のように設定されています。ただしアドレス00にし ておけば、どのリグでも「TrakBox」からのコマンドを受け付けるはずです。        機 種    アドレス              IC−970  2E       IC−375  14       IC−275  10  またCATコマンドをフルオービットにわたって発行するかAOS時にのみ発行する  か聞いてきますので F/Aで答えます。    なお、「TrakBox」とリグの間の通信速度は、それぞれメーカーを選べば次の  ように設定されます。        メーカー    速度(ボー)             Kenwood  4800        YAESU   4800         ICOM   1200  この速度はいずれもリグの標準設定と一致しています。ICOM機の場合、リグ内部  のディップSWを変更することでアドレス・通信速度とも変更することができますが、  変更するとかえって「TrakBox」の設定と合わなくなってしまいます。 - 30 -  9)サブメニュー8   サブメニュー8では  この機能を使うことにより、CATシステム等のインターフェースを持たないリグで  あっても、マイクジャック端子あるいはアクセサリー端子から周波数のUp/Dow  n制御ができるリグであれば、ドップラーシフトによる衛星のダウンリンク周波数の  変移を追いかけることができます。それを実現するための接続については3−4で説  明しています。  この機能を使うかCATコントロールを行うかはそれぞれの衛星について選択が可能  です。   ======= Configuration Menu ======   0. Display all configured values   1. Calibration of antenna span value   2. Set ADC span value   3. Set Dead Band and Skew value   4. Set antenna Parking and Limit position   5. Monitor ADC value & Antenna position   6. Direct antenna control   7. Radio CAT port configuration   8. Mic-click configuration   9. Set default parameter      Select: 8  <−−− 8を選択   This menu configures ADC value for the mic-click control   Set new value or Measure ADC value ? [S/M] m   Tune RX frequency to modem locked popsition [Y/N]   ADC value = 427/1023 ADC value = 427/1023   はじめてこの機能を使うにはまず受信周波数が同調した時のADCへの入力値を測  定する必要があります。Mをキーインしたあとモデムが受信信号でロックするように  ダイアルを調節し Yをキーインします。このときディスプレイにADCの値が表示  されます。 - 31 - Push mic-click button two times [Y/N] ADC value = 427/1023 ADC value = 428/1023  つぎにマイククリックボタンを2回プッシュします(つまり周波数ステップの2倍離  調させる)。そして Yをキーインします。  これでTrakBoxのマイククリック機能のコンフィグレーションがおわりました。  このADCの範囲をこえるとアップまたはダウン信号が生成されます。メニュー0で  ADCの値を確認してメモしておくといいでしょう。 Enter Step frequency [Hz]:100            <−1 Frequency set CAT command at AOS ? [Y/N] y     <−2 Automatic up pulse generation at AOS ? [Y/N] y   <−3 Porlarity of step pulse, Normal/Reverse ? [N/R] n  <−4   各項目について説明します。  1 ステップ周波数  マイククリック時の周波数ステップ幅です。  2 CAT at AOS マイククリックによる周波数コントロールが選択された 時でもAOS時に周波数設定のCATコマンドを発行するか否かを指定します。 YesになっているとAOS時にドップラ周波数補正された受信周波数設定のC ATコマンドが発行されます。  3 オートマチック アップパルス AOS時に前回LOS時の受信周波数との差分    と周波数ステップからアップパルス数を算出しますがこの機能の設定です。Ye    sになっているとAOS時に受信機の周波数を前回LOS時の周波数から自動的    にAOS時の周波数に引き上げることができ マイククリック法でも数回パスに    わたって自動運用が可能になります。このときディスプレイには次のようにパル    スおよび周波数が表示され動作の確認ができます。   