特 報:AO-10の運用状況
JAMSAT

JAMSAT 日本アマチュア衛星通信協会


1983年6月16日に打ち上げられたAO-10は、15歳の誕生日を迎えようとしています。AMSAT ニュース $102.01 に AO-10 についてのニュースが載っていましたので 訳しました。AO-10 の運用状況は W4SM's "Unofficial" Web Page も参照ください。

JA6BX 江崎
ja6bx@jamsat.or.jp


AO-10
Uplink 435.030 to 435.180 MHz CW/LSB
Downlink 145.975 to 145.825 MHz CW/USB
利用可能。OZ1MY によれば AO-10 は再びトラポンが FM がかってきました。 W4SM もそのことに関して次のように付け加えています。「AO-10 の太陽に対する 角度が再び増大しています。推定では+40度前後と思われます。今後5月末までは 急速に増大し、その間コンディションは悪化するものと思われます。」

W4SM のホームページに、より詳しい情報が記載されています。
http://www.cstone.net/~w4sm/AO-10.html

-----------------------[原文]-------------------------

$ANS-102.01
AO-10
Uplink 435.030 to 435.180 MHz CW/LSB    
Downlink 145.975 to 145.825 MHz CW/USB  
Operational. OZ1MY reports AO-10 appears to be 'FM-ing' again. Stacey 
Mills, W4SM, concurs, adding " the solar angle appears to be increasing 
again.  My running guestimation is that its up to about +40 degs.  It will 
increase rapidly be  the end of May, so conditions will 
progressively worsen during this time."

W4SM has more information about on his AO-10 web page, using 
the following URL:

http://www.cstone.net/~w4sm/AO-10.html
4月27日のAMSAT SpaceNews に掲載された AO-10 の近況の邦訳です。

                            JA6BX 江崎。 
* AMSAT-OSCAR-10 NEWS *
=======================
W4SM、 Stacy Mills氏のレポートによれば、AO-10の太陽照射が極度に低くなっ
ているため、AO-10は「殆どこん睡状態」のようである。ビーコンは周波数が
フラついているし、ダウンリンクの信号もFMがかっており、返っては来るが、
非常に弱い、とのことである。

こうした状況は、現在のAO-10の姿勢では、太陽の照射が50%以下であろうという、
彼の推測と合致する。太陽電池の経年劣化を考慮すれば、かなりの性能低下を起
こしても不思議ではない。

状況は恐らく来月(5月)も引き続き悪化するものと思われ、フィールド・デーの時
期までに回復することは期待できそうにない。しかし、今年の夏の後半には再び回
復に向かい、8月には状態もピーク(最良)になるであろう。

W4SMによれば、もし今周期の中で信号の完全な「消失」が見られるならば、AO-10
のALON/ALATをより精確に予測することが出来るようになり、太陽の照射予測精度
も向上できる、とのことである。

[W4SM Stacy Mills 氏からの情報]

------------------------------[原文]------------------------------------
* AMSAT-OSCAR-10 NEWS *
=======================
Stacey Mills, W4SM, reports that AMSAT-OSCAR-10's solar illumination
appears to be extremely low, and the satellite is "nearly comatose" as
a result.  Stacey reports hearing the beacon with FM'ing as well as his
own downlink with some FM'ing as well, but the signals are very, very weak.  

This is in keeping with his best guess regarding the spacecraft's attitude,
which shows less than 50% illumination at the moment.  Given the aging 
solar panels, that's probably enough to cause significant performance
degradation.

Things will probably continue to get worse for the next month and may not
be any better by the time of field day.  However, they should improve again
later in the summer and peak in August.

If this cycle produces a complete "loss of signal", Stacey may be able
to more closely estimate the ALAT/ALON of the satellite and improve the
illumination predictions.

[Info via Stacey Mills, W4SM]
  
  73, de JA6BX - Y. Esaki 34122731@people.or.jp 
                         or, ja6bx@jamsat.or.jp
                             ja6bx@amsat.org

------------- W4SM Web より-------------------

http://www.cstone.net/~w4sm/AO-10.html


1998,03,29 の状況 (Current Status: 1998,03,29)
AO-10 の信号はおおむね良好。しかし、深い QSB があり一時的に入感状況が悪化。 ALON/ALAT を 135/32 とした W4SM の推測では太陽の照射角度は +34.5度で受光率 は82%。信号は QSB の深い谷に入った時を除いては遠地点でも結構強く入感してい る。QSB はアンテナの指向性による円偏波面の変化によるものと考えられる。 遠地点付近での信号の強さ(近年にない強さ)と、偏波面による信号強度の変化など から判断して、AO-10 は現在高利得アンテナに切り替わっているものと思われる。

アンテナの構成 (Antenna Configuration)
上述のように、AO-10 は現在高利得アンテナが動作中と思われる。いつ高利得アン テナに切り替わったかは不明。多分、何らかのショック(bit glitch)によって、 アンテナ切ー切換えリレーが作動したと思われる。ビーコン信号に時折、意味不明 のPSKテレメトリーが聴かれることから制御システムの「不安定性」があるようだ。

AO−10が冬眠するのは?(Why does AO-10 Periodically "Sleep"? )
AO−10が年間2回「冬眠」するのは「日食」が原因ではない。衛星が「日食」 になるということは、地球が衛星と太陽との間に入ることである。そのような現象 は、確かに年間の或る季節に衛星の毎オービットに起こることが考えられるが、そ れは、比較的短時間の現象である。AO−10で見られる冬眠現象はスピンによっ て姿勢安定化された(若干の乱れはあるものの)衛星が宇宙に対して固定化された 姿勢に起因するものである。 太陽を回る地球、その地球を回るAO-10から見ると、 太陽はあたかも自分を回る衛星のように見える。衛星が宇宙に対する方向を黄道内 で一定に保っているとするならば、太陽光はAO−10のアンテナのある面かモー ター面かのいずれかを照らす時期が年間2回ある。その期間中は太陽電池パネルは 暗闇か発電には不十分な日光照射しか得られない。 この時、日光はAO−10の お尻か頭には当たっている訳で、食に入っている訳ではない。もし本当に食に入っ た時には、AO−10はバッテリーが完全にいかれているために電源は直ちに断た れた状態となり、食から出れば直ちに(1分前後で)トランスポンダーは復活する はずである。



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