Internal Housekeeping Unit (IHU)

開発担当:
Lyle Johnson, WA7GXD (USA)
Chuck Green, N0ADI (USA)
Peter Guelzow, DB2OS (ドイツ)
サイズ:
270x200 mm
平均消費電力:
1 W

概要

The Integrated Housekeeping Unit (IHU) は、Phase-3D衛星を制御するもっとも重要なコンピュータであるといえるでしょう。その基本設計は、Phase-3A衛星(打ち上げ失敗)、AO-10、AO-13といった歴代のPhase-3衛星(第3世代衛星)のものを踏襲しています。 Phase-3D衛星のIHU は、耐放射線特性を改善するための「サンディアプロセス」という処理を施した CDP1802 COSMACプロセッサーと、スタンダードな4000番台のCMOSロジックの組み合わせで構成されています。IHU は、ごく普通の10Vの電源電圧で動作します。

一方、メモリの方は、GEC Plessey MA9287 という耐放射線特性に優れたCMOSのスタティックRAMです。容量は64kバイトです。メモリ回路には、誤り検出ができるようなロジックが組み込まれています。そのロジックも、過去のPhase-3衛星に使われて実績があるアルゴリズムと同じものが使われています。

IHUの基本的な機能としては、つぎのような項目があげられます。
・デジタル入力/出力
・アナログ−デジタル変換(AD変換)
・タイマー
・テレメトリー
・パラレル−シリアル変換
・クロック
Phase-3D衛星のIHUは、これらIHUの基本的な機能はもちろんのこと、それ以外にPhase-3D衛星内部で行われる衛星内ネットワーク(LAN)をもサポートします。このネットワークは、CAN-BUSとよばれる規格のネットワークプロトコルが採用され、CANのコントローラは Intelの82527というチップが使われます。

IHUは1枚の基板の中に納められていて、基板は4層基板です。基板をマウントするためには、直角コネクターを使っています。こうすることにより、モジュール内の配線を省くことができます。基板のサイズは、200mmX270mmで、この中にコマンドデコーダー(命令解読器)も組み込まれています。過去のPhase-3衛星のIHUは、コマンドデコーダー、メモリー、CPUが全部で3枚の基板に分かれており、標準サイズは200mmX300mmもあったのです。

IHUのフライトモデルは 1995年10月にドイツのマールブルグに送られてきました。このほかにエンジニアリングモデルが数台あり、各種のソフトウェア開発や動作試験のために使われています。


最終更新: Feb 4, 1996
by Ralf Zimmermann (ラルフ・ジィマーマン) DL1FDT

このテキストは、Ralf Zimmermannが作成したものを、JAMSATが日本語化したものです。日本語化は JJ1WTK 坂本が担当しました。