fdx/f_diff/pulse:435.120000/9772/97   UP pulse:*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*............  4 パルスの極性 マイククイックパルスの極性を決定します。N(ノーマル)はア    クティブグラウンド(パルス出力時にGNDレベルになる)でKENWOODの    リグがこれに相当します。またR(リバース)時にはアクティブ時に出力端子が    フロート状態になりますので外部にプルアップ抵抗(10Kオーム)をつけるこ    とによりYAESUのリグに対応します。 - 32 -  これらの項目が入力されると自動的にメインメニューに戻ります。   ======= Configuration Menu ======   0. Display all configured value   1. Calibration of antenna span value   2. Set ADC span value   3. Set Dead Band   4. Set Skew value   5. Monitor ADC value & Antenna position   6. Direct antenna control   7. Radio CAT port configuration   8. Mic click configuration   9. Set default parameter.    Select: _  10)サブメニュー9  サブメニュー9はRAMをの内容を消去し、各種パラメーターをあらかじめROMの  中に書き込まれていた値に初期化します。キャリブレーションを行ったADC等の値  や軌道要素のデータもすべて消滅しますので注意が必要です。実行時には警告音がで  ます。  プログラムの動作がおかしいとき,暴走したあとなどに実行してください.  RAM内容がクリアーされROM内のデフォールト値がセットされたあとステーショ  ン情報のアップロードをするかどうか聞いてきますので各自の情報(緯度、経度等)  を書いたファイルをアプロードします。(フォーマットについては後述)。 Ctrl-Zで終了です。 2−6−6 リアルタイムトラッキング(メインメニュー1)  ここまでの設定をすべて終了すると、ターミナルモードでの衛星の自動追尾(アンテ  ナの方位角ならびに仰角制御とリグの周波数制御)が可能です。 - 33 -   *** Tracking object satellite ***  1.*UO-22A 2. UO-22B 3. KO-23A 4. AO-21  5. AO-13B 6. AO-16 7. DO-17 8. WO-18   9. LO-19 10. FO-20A 11. FO-20B 12. AO-13L  13. AO-13S 14. AO-10   Select: 1         <−−− UO−22を選択してみます   Satellite UO-22A selected ========== Realtime Tracking [1993/01/17] ========= 'E' Toggle rotor control 'Y' RTC zero adjust 'Q' Return to main menu '+/-/0' Doppler compensation [Satellite: UO-22A ] UTC Azim. Elev. Range Alt. Lat. Long. Phase Doppler HH:MM:SS deg deg Km Km deg deg <256> Hz 01:40:41 7.73 -39.79 9278.0 763.9 57.7 -59.5 21.1 +7469  刻々と衛星の位置を計算し、1行づつ表示します。仰角が−3.0以上になるとAO  S LEDが点滅を始めー2.0に達しコントロールSW(”E”キー)がオンになっ  ていると「TrakBox」がローテータを制御して衛星を追尾します。コントロー  ルSWはトグルになっており再度のEの入力でローテータの制御をやめます。アンテ  ナの制御中は時刻表示の左側にトラッキングマーク(*、!、&:トラッキングモー  ドにより変化)が現れます。また液晶ディスプレイ上でも衛星名の前にマークが表示  され、トラッキング中であることを表します。 15:51:33 *FO-20 AZ 20.8 EL 50.2   リアルタイムトラッキング中入力できるコマンド  E: アンテナコントロールのON/OFF(トグルになっています)  Y: 0秒補正 いつでもキーボードから Y を入力するとRTCを00秒に補正    することができます。  +/ー/0: CATコントロールでドップラ補正を行っているときキーボードから  +(プラス)またはー(マイナス)を入力することによりFMモードで200Hz、  SSBモードで100Hz周波数をプラスまたはマイナス補正することができます。 - 34 -   入力回数に応じて周波数は移動します。このときディスプレイ上の表示周波数(上の  例の+7469)は変化しません。 0(ゼロ)をキーインするともとの周波数にも  どります。  ?: キーボードから ? を入力すると現在トラッキング中の衛星名を返します。  