[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[jamsat-news:1563] SATINF#194 6 August 2001



衛星情報  SATINF#194   6 August 2001
                                                           JN1GKZ 新井


トピックス

◆AO-40は、U/L1→S1/S2でトランスポンダの運用をおこなっています。S1のダ
 ウンリンクは、強力です。

◆PCsatの打ち上げは、9月中旬に変更されたようです。



1.運用中の衛星

●AO-10
  状況は、その日によって異なり、不安定です。

  8月4、5日の近地点でのヨーロッパのパスは、不安定ながらも十分なダウ
 ンリンクが帰ってきましたが、QRVしている局はほとんどありませんでした。


●RS-12/13
  RS-12のAモードが動作しています。


●RS-15
  Aモードで運用されているようですが、ビーコンは5秒間キャリアを送信、
 2秒間停止を繰り返しているようです。トランスポンダは、ビーコンの送信
 がおこなわれている間だけオンになっているようです。


●FO-20
  夜間のパスでは、食によってUVC(Under Voltage Controler:バッテリの
 過放電防止のため送信機への電源を遮断する)が動作し、送信が一時的に停
 止します。
  夜間は、食から抜けるパスの後半でトランスポンダが使えます。


●FO-29
  以下のスケジュールで運用が予定されています。
    2/1 - 10/1 アナログ


●AO-27
  電源に余裕がないため、昼間のパスでのみトランスポンダがオンになりま
 す。
  運用スケジュールは次のとおりです。
    TEPR 4=38
    TEPR 5=78
 衛星に日が当たり始めた19分後から20分間トランスポンダが動作します。
                                          [from KM4NZ Chuck @amsat-bb]


●AO-16
  デジピータがオンになっています。

  8月6日22時過ぎのパスでデコードしたデータです。
    PACSAT-1>AMSAT [06-Aug-01  22:24:02] <UI>:
    June 2001
    Digipeat is ON
    AO-16 (PACSAT) owned and operated
    by AMSAT-NA
    AO16 Command Team <WJ9F>
    
    PACSAT-1>TIME-1 [06-Aug-01  22:24:14] <UI>:
    PHT: uptime is 540/09:44:29.  Time is Mon Aug 06 13:21:33 2001
    
    PACSAT-1>LSTAT [06-Aug-01  22:24:17] <UI>:
    I P:0x1D00 o:0 l:6654 f:7171, d:1 st:1


●LU-19
  CWビーコンがオンになっています。CWビーコンは12WPMのゆっくりとした
 CWで約30秒毎に送信されています。

  8月6日22時過ぎのパスでも強力なCWビーコンを送信していました。


●UO-11
  正常動作しています。


●UO-14
  JモードのFMリピータの運用がおこなわれています。


★UO-22
  8月1日、RAMディスクのチェックのために運用を一時停止しました。これ
 は、数週間前から大容量ファイルのダウンロードが難しくなったためです。
 RBBSソフトのリロードが完了次第、運用が再開されるようです。
                                               [G7UPN Chris @amsat-bb]


●KO-25
  正常に運用しているようです。


▲TO-31(TMSAT-1)
  管制局の可視範囲でのみ送信機をオンにしているようです。


●GO-32(TechSat-1B)
  断続したビーコンが送信されているようです。


●SO-33(SedSat-1)
  テレメトリを送信しており、SGS20というソフトでデコードすることがで
 きます。SGS20は、
    http://uah.seds.org/projects/sedsat/SGS20Source.zip
 から入手できます。


●UO-36(UoSAT-12)
  正常に動作しているようです。

  UO-36の情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sstl.co.uk/


●OO-38(OPAL)
  デジピータとして機能しているようです。周波数は、アップリンク、ダウ
 ンリンク共に437.100MHzです。


●Tiungsat-1
  38400bpsの運用がおこなわれています。普段はダウンリンクは、オフにな
 っていますが、地上局からのコマンドでオンにすることができます(WiSPで
 サポート)。ダウンリンクの出力は8Wで良好に38400bpsの信号がデコードで
 きているようです。


★ISS
  パケットの運用が始まり、デジピータが動作しています(1200bps AFSK)。
 コールサインは、NOCALLです。デジピートに成功した局にはQSLが発行され
 ます。日本からのQSLマネージャは現在、検討中です。ARRL等へQSLは送付し
 ないで下さい。
  北米、ヨーロッパ上空では、頻繁に音声による運用が頻繁におこなわれて
 います。

  8月9日打ち上げ予定のスペースシャトル STS-105で新しいTNCがISSへ運搬
 されます。このTNCは、STS-105に乗り組む第3次搭乗員のKD5OPQ Frank 
 Culbertson氏によって現在使用しているTNCと交換される予定です。新しい
 TNCにはコールサイン RS0ISS が書き込まれており、交換後はこのコールサ
 インで運用されます。コールサイン RS0ISS-1 でRBBSの運用もおこなわれる
 予定です。

