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[jamsat-news:1539] SATINF#193 15 July 2001



衛星情報  SATINF#193   15 July 2001
                                                           JN1GKZ 新井


トピックス

◆AO-40は、アークジェットモータの運用を終え、近地点高度が従来の280kmか
 ら851kmに上がりました。新しい軌道は、今後20年以上に渡って安定したも
 のであることが検証されています。
 しかし、今回の運用で推進剤のアンモニアガスを使い果たしてしまったので
 はないかと考えられています。

◆PCsatの打ち上げが8月31日に決まったようです。



1.運用中の衛星

●AO-10
  状況は、その日によって異なり、不安定です。

  7月15日の西のパスは、ダウンリンクは信号がふらつくものの、途切れる
 ことは、ほとんどありませんでした。


●RS-12/13
  RS-12のAモードが動作しています。


●RS-15
  Aモードで運用されているようですが、ビーコンは5秒間キャリアを送信、
 2秒間停止を繰り返しているようです。トランスポンダは、ビーコンの送信
 がおこなわれている間だけオンになっているようです。


●FO-20
  夜間のパスでは、食によってUVC(Under Voltage Controler:バッテリの
 過放電防止のため送信機への電源を遮断する)が動作し、送信が一時的に停
 止します。
  夜間は、食から抜けるパスの後半でトランスポンダが使えます。


●FO-29
  以下のスケジュールで運用が予定されています。
    2/1 - 10/1 アナログ


●AO-27
  電源に余裕がないため、昼間のパスでのみトランスポンダがオンになりま
 す。
  運用スケジュールは次のとおりです。
    TEPR 4=38
    TEPR 5=78
 衛星に日が当たり始めた19分後から20分間トランスポンダが動作します。
                                          [from KM4NZ Chuck @amsat-bb]


●AO-16
  RBBSは再開されていませんが、デジピータがオンになっています。


●LU-19
  CWビーコンがオンになっています。CWビーコンは12WPMのゆっくりとした
 CWで約30秒毎に送信されています。


●UO-11
  正常動作しています。


●UO-14
  JモードのFMリピータの運用がおこなわれています。


●UO-22
  正常運用しています。


★KO-25
  6月19日にOBCがクラッシュしましたが、現在は回復しています。


▲TO-31(TMSAT-1)
  管制局の可視範囲でのみ送信機をオンにしているようです。


●GO-32(TechSat-1B)
  断続したビーコンが送信されているようです。


●SO-33(SedSat-1)
  テレメトリを送信しており、SGS20というソフトでデコードすることがで
 きます。SGS20は、
    http://uah.seds.org/projects/sedsat/SGS20Source.zip
 から入手できます。


●UO-36(UoSAT-12)
  正常に動作しているようです。

  UO-36の情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sstl.co.uk/


●OO-38(OPAL)
  デジピータとして機能しているようです。周波数は、アップリンク、ダウ
 ンリンク共に437.100MHzです。


●Tiungsat-1
  38400bpsの運用がおこなわれています。普段はダウンリンクは、オフにな
 っていますが、地上局からのコマンドでオンにすることができます(WiSPで
 サポート)。ダウンリンクの出力は8Wで良好に38400bpsの信号がデコードで
 きているようです。


★ISS
  パケットの運用が始まり、デジピータが動作しています(1200bps AFSK)。
 SSIDは、NOCALLです。
  北米上空では、頻繁に音声による運用が頻繁におこなわれています。ヨー
 ロッパ上空でも運用をおこなっています。

  現在、使用しているパケット装置(TNC)は、バッテリ切れで、また、PC
 に接続されていないため、TNCの初期設定状態で運用されています。このた
 め、SSIDがNOCALLになっていたり、RBBSが動作していなかったりと本来の運
 用ができていません。そこで急遽、新しいTNCがARISS-USのメンバーによっ
 て用意され、8月上旬に打ち上げ予定のスペースシャトルSTS-105にてISSへ
 運ばれることになりました。新しいTNCは、第3次搭乗員のKD5OPQ Frank
 Culbertson(8月に赴任予定)によって、現在使っているTNCと交換されます。
  新しいTNCには次の改善がなされています。
   ・主要なパラメータはPROMに書き込まれ、バッテリが切れてもパラメー
    タを保持できるようにした。
   ・コールサインは、RS0ISSを登録。メールボックス(PMS:Personal
    Mailbox System)のコールサインは、RS0ISS-1。
   ・PMSのメモリ容量は1MB。
   ・キリル文字をサポート。
   ・PMS接続後、1分間無応答であるとディスコネクトする。
                                           [from KA3HDO @amsat-sarex]

  デジピートに成功した局にはQSLが発行されます。日本からのQSLマネー
 ジャは現在、検討中です。ARRL等へQSLは送付しないで下さい。

  ISSのアマチュア局のコールサインは次の通りです。
   コールサイン:RZ3DZR、R0ISS、NA1SS、DL0ISS
  現在、3名がISSに滞在しており、次の2名がコールサインを持っています。
   UA9AD/R3MIR Yuri Usachev
   KC7NHZ Susan Helms