Q: Qを入力するとメインメニューに戻ります。ローテータの制御中であれば、制  御はただちに中断され画面はインメニューに戻ります。  *** Select tracking satellite ***  1. AO-10 2. RS-10/11 3. UO-11 4. RS-12/13 5. AO-13  6. UO-14 7. AO-16 8. DO-17 9. WO-18 10. LO-19  11.*FO-20 12. AO-21 13. UO-22 14. Mir 15. STS 45  ここで * マークのついている衛星が前回選択されていた衛星です。次回選択時に  デフォールトの衛星になります。 2−6−7 マルチサテライトトラッキング  メインメニューでM(Multi Track)を入力します。   ****************************************   * TrakBox 8052 V3.00 *   * (C) JAMSAT/JA6FTL Jan.15 1993 *   **************************************** ------ MAIN MENU ------ 1. Realtime Tracking. 2. Display Schedule. 3. Update Satellite Elements. 4. Update Station Elements. 5. Update Realtime Clock. 6. Configuration. 7. Host mode. 8. Direct Antenna control. Select [1-8,S,M]: m <− M を入力  するとマルチトラッキングに指定された衛星の内でどの衛星をLCDディスプレイに - 35 -   表示するかを聞いてきますので1〜5の中から指定します。もしマルチトラックの個  数を越えた衛星がセレクトされるとエラーとなりLCDに Number Exce  ed!  とエラーメッセージが表示されます。   *** Select object satellite for LCD display (1 - 5) ***  1.*UO-22A 2. UO-22B 3. KO-23A 4. AO-21   5. AO-13B   6. AO-16   7. DO-17   8. WO-18   9. LO-19 10. FO-20A 11. FO-20B 12. AO-13L  13. AO-13S 14. AO-10   Select: 1           <− 1 を選択 ========== Realtime Tracking [1993/01/17] ========= 'E'Toggle rotor control 'P'Toggle priority track 'Q'Return to main menu HH:MM:SS UO-22A UO-22B KO-23A AO-21 AO-13B  01:41:01 7.9/-39.1 7.9/-39.1 24.8/-26.0 268.3/-57.4 343.6/-15.9  メインメニュー3−4で選択された個数の衛星の位置計算が刻々と実行され表示され  ます。同時に先ほど選択した衛星(ここではUO−22A)がLCDディスプレイに  表示されます。衛星選択スイッチ1〜5に割り当てられた衛星が対象になります。     マルチトラッキングモードで入力できるコマンド  E:アンテナコントロールのオン、オフ。トグルスイッチになっています。オンの間    はトラッキングマークが表示されます。アンテナコントロールがオンになってい    ると表示されている衛星のどれかがAOSすると自動的に前述のシングルトラッ    クモードに移行しその衛星の追尾を開始します。  P:プライオリティートラックのオン、オフでトグルスイッチになっています。オン    時にはトラッキングマークは ”&”にまたオフ時には ”!”を表示します。    ここでプライオリティートラックとはこのマルチトラックモードから移行したシ    ングルトラックモードである衛星を追跡中でもこの衛星より優先度の高い衛星が    AOSした場合にこの衛星の追跡を中止し優先度の高い衛星の追跡を行う機能で    す。優先度は衛星選択割当番号の順で1>2>3>4>5になっています。    - 36 -    この機能は衛星追跡中でも60秒ごとにすべての衛星の位置を計算し現在追跡中    の衛星より優先度の高い衛星のAOSを検出することにより実現しています。た    とえば上記の場合AO−13をトラッキング中にもしKO−23がAOSすると    自動的にKO−23の追跡に移行します。さらにKO−23がLOSする以前     にUO−22がAOSするとUO−22の追跡に変わります。AOSの衛星が     なくなるとまた最初のマルチトラックに戻ります。  Q:メインメニューにもどります。 2−6−8 ホストモード   バージョン3.00では新しくホストモード機能が追加されました。この機能はC  OMポートを経由して簡単なコマンドでTrakBoxに接続されたアンテナや送受  信機のコントロールを可能にするものです。工夫すればTNCを介しての遠隔制御等  に応用できます。  