AO-4-/P3Dアップデート
JAMSAT
JAMSAT 日本アマチュア衛星通信協会

AO-40 軌道変更の予定の変更について

23 Nov., 2000
AMSAT-DL


打ち上げから一週間たちました。AO-40は良いコンディションにあります。

ALON/ALAT 270/0 を目標に続いている姿勢の変更作業は、すでに ALON/ALAT 254/-8 に達しています。


軌道変更作業についてはすでに発表されている通り、近地点において最初のロケット噴射を行うために、まず AO-40 を新しい飛行姿勢 (270/0 ALON/ALAT) にする作業が行われていますが、この後については現在は次のように予定されています。

1. まず、400Nロケットモーターを近地点て噴射し、遠地点を 50,000 km に上げる。
2. さらに、アークジェットを近地点で噴射することにより、遠地点を 70,000 から 80,000 km にまで上げる。
3. 次に、400N モーターを使って軌道傾斜角を65度にまで上げ、かつ遠地点高度を下げる。

AO-40の軌道のプランニングに重要な役割をはたしている OE1VKW Viktor Kudielka OMは、なぜこれまで発表されてきた手順と異なった手順を使うかについて次のように述べています: "衛星は静止遷移軌道にあり、衛星は2種類の異なったエンジンを搭載しています。そして、目標とするのは軌道傾斜角の大きな16時間の周期を持つ長楕円軌道であり、その遠地点は少なくとも10年間北半球にあり、20年間の寿命を全うしたとき、できれば宇宙にごみを残すことなく安全に大気に再突入するためには、いくつもいくつもの方法が考えられます。 また、軌道をじょじょに変更して最終軌道に達する途上における、太陽との角度、電力のバランス、リンクバジェットや燃料残量といった基本的な項目を考慮したものでなければなりません。現在の軌道傾斜角 6度から65度への変更は 400N モーターの持つエネルギーのよってのみ成しえます。"

"遠地点の高度と軌道傾斜角を高くすることには相関関係があり、高い軌道ほど燃料を節約できるのです。ですからそこで節約できる燃料をまえもって高い軌道をえるのに使うことができます。アークジェットか400Nモーターか、どちらを先に使うかの違いはとても小さなものです。 先に 400Nモーターを使うことの有利な点は:

1. エンジンの特性を厳密に知ることができるので、その後の軌道変更を正確に行うことができる。
2. 高い軌道においては太陽と月による近地点引数とRAANの変動が小さくなる。 これにより、アークジェットエンジンの噴射において、RAANと近地点引数の変動による飛行姿勢を調整する量が少なくてすむようになる。 "

OE1VKW は58,000 km から 100,000 km までのいくつかの遠地点高度から軌道傾斜角を変更する計画を作成してみました。

遠地点が高いほど軌道傾斜角を大きくするのに要するエネルギーは小さくてすみますが、 プロジェクトマネージャーである Karl Meinzer, DJ4ZC は、コマンドあるいは通信の問題を考慮して70,000 km から 80,000 kmの間にすることに決めました。

加えてこの高くて長い軌道では、バッテリーにより多く充電することが可能になり、近地点において十分な電力をアークジェットエンジンに供給することができるのです。

AMSAT DL , 23.11.2000
翻訳 JAMSAT SCOPE Team

訳注
ALON : Attitude longitude in orbit plane coordinates (BLON Bahn Longitude)
ALAT : Attitude latitude in orbit plane coordinates (BLAT Bahn Latitude)
"Bahn Coordinates Guide Satellite Orbits", Phil Karn, KA9Q, Amsat Sat J. #7, Jan/Feb 1986, p. 7


原文(独語)はこちら

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