  STS-105で第3次搭乗員がISSへ向かい、搭乗員が交代します。第3次搭乗員
 は、Culbertson氏、Dezhurov氏、Turin氏の3名で、Culbertson氏がKD5OPQの
 コールサインを持っています。

  宇宙からARRLのフィールドデイに参加したSusan HelmsさんにARISSチーム
 を通して参加賞のピンバッチが送られました。ピンバッチは、スペースシャ
 トル STS-104 でISSへ向かったJim Reilly氏に託され、Susan Helmsさんに
 届けられました。
  ピンバッチを付けたSusan Helmsさんの画像が公開されています。
    http://www.spaceflight.nasa.gov/gallery/images/station/crew-2/
    ndxpage15.html

  ISSのアマチュア局のコールサインは次の通りです。
   コールサイン:RZ3DZR、R0ISS、NA1SS、DL0ISS

  FM音声のアップリンク周波数は、日本ではバンドプランに合致しないため
 対応が考えられています。当面は、FM音声のアップリンクはしないで下さい。

  ARISS-Europeのwebサイトが立ち上がりました。同時に、ヨーロッパの局
 向けのQSLマネージャの設定もおこなわれました。
    http://www.ariss-eu.org

  ARISSの情報は、以下のサイトから得られます。
    http://ariss.gsfc.nasa.gov/



2.調整中の衛星

●SNAP-1
  SNAP-1は、OBC(on-board computer)ソフトがないため、マニュアルで衛星
 を制御しなければなりません。また、小型衛星であるため、電源に余裕が無
 く、コマンド局(英国 サレー大学)の可視範囲でのみ、ダウンリンクをオ
 ンにしています。
  ダウンリンクは、2430MHz 100mW、38.4kbpsです。昨年夏にダウンリンク
 が良好に受信できているとの報告がありましたがその後、何も報告がありま
 せん。


▲KO-23
  99年10月30日にOBCがリセットされ、未だ復旧していませんが、変調の掛
 かった信号を送信しています。


▲PO-34(PanSat)
  スペクトラム拡散の運用が予定されていますが、未だ運用されていません。
  PanSatの情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sp.nps.navy.mil/pansat/


●SAUDISAT-1A(SO-41)、SAUDISAT-1B(SO-42)
  現在、管制局(リヤド、ワシントンDC、デンバー)の可視範囲でのみダウ
 ンリンク(9600bps)がオンにされ動作確認がおこなわれています。


★AO-40(P3D)
  7月18日からMA 10-99で U/L1→S2 のトランスポンダの運用が再開されま
 した。地球に近い地点でアンテナが地球を向くため、強いダウンリンク信
 号が帰ってきました。
  オービット#350(8月3日)からはMA 44-80の期間、U/L1→S1のトランスポ
 ンダの運用が始まりました。S1は、48cmディッシュでの送信のため、S2の6
 ターン ヘリカルに比べ利得があるため非常に強力です。

  RUDAKの試験がおこなわれています。SCOPEの試験もおこなわれているよう
 で、現時点では問題はないようです。RUDAK試験時には、ビーコンとトラン
 スポンダの運用がキャンセルされることがあります。

  日本では、8月5日がS1の初日でしたが、ダウンリンクの強さに驚きの声が
 多数上がっていました。S1のダウンリンクは、ディッシュでRS 59-57、29エ
 レ程度のループでRS 55-57程度で受信できていたようです。430MHzアップリ
 ンクの場合、10W以下で十分なダウンリンク信号が帰って来ていました。

  8月6日は、12エレ ツインデルタループ + 15dB LNA + ドレークコンバー
 タでRS 54(ピーク時)でS1のダウンリンクが受信でき、北米とのQSOもで
 きました。

 運用スケジュール
      MA    トランスポンダ   RUDAK   ビーコン
     0-  9       OFF          OFF      S2-MB
    10- 43     U/L1→S2       OFF      S2-MB
    44- 80     U/L1→S1       OFF    S1-EB/MB
    81-100     U/L1→S2       OFF      S2-MB
   101-255       OFF          OFF      S2-MB
     ビーコン: MB ミドルビーコン
           EB エンジニアリングビーコン
           S1時はMB、EB不定(and/orで運用)
     RUDAK: ダウンリンクのみ(アップリンクは禁止)。予告無しに
         運用/停止されることあり。