メインメニューで7を選択します。    ------ MAIN MENU ------   1. Realtime Tracking.   2. Display Schedule.   3. Update Satellite Elements.   4. Update Station Elements.   5. Update Realtime Clock.   6. Configuration.   7. Host mode.   8. Direct Antenna control.    Select [1-8,S,M]: 7 <−−− 7を選択  TrakBox host mode.  Command:MUxxx,MDxxx,FUxxx,FDxxx,AZxxx_ELxx,Sxxx,Q,?A,?  TrakBox>>  すると TrakBox>> とホストモードのプロンプトが出てホストモードに入ったこと  がわかります。なおこのモードに入る前にメインメニュー6で必要なコンフィギュレー  ションを行っておく必要があります。ホストモードで使えるコマンドは次のとおりです。 - 37 -   MUxxx:アップリンクモードです。xxx=FM/USB/LSB  MDxxx:ダウンリンクモードです。xxx=FM/USB/LSB  FUxxx:アプリンク周波数です。10Hz単位まで正確にいれます。        例 FU14512345  <=145.12345MHz  FDxxx:ダウンリンク周波数です。10Hz単位まで正確にいれます。            例 FD43500000  <=435.000MHz  AZxxx_ELxx:水平および垂直ローテーター目標値。1度単位までいれます。       例 AZ145 EL30 水平145度垂直30度 間にスペースが必  要です。なおアンテナが指定方向に向くとプロンプトが出ますが途中でなにかキャラ  クタ文字を入力すると動作を中断します。  Sxxx:単にCATポートにxxxという文字列を出力します。        例 STX; <ーKENWOODの場合送信をオンにします。  Q: ホストモードから抜けてメインメニューにもどります。  ?A: アンテナの現在値をレポートします。  ?: 使用できるコマンドを表示します。  ホストモードの状態はRAMにメモリされますのでホストモードでTrakBoxの  電源をオフにすると次回電源オン時にもホストモードで立ち上がります。 - 38 - 2−7 スタンドアローンモードでの使い方  「TrakBox」にターミナルを接続せずに独立した状態で動かすスタンドアロー  ンモードでは、リアルタイムトラッキングの機能を使うことになります。マルチトラッ  ク機能も作動します。スタンドアローンモードで使うためには、次の項目をあらかじ  めターミナルモードで正しく設定しておく必要があります。      [必須項目]     2−6−1 自局のQTH情報の入力  (メインメニュー4)     2−6−2 リアルタイムクロックの校正(メインメニュー5)     2−6−3 軌道要素の更新      (メインメニュー3)           衛星選択SWへの割当   (メインメニュー3)                 [ローテータ制御を行うために必要な項目]     2−6−5 コンフィグレーション   (メインメニュー6)           サブメニュ−1           サブメニュ−3           サブメニュ−4     [リグの周波数制御を行うために必要な項目]     2−6−5 コンフィグレーション   (メインメニュー6)           サブメニュ−7  上記の項目を設定したら、次の手順でスタンドアロ−ンモードへ移行することができ  ます。     1. 衛星選択SWをポジション0以外にセットする。     2. リセットボタンを押す、あるいは電源をいったんOffにしてからOn        にする。  この方法で立ち上げると、一瞬だけ液晶ディスプレイに   TrakBox v3.00 (c)JAMSAT/JA6FTL - 39 -   と表示され、そのあと直ちに衛星選択SWのポジションに対応した衛星について計算  が始まり、液晶ディスプレイの表示は次のように変わります。 12:30:20 UO-22 AZ 123.8 EL-12.5  スタンドアローンモードでは、端末がつながっていてもいなくても構いません。つな  がっている場合には、リアルタイムトラッキングの画面表示が端末に送られてきます、  アンテナのローテータコントローラーを制御して衛星を追尾させたい時は、アンテナ  制御SWをOnにします。制御中は液晶ディスプレイ上にトタッキングマーク(*、 !、&)が表示されます。 15:51:33*FO-20 AZ134.8 EL 50.2  衛星選択SWはいつでも変更できます。スタンドアローンモードでシングルトラック  とマルチトラックを切り替えるには衛星選択SWをポジション0(ゼロ)の位置にク  リックすることで可能です。トグルになっていますので両モードを自由に移行するこ  とができます。またマルチトラック中には衛星選択SWでセレクトされた衛星のみを  LCDに表示しますが実際には複数個の衛星の位置を同時に計算しています。