  FM音声のアップリンク周波数は、日本ではバンドプランに合致しないため
 対応が考えられています。当面は、FM音声のアップリンクはしないで下さい。

  6月23-24日におこなわれたARRL主催のフィールドディに宇宙から参加し、
 北米を中心にQSOをおこなったようです。

  ARISS-Europeのwebサイトが立ち上がりました。同時に、ヨーロッパの局
 向けのQSLマネージャの設定もおこなわれました。
    http://www.ariss-eu.org

  ARISSの情報は、以下のサイトから得られます。
    http://ariss.gsfc.nasa.gov/



2.調整中の衛星

●SNAP-1
  SNAP-1は、OBC(on-board computer)ソフトがないため、マニュアルで衛星
 を制御しなければなりません。また、小型衛星であるため、電源に余裕が無
 く、コマンド局(英国 サレー大学)の可視範囲でのみ、ダウンリンクをオ
 ンにしています。
  ダウンリンクは、2430MHz 100mW、38.4kbpsです。昨年夏にダウンリンク
 が良好に受信できているとの報告がありましたがその後、何も報告がありま
 せん。


▲KO-23
  99年10月30日にOBCがリセットされ、未だ復旧していませんが、変調の掛
 かった信号を送信しています。


▲PO-34(PanSat)
  スペクトラム拡散の運用が予定されていますが、未だ運用されていません。
  PanSatの情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sp.nps.navy.mil/pansat/


●SAUDISAT-1A(SO-41)、SAUDISAT-1B(SO-42)
  現在、管制局(リヤド、ワシントンDC、デンバー)の可視範囲でのみダウ
 ンリンク(9600bps)がオンにされ動作確認がおこなわれています。


★AO-40(P3D)
  オービット#295(6月21日)から始まったアークジェットモータの運用
 (推進剤のアンモニアガスの噴射のみ)は、毎オービットの遠地点で運用
 が継続されていましたが、オービット#302(6月27日)から推進剤のアンモ
 ニアの噴出が止まってしまいました。テレメトリは、アークジェットモー
 ターとアンモニアのタンクの圧力がゼロであることを示しています。また、
 近地点高度は、予定より高くなっていることから、搭載していた53kgのアン
 モニアを全て使い果たしてしまったのではないかと考えられています(詳細
 は調査中)。推進剤のアンモニアが全て消費されてしまったとすれば、今
 後、軌道変更はできないものと思われます。

  アークジェットモータの運用で近地点高度は、280kmから851kmに上がりま
 した。遠地点高度は変わっていません。新しい軌道は、今後20年以上に渡っ
 て安定したものであることが検証されています。近地点高度は810〜1260km、
 軌道傾斜角は5〜10.5度の間で変化します。詳細は、以下のURLを参照して下
 さい。
    http://www.amsat-dl.org/journal/AO-40_20yrs.gif

  現在、搭載機器の動作確認をするため、ALON/ALAT=0/0へ姿勢変更中です。

 運用スケジュール
      MA    トランスポンダ   RUDAK   ビーコン
     0-255       OFF          OFF      S2-MB
     ビーコン: MB ミドルビーコン
     RUDAK: ダウンリンクのみ(アップリンクは禁止)。予告無しに
         停止されることがあります。

  ビーコン周波数(打ち上げ前の最終チェックで測定された周波数に実績を
 加筆。*は、打ち上げ後にアナウンスのあった実績のある周波数)
   BEACON    General Beacon  Middle Beacon   Engineering Beacon
   Vバンド          -           145.898MHz*          -
   Uバンド       435.438MHz     435.588MHz       435.838MHz 
   S1バンド     2400.188MHz    2400.338MHz      2400.588MHz 
   S2バンド     2401.168MHz    2401.323MHz*     2401.568MHz
   Xバンド     10450.975MHz   10451.125MHz     10451.375MHz 
   Kバンド     24047.885MHz   24048.035MHz     24048.285MHz 
   赤外レーザ                   360    THz
  アップリンク、ダウンリンク周波数
   S2バンドdown: 2401.210 - 2401.495 MHz
                MBの±5kHzの範囲はダウンリンク禁止
                MBに妨害を与えないこと
   L1バンドup: 1269.496 - 1269.211 MHz
   Uバンドup : 435.780 - 435.495 MHz
   RUDAK S2 down:2401.74MHz(主に9600bps FSK)

 トランスポンダ
  L1U/S2(アップリンク/ダウンリンク)の動作が確認されています。
  姿勢変更のため運用は中止されています。

 姿勢
  ALON/ALAT=0/0に向け、姿勢変更をおこなっています。
  7月12日の姿勢は、ALON/ALAT=290/-3でした(ビーコンのアナウンス値)。
  マグネトルーカを運用しているときは、ビーコンの変調がふらつくようで
 す。