  ビーコン周波数(打ち上げ前の最終チェックで測定された周波数に実績を
 加筆。*は、打ち上げ後にアナウンスのあった実績のある周波数)
   BEACON    General Beacon  Middle Beacon   Engineering Beacon
   Vバンド          -           145.898MHz*          -
   Uバンド       435.438MHz     435.588MHz       435.838MHz 
   S1バンド     2400.188MHz    2400.338MHz      2400.588MHz 
   S2バンド     2401.168MHz    2401.323MHz*     2401.568MHz
   Xバンド     10450.975MHz   10451.125MHz     10451.375MHz 
   Kバンド     24047.885MHz   24048.035MHz     24048.285MHz 
   赤外レーザ                   360    THz
  アップリンク、ダウンリンク周波数
    ※MBに妨害を与えないこと。MBの±5kHzの範囲はダウンリンク禁止。
   S1バンドdown: 2400.225 - 2400.475 MHz
   S2バンドdown: 2401.210 - 2401.495 MHz
   L1バンドup: 1269.496 - 1269.211 MHz
   Uバンドup : 435.780 - 435.495 MHz
   RUDAK S2 down:2401.74MHz(主に9600bps FSK)

 軌道要素
  NORAD発表の軌道要素(jamsat-kepsで配信されているものも含む)のオー
 ビット番号は、実際より 1 少ない値になっています。注意して下さい。

 トランスポンダ
  U/L1→S1/S2(アップリンク→ダウンリンク)の動作が確認されています。
  U/L1→S1/S2の運用がおこなわれています。

 姿勢
  ALON/ALAT=0/0に向け、姿勢変更がおこなわれていましたが、現在は中断
 しているようです。
  オービット#350(8月3日)のテレメトリでは姿勢を 338/3 とアナウンス
 していました。

 YACE
  正常動作が確認されており、姿勢の確認に使われています。

 Kバンド送信機、Xバンド送信機、Cバンド受信機
  試験がおこなわれましたが、動作が確認されていません。

 RUDAK
  RUDAK-A、Bの試験がおこなわれ、一部の動作が確認されています。

 LEILA
  正常動作が確認されました。時々、無信号の周波数に現れることがあり
 ます。

 アークジェットモータ
  オービット#295から#301までアンモニアガスの噴射のみでの運用がおこな
 われました(アーク放電なし)。オービット#302からアンモニアガスが噴射
 されなくなり、運用を終えました。搭載していたアンモニアガスを使い果た
 してしまったと考えられています。

  AO-40のテレメトリデータがamsatのサイトで公開されています。
    http://www.amsat.org/amsat/ftp/telemetry/ao40/
  P3Tでデコードしたテレメトリデータを ao40-archive@amsat.org へZIP形
 式の添付ファイルとして送付するように求めています。
                                            [from VP9MU Pau @amsat-bb]

  RUDAKのWOD(Whole Orbit Data)テレメトリファイルをCSV形式のファイ
 ルに変換するプログラムがリリースされました。Windows版(RudakTLM、
 KE4AZN作)、JAVA版、DOS版(WOD2CSV)の3つがあります。
  AMSAT-NAのサイトから入手できます。
    http://www.amsat.org/amsat/ftpdelta.html
                                                 [from WD0E @amsat-bb]

  AE4JY Moe氏によるテレメトリデコードソフト AO40Rcv のVer1.40がリリー
 スされました。Moe氏は別のソフト開発に注力したいとのことから、AO40Rcv
 は、今回のバージョンが最終版になるそうです。ただし、開発を継続してく
 れる方があれば、ソースを公開するので、プログラムの改善をして欲しい旨
 伝えています。興味のある方は、Moe氏とコンタクトされて下さい。
    http://www.qsl.net/ae4jy/
                                                [from AE4JY @amsat-bb]

  W3PM/GM4YREによるAO-40回線計算のexcel用スプレッドシートがアップデー
 トされました。従来は、Sバンドのダウンリンクだけの計算でしたが、AO-40
 に搭載されている全送受信周波数での計算ができるようになりました。
  以下のURLにて公開されています。
    http://home.HiWAAY.net/~mmarcus/download/ao40v2.0.xls
                                          [from W3PM GM4YRE @amsat-bb]



3.運用を停止している衛星
▲DO-17


▲WO-18


▲IO-26
  運用を停止しているようです。


▲WO-39(JAWSAT)



4.これから打ち上がる衛星

●CubeSat
  東京工業大学等で開発している10cm立方のナノサテライト CubeSatが
 2002年5月にロシアから打ち上げられる予定です。
  アップリンク 145.835MHz、ダウンリンク 437.450-437.500MHzが予定され
 ています。
   東工大CubeSatプロジェクト
    http://horse.mes.titech.ac.jp/srtlssp/cubesat/index.html
   東大CubeSatプロジェクト
    http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/cubesat/index.html
             [from 東京工業大学 此上さん、宇井さん、JG1LDV @jamsat-bb]