もしマ  ルチトラックの個数を越えた衛星がセレクトされるとエラーとなりLCDに Num  ber Exceed!  とエラーメッセージが表示されます。  衛星の軌道要素の更新などのためにターミナルモードに戻すには、次の手順で行いま  す。     1. 衛星選択SWをポジション0にセットする。     2. リセットボタンを押す、あるいは電源をいったんOffにしてからOn        にする。  マイククリックによる自動追跡について  AO−16等PSK受信時には+ー50Hz程度の精度でのドップラー補正が要求さ  れますがこの値をCAT方式で実現するのは至難の技です。  TrakBoxのマイククリックドップラー補正はアナログAFC方式による閉鎖ルー  プフィードバック方式を採用しています。モデムのPLLまたはFMデモジュレーター  のレファレンス電圧をTrakBoxのADCで読みとりロック時または同調時のA - 40 -  DC値に近づけるよう周波数アップまたはダウンパルスを発生します。  自動運用を行うためにはあらかじめAOS時の周波数に受信機を同調しておかなけれ  ばなりません。TrakBoxでは以下に述べる方法でこれを実現しています。 Enter Step frequency [Hz]:100              <−1 Frequency set CAT command at AOS ? [Y/N]  y     <−2 Automatic up pulse generation at AOS ? [Y/N]  y   <−3 Porlarity of step pulse, Normal/Reverse ? [N/R] n  <−4  コンフィギュレーションメニュー8で周波数ステップ(上記 1:100Hz)が指  定され、オートマチックアップパルス生成オプション(上記 3)がYになっている  とTrakBoxは次のような方法でAOS時の周波数設定を実行します。  前回LOS時の周波数をメモリーに記録し次回AOS時に周波数の差分をとりアップ  パルスの数を算出します。    (例) F1:基本周波数 F_AOS:計算されたAOS時の周波数      F_LOS:前オービットのLOS時の周波数      F_step:周波数ステップ  (1) 衛星が選択されるとサテライト情報のF1がメモリーされます。(受信機の      ダイヤルもこの周波数にセットしておく) 衛星がAOSするとこの時点の      ドップラー補正後の周波数(F_AOS)との差分をステップ値(S_st      ep)で割った数がアップパルスの数です。仰角がー2度になるとパルスが      ポートに出力されます。  (2) AOS後はモデムのアナログAFCまたはTrakBoxのAFCでLOS      まで周波数追尾を行います。  (3) LOS時の周波数(F_LOS)がメモリーされ次回AOSを待ちます。  (4) 次回AOS時には(F_AOSーF_LOS)÷F_stepで周波数をA      OS時の値に引き戻すパルスが送出されます。      このときディスプレーには次のように経過が表示されます。  fdx/f_diff/pulse:435.120000/9772/97  UP pulse:*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*............   この例ではF1=435.120MHz、ステップ100Hz、97個のパルスが   生成されています。 - 41 -  局情報ファイルについて(STATION.DAT)  自局の情報が書き込まれたファイルでメインメニュー6の9でリセットしたあとアプ  ロードすることにより自動的に局情報がセットされます。  [STATION.DAT]  ; Station information file.  ;  1 JA6FTL 27.391 128.657 100 South  2 8 859 1 442  3 3 1 0 0  4 KENWOOD AOS 1E 3F  5 1 270 0 1 0 360 0 90 -2.0  ライン頭の”;”(セミコロン)はコメント行です。  各ラインは決まったフォーマットで配列されていますので注意してください。各要素  の間はスペースキャラクターです(タブは不可)。  行番号 要素 要素 .........のフォーマットは次のとおりです。  1 コールサイン 緯度 経度 アンテナ高 水平ロータースタート位置    緯度は北緯が+、南緯がー、経度は東経が+、西経はー、ロータースタート位置    はSouth/Northのいずれか。  2 水平ADC最小値 水平ADC最大値 垂直ADC最小値 垂直ADC最大値    メインメニュー6−1または6−5で得られた値です。  3 水平デッドバンド 垂直デッドバンド 水平スキュー 垂直スキュー    メインメニュー6ー2の値です。  4 CATリグ ドップラー補正 ICOMーRXアドレス 同TXアドレス    CATリグはKENWOOD/YAESU/ICOMのいずれか ドップラー補    正はAOS時にのみCATコマンドを発行するか全オービットにわたって発行す    るかの選択です。 AOS/FULLのいずれか指定する。  