AO-27 UO-14: 良くある質問への回答

by Ray Soifer, W2RS
QST の 1998年1月号に私のAO-27に関する記事が掲載されて以来、この衛星を聞いたり、あるいはこの衛星を経由して通信するのは難しいと感じた人たちから問い合わせを多くの受けました。この記事は ARRLSatellite Anthology に掲載されましたから、さらに多くの問い合わせを受けとることになりました。
これらの問い合わせをしてきた人たちの多くは、今はなんら問題なくAO-27衛星を聞いたり、使ったりしています。この経験から、そのような人たちに最も役に立つであろうことがらをここにまとめました。

AO-27には“性能の良い道具”が必要です

AO-27 は0.5W の送信機出力を1/4波長のホイップアンテナから送信しています。衛星が頭上にある時でさえ衛星との距離は800Kmあり、地平線近くにあるときには3,200Kmも離れています。 このことは、この衛星を聞くためにはかなり良い受信機とアンテナが必要である事を意味します。

UoSAT-OSCAR14

UO-14はイギリスで作られ、1990年に打ち上げられたパケット通信衛星で、AO-27とよく似た軌道を飛んでいます。この衛星は 2000年にFMリピータとして運用されるようになりました。AO-27よりも大きく、多くのソラーセルを持っているため、UO-14は2から3Wと高い出力で24時間運用を続けることができます。半波長ホイップや八木などの直線偏波アンテナで受信した場合、AO-27とくらべると、地平線において7dB強く、頭上でも4dB強く聞こえますから、受信は少し楽でしょう。でも、地上のリピータに比べたらはるかに弱いのですから良い受信機とアンテナが必要な事に変わりはありません。

"ラバーダック" アンテナではだめ

ハンディートランシーバーに付属している "ラバーダック"(ゴムで覆われた短縮アンテナ)は、最良の条件でない限りAO-27を受信するには小さすぎます。なにかもっと良いアンテナを使うべきです。

1/2波長ホイップアンテナは使える

記事にも書いたとおり、半波長ホイップは使えます。70cm帯で半波長になるデュアルバンドホイップには MFJ-1717, コメット SMA-24 (または BNC-24), ダイアモンド RH-77CA (*1)などがあります。

お奨めできないアンテナ

垂直に固定された車載アンテナは、受信信号の偏波に合わせてアンテナを傾けることができないため、おすすめできません。このようなアンテナでは、AO-27は辛うじて聞こえる程度、UO-14はもう少し良いでしょう。
1/4波長や5/8波長ホイップも、半波長アンテナと違い、本来の指向性を得るのにグランドプレーンを必要とするのでおすすめできません。ハンディートランシーバーにグランドプレーンなどありませんから。

受信機の感度は良くなければならない

半波長ホイップを使って受信するには、受信機の感度は 436MHz において、少なくとも 0.18uVの入力でSINAD 12dB を得られるものであるべきです。これはAO-27が約10度の仰角にある時、信号の偏波面に対してアンテナを正しく合わせたとこの信号強度に相当します。同様な条件でAO-27が地平線にあるときは 0.13uV の信号強度となります。この周波数で動作するように設計された最近の多くのアマチュア無線用トランシーバはこの要求仕様を満たすものです。広帯域受信機の多くや、この周波数(436MHz)をカバーするために改造しなければならないアマチュア無線機では、この条件は満たせないでしょう。UO-14では、それぞれ 0.4uV と 0.3uV となります。

アローアンテナはおすすめ

ホイップよりも大きくてより良いアンテナが欲しいのなら、 Arrow の 146/437-10 デュアルバンド手持ちアンテナ(*2)はMFJ-1717や同様なホイップアンテナに比べて 送受信とも約 10dB の利得をもたらしてくれますからやる気のある読者には大いにおすすめできます。 私もこれも持っていますがとても調子良いです。

大地反射による利得を利用しよう

地面やその他導電性のある平面(車体など)からの反射を上手に利用すると送受信の信号強度を6dB程改善する事ができます。まずやってみることです。衛星からの信号を受信しながらホイップアンテナと地面との間隔を変えてみてください。

周波数を確かめて

周波数を確かめてください -- AO-27 は 436.795MHz にてFM変調で送信しており、この周波数を中心に最大上下10kHzのドップラーシフトを伴った周波数にて受信されます。同様にUO-14は435.070MHz +/- 10kHzの周波数に聞こえます。
アップリンクは、AO-27は145.850MHz、UO-14では145.975MHzを中心に、約3.4kHzのドップラーシフトに対する修正を加えた周波数になります。

スケルチは開いておく

AO-27 や UO-14 からの信号がFM受信機のスケルチを開くほど強くなる事はまずありません。ですから、これらの衛星からの信号を聞こうとするときは、必ずスケルチを開いておきます。

まずは仰角が高くなるパスで試してみる

あなたの受信機とアンテナがとても弱い信号を受信するに十分な能力を持っているかどうか定かでないのなら、地平線と衛星のなす角(仰角)が30度を超えるパスの時に受信を試みましょう。