 YACE
  正常動作が確認されており、姿勢の確認に使われています。

 Kバンド送信機、Xバンド送信機、Cバンド受信機
  試験がおこなわれましたが、動作が確認されていません。

 RUDAK
  RUDAK-A、Bの試験がおこなわれ、一部の動作が確認されています。

 LEILA
  正常動作が確認されました。

 アークジェットモータ
  オービット#295から#301までアンモニアガスの噴射のみでの運用がおこな
 われました(アーク放電なし)。オービット#302からアンモニアガスが噴射
 されなくなり、運用を終えました。搭載していたアンモニアガスを使い果た
 してしまったと考えられています。

  AO-40のテレメトリデータがamsatのサイトで公開されています。
    http://www.amsat.org/amsat/ftp/telemetry/ao40/
  P3Tでデコードしたテレメトリデータを ao40-archive@amsat.org へZIP形
 式の添付ファイルとして送付するように求めています。
                                            [from VP9MU Pau @amsat-bb]

  RUDAKのWOD(Whole Orbit Data)テレメトリファイルをCSV形式のファイ
 ルに変換するプログラムがリリースされました。Windows版(RudakTLM、
 KE4AZN作)、JAVA版、DOS版(WOD2CSV)の3つがあります。
  AMSAT-NAのサイトから入手できます。
    http://www.amsat.org/amsat/ftpdelta.html
                                                 [from WD0E @amsat-bb]

  AE4JY Moe氏によるテレメトリデコードソフト AO40Rcv のVer1.40がリリー
 スされました。Moe氏は別のソフト開発に注力したいとのことから、AO40Rcv
 は、今回のバージョンが最終版になるそうです。ただし、開発を継続してく
 れる方があれば、ソースを公開するので、プログラムの改善をして欲しい旨
 伝えています。興味のある方は、Moe氏とコンタクトされて下さい。
    http://www.qsl.net/ae4jy/
                                                [from AE4JY @amsat-bb]


  W3PM/GM4YREによるAO-40回線計算のexcel用スプレッドシートがアップデー
 トされました。従来は、Sバンドのダウンリンクだけの計算でしたが、AO-40
 に搭載されている全送受信周波数での計算ができるようになりました。
  以下のURLにて公開されています。
    http://home.HiWAAY.net/~mmarcus/download/ao40v2.0.xls
                                          [from W3PM GM4YRE @amsat-bb]



3.運用を停止している衛星
▲DO-17


▲WO-18


▲IO-26
  運用を停止しているようです。


▲WO-39(JAWSAT)



4.これから打ち上がる衛星

●CubeSat
  東京工業大学等で開発している10cm立方のナノサテライト CubeSatが
 2002年5月にロシアから打ち上げられる予定です。
  アップリンク 145.835MHz、ダウンリンク 437.450-437.500MHzが予定され
 ています。
   東工大CubeSatプロジェクト
    http://horse.mes.titech.ac.jp/srtlssp/cubesat/index.html
   東大CubeSatプロジェクト
    http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/cubesat/index.html
             [from 東京工業大学 此上さん、宇井さん、JG1LDV @jamsat-bb]


★PCsat(Personal Communications Satellite)
  米国Naval AcademyのPCsatの打ち上げが8月31日に決まったようです。
  PCsatは、デジピータの運用を主としたデジタル衛星です。VHF→VHF、
 UHF→VHF(アップリンク→ダウンリンク)で1200bps、9600bpsのデジタルの
 運用がおこなわれます。
  GPSを搭載しており、衛星の位置をビーコンとして送信することもできる
 ようです。
  詳細は、以下のサイトをご覧下さい。
    http://web.usna.navy.mil/~bruninga/pcsat.html
                                              [from WB4APR @amsat-bb]


5.衛星に関する情報

★関西ハムの祭典
  今年も、関西ハムの祭典(KANHAM)にJAMSAT有志がブースを出展します。
 お近くの方は、是非、会場に足を運ばれ、JAMSATのブースにお立ち寄り下さ
 い。
   開催日:7月28日、29日
   場所 :兵庫県尼崎市 エーリック


★AMSAT-UKコロキューム
  第16会AMSAT-UKコロキュームが7月27日から29日まで英国サレー大学で開
 催されます。
  プログラムに記載された発表者を見ると、英国内はもとより、OZ1MY、
 OE1VKW、ON6UG、K5OE、W2RS、VE3FRHなど、著名人が各国から集まるようで
 す。
  サレー大学で開発した衛星やAO-40に関する発表をはじめ、3日間で29件
 (ビギナーズセッションを含む)の発表が行われる予定です。発表者の中か
 ら新人賞と優秀賞が選ばれ、それぞれ賞金100ポンドが授与されるようです。
  また、AO-40ロゴの当選発表もおこなわれます。
  詳細は、以下のサイトをご覧下さい。
    http://www.uk.amsat.org/colloquium.htm
                                                [from G3RWL @amsat-bb]



参考
 ANS、JAMSATメーリングリスト、AMSATメーリングリスト

JN1GKZ 新井
   jn1gkz@jamsat.or.jp     http://www.din.or.jp/~m-arai/