★PCsat(Personal Communications Satellite)
  米国Naval AcademyのPCsatの打ち上げは、9月中旬に変更されました。正
 確な日時は発表されていません。
  PCsatは、アラスカのKodiacからLockheed Martin Athenaで打ち上げられ、
 高度800km、軌道傾斜角67度、周期100分の軌道に乗る予定です。軌道要素
 は、次のように発表されています。
    Epoc:           2001 244.0416667
    Mean Anomoly:   0
    Mean Motion:    14.25
    Inclination:    67 deg
    Excentricity:   0
    Arg of Perogee: 107 deg
    R.A.A.N         60  deg
    Decay:          0
    Beacon Freq:    145.825

  PCsatは、ハンディやモービルAPRSをおこなうためのデジタル衛星で、次
 のような運用プランが考えられています。

   USERS             UPLINK         TNC              DOWNLINK
   ----------------  -------     ------------   ---------------------
                                 KPC-9612 #1
   HT-to-HT          145.825 --> 1200 Baud -*--> 145.825 (ITU Subband)
                                    \ /     |
                                    / \     |
   Mobile-to-Mobile  UHF-U1  --> 9600 Baud -*
   
                                 KPC-9612 #2
   Low Pwr Trackers  VHF-U2  --> 1200 Baud -*--> 144.39  (over USA )
                                    \ /     |               
                                    / \     |
   Igate Paging      UHF-U2  --> 9600 Baud -*


  PCsatと同時に次の3つの衛星が打ち上げられます。Starshineは、145.825
 MHzで9600bpsのビーコンを送信するようです。
    Starshine (a mirror ball for visual sighting)
    Picosat (a commercial/DOD satellite)
    Sapphire (a joint Stanford/Washington Univ/USNA satellite)

  詳細は、以下のサイトをご覧下さい。
    http://web.usna.navy.mil/~bruninga/pcsat.html
                                              [from WB4APR @amsat-bb]


5.衛星に関する情報

★AMSAT-UKコロキューム
  第16会AMSAT-UKコロキュームが7月27日から29日まで英国サレー大学で開
 催され、14カ国から85名が参加しました。

  発表の優秀賞は、K5OE Jerry氏(YAHE: Yet Another Helix Experiment)
 が、新人賞は、G6LVB Howard氏(Entry-Level AO 40 Capable Stations)が
 受賞しました。

  発表の他に、ON6UG、G3RUHによるAO-40 Sバンド受信デモやマイクロウエー
 ブ測定会がおこなわれました。マイクロウエーブ測定会では、以下の機器の
 測定がおこなわれており、ドレークコンバータが人気なようです。
    Drake 2880 converters    15台 
    SSB Electronics UEK2000    2台
    Transystem MMDS converters  2台
    DB6NT P3D converter      1台
    DJ9BV preamps         2台
    Down East preamp       1台
  また、Sバンドアンテナゲイン測定会がおこなわれ、次のような傾向があ
 ったそうです。
    短いヘリカルフィードは、きれいな円偏波になっていない
    ディッシュのゲインは高いが、最適化のための調整が必要
  これらの測定結果は、AMSAT-UKの会報「OSCAR NEWS」に発表されます。

  AO-40の新しいロゴは、W3PM Gene氏作のものに決まりました。新しいロゴ
 は、Amsat-UKのサイトで公開されています。
    http://www.uk.amsat.org/ao40logo.htm

  第17会AMSAT-UKコロキュームは、2002年7月26日から28日が予定されてい
 ます。
                                                [from G3RWL @amsat-bb]


★インスタント トラック Ver1.51
  DOSのトラッキングソフト、インスタント トラック(IT)のVer1.51がベー
 タリリースされました。AO-40のALON/ALATが従来の衛星と逆向きになってい
 ましたが、Ver1.51でこれに対応しています。
  Ver1.50用のアップデートソフトがAMSAT-NAのサイトで公開されています。
    http://www.amsat.org/amsat/instanttrack/beta.html
                                                [from KB5MU @amsat-bb]


★ハムフェア
  8月31日から9月2日にパシフィコ横浜で開催されます。
  9月2日 11時からJA3GEP 毛利さんによるAO-40に関する講演があります。
  JAMSATは、AO-40関連の展示、ビデオ上映などをおこないます。ブース 
 CJ-24にお立ち寄り下さい。


★ペルセウス座流星群
  明るい流星が沢山流れるペルセウス座流星群が8月12日深夜に極大になり
 ます。今年は、月明かりも無く、観測条件は良好です。1時間に数十個の流
 星が期待されています。



参考
 ANS、JAMSATメーリングリスト、AMSATメーリングリスト

JN1GKZ 新井
   jn1gkz@jamsat.or.jp     http://www.din.or.jp/~m-arai/