5 パーキング機能のオンオフ 水平パーキング位置 垂直パーキング位置 ローター    回転の制限機能のオンオフ 水平リミット最小値 同最大値 垂直リミット最小値  同最大値 アンテナコントロール開始仰角値    機能のオンオフは1=オン 0=オフです。ローター回転制限機能はここに指定    された範囲をこえるとローターSWがオフになります。アンテナコントロール開    始仰角値は文字どうりローテーターの動作が開始される仰角の値です。ー3度以    上90度以下が有効です。−2度が適当でしょう。 - 42 -  衛星情報ファイルについて  各衛星の付加情報でケプラーエレメントのアプロード後、このファイルをアプロード  することにより自動的に周波数などが設定されるほかこのファイルに書かれた衛星は  選択SWに割り当てられます。  [FREQ.DAT]  ; Satellite frequency/mode information  ; Satellite name is case sensitive.  ;  ; Sat_name downlink_freq uplink_freq downlink_mode uplink_mode  ; supported mode: usb/lsb/fm and none.  ;  UO-22A 435.120 145.900 fm fm cat no  UO-22B 435.120 145.975 fm fm cat no  KO-23 435.163 145.850 fm fm cat no  KO-23B 435.163 145.900 fm fm cat no  AO-16 437.025 145.940 usb fm mic no  DO-17 145.825 435.000 fm none cat no  ; 435.000 is dummy  WO-18 435.075 145.000 usb none cat no  LO-19 437.125 145.840 usb fm mic no  FO-20A 435.910 145.850 usb fm cat no  FO-20B 435.910 145.870 usb fm cat no  AO-21 145.987 435.016 fm fm mic no  AO-13B 145.900 435.500 usb lsb mic ma  AO-13L 435.850 1296.000/-1152.000 usb lsb mic ma  AO-13S 2434.000/-2290.000 435.620 usb lsb mic ma  AO-10 145.900 435.100 usb lsb mic ma  STS-47 145.550/-100.000 435.000/-430.000 fm fm cat no  ;  ; For TrakBox JA6FTL Sep.10.1992    各ラインのフォーマットは次のとおりです。  衛星名 ダウンリンク周波数 アプリンク周波数 ダウンリンクモード アプリンク  モード ドップラ補正方式 LCDフェーズ表示 - 43 -  衛星名はケプラーエレメントファイルの衛星名に一致する必要があります。(大文字、  小文字も) モードはFM/USB/NONEのいずれか。ドップラ補正方式はCA  T/MICのいずれか。LCDフェーズ表示はMA/NOのいずれかです。  F1 F2のオフセットを書き込む場合には上記AO_13L/Sの例の様に周波数  値のあとに”/”(スラッシュ)、続けてオフセット値を書きます。 2−8 まとめ  このバージョンをもちまして、各国のベータテスターの方々からの要望を取り入れ、 現時点で考えられる多くの機能を踏襲することが出来ました。特に、『TrakBox』 を使うことによってコンピュータは、本来のデータ通信やファイルの管理に専念させ アンテナやトランシーバの制御は専用の『箱』に任せることを念頭においてプログラム 開発を行ってまいりました。この小さな『魔法の箱』は多くの衛星通信を行う方々のハ ムライフに必要不可欠なアクセサリーとなったことと思います。   さらに多くの目的に使われるように、この箱をよりアンテナやトランシーバの制御に専 念させる目的で、ホストモードの機能を追加いたしました。例えば、コンピュータ側か ら現時点の軌道情報や周波数を逐次『TrakBox』に送り込み、CRTにはよりビ ジュアルな情報に重点をおいたアプリケーションや通信ソフト等と組み合わせるなど面 白い試みが待たれます。   今後は、ROMの形やマニュアルのバージョンアップの正式リリースは行わずサテライ トやJDBを通じてROMなどのイメージを入手出来るように致します。ご自分で入手 しバージョンアップをお願い致します。 TrakBoxの質問等はJDBあるいは下記まで書面にてお寄せ下さい。出来る限り お答えいたしますが、3〜5週間程度の猶予を頂きますようお願い致します。 書面の場合、往復葉書等でお願い致します。      〒113 東京都文京区本駒込5−16−9          学会事務センター C21          (財)日本学会事務センター内           日本アマチュア衛星通信協会 頒布品担当者宛                                      開発者一同/JAMSAT -44-