AO-27 がオンになっていて動作しているか

これでもまだ AO-27 を聞くことができないのなら、衛星が動作していない時に受信しているのでしょう。AO-27 は毎日朝から昼過ぎまで自分自身のスイッチを入れます。北半球では8時から13時にあたり、それ以外の時間は休止しています。UO-14はAO-27より大きく、よって多くのソラーセルを持っていますから24時間連続して運用することが、あなたの可視範囲に衛星が無ければ聞くことはできません。

軌道計算ソフトを使って衛星の通過を予測する

また、軌道要素は正しくかつ新しいか、地上局の所在地を正しいか、軌道計算ソフトの設定をもう一度確認しましょう。 朝8時から昼1時までに、AO-27は2回から3回、それぞれ14分間ほどのパスがあるでしょう。UO-14も毎日 4から6回、14分ほどのパスがあります。正確な時間は日により異なります--だから軌道計算ソフト軌道計算をしてくれるウェブサイトが必要になるのです。最良の結果を得るには、少なくとも月に一回最新の軌道要素に更新してください。

追跡情報をウェブで手に入れるには

JAMSATのWebサイトには通過時間の予報のページがあります。また、ペブンズアバーブhttp://www.heavens-above.comのページでは衛星が動いていく様子をみることもできます。

声が聞こえるまで送信しない

AO-27 は利用者の多い衛星です。 太平洋のど真ん中やシベリアの中央や、とんでもない奥地で運用しない限り、衛星が可視範囲にある間は誰かが使っていることでしょう。衛星を使っている他のハムの声を聞くまでは送信するのは待ち、“どうぞ”を聞いたらあなたのコールサインを送信してみてください。これはちょうどリピータを使った交信に加わるのと同じ要領です。 キャリアは検出できるのに音声を聞くことができないのならCQを出してはいけません。 たぶんその時点において衛星は誰かに使われているのに、その信号はあなたの受信設備には弱すぎるのです。このような状態で送信すると、衛星を使っている人たちに迷惑をかけることになります。

衛星が海の上が飛んでいるときがチャンス

AO-27 や UO-14 が海の上を飛んでいるときのほうが、これらの衛星が陸地の上を飛んでいるときよりも、ずっと低いアップリンク電力で衛星にアクセスできることに気付くでしょう。これは衛星から見える範囲に存在する送信者が少なく、競争が少ないためです。

ヤエス FT-50R/RDをどうやってプログラムするのか

多くの読者がヤエスのFT-50R (あるいは FT-50RD) を別々の周波数帯で送信と受信するようにするにはどうすればよいのか問い合わせてきました。取扱説明書の "Custom Tx Offset" の項を読んでください。

ほかにどんな衛星が使えるの?

もうひとつの多くあった質問は "AO-27やUO-14のために用意した設備を使って、これ以外のどんなえ衛星を聞いたり使ったりできるの?"というものでした。この質問への答えは時とともに変わりますから、JAMSAT NEWのページJAMSAT Web、そしてAMSAT-NA web site www.amsat.org を参照ください。

SUNSAT-OSCAR 35 (運用停止)

もうひとつの 2m/70cm FM トランシーバーで使う事が出来る衛星は SUNSAT-OSCAR35 です。 この衛星はモードBとモードJを両方備えていますが、多くの場合モードBで運用されています。アップリンクは 436.291MHz、ダウンリンクは145.825MHz、それぞれドップラーシフトで上下します。 しかしながら、この衛星の運用は不定期です。最新の運用予定は上記の情報源や、SUNSAT web site, http://sunsat.ee.sun.ac.za (JAMSATのSUNSATミラーサイトはここにあります ).

UoSAT-OSCAR 11 (UOSAT-2)

145.825MHzで送信している研究とビーコンのための衛星 UoSAT-OSCAR11も聞いてみましょう。 UO-11は通信機能はもっていません。UoSAT-OSCAR 11についてはサリー大学のUO-11 Webサイトを参照ください。

ARISS

国際宇宙ステーションのアマチュア局はFM音声とパケットを145.800MHzで運用しています。

さらに新しい衛星が続きます

これからも低軌道(LEO) FMモード衛星の予定があります。JAMSAT NEWSから流される最新情報に注意してください。

これらの情報が皆さんのお役に立つ事を願っています。 CU on AO-27 and UO-14!
73, Ray, W2RS
w2rs@amsat.org

*1 : 日本では型番が異なります。秋月電子通商のWH-462B \800も1/2λ430MHzのホイップです。
*2 : 一本の軽量ブームに2m 3素子、 70cm 7素子を配した、手持ち用グリップのついた八木アンテナ。日本では北辰のHS-FOX727などがこれに近い製品です。


Updated Jul 3, 2003.
Updated August 13, 2002.
Updated March 11, 2000.
日本語化 JAMSAT (一部の情報は日本向けに変更されています)