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[jamsat-news:1486] SATINF#189 15 May 2001



衛星情報  SATINF#189   15 May 2001
                                                           JN1GKZ 新井


トピックス

◆AO-40はトランスポンダの試験運用が始まり、多くの局がQSOに成功していま
 す。
 RUDAK、LEILAの動作が確認されましたが、Xバンドの送信機試験は不調だっ
 たようです。

◆3B6RF DXペディション局がAO-10の運用をおこなっています。


1.運用中の衛星

●AO-10
  状況は、その日によって異なり、不安定です。
  最近は、近地点付近でダウンリンクが帰ってきますが、QRHを伴っていま
 す。

  5月9日からDXペディション局 3B6RFの運用が始まりました。


●RS-12/13
  RS-12のAモードが動作しています。


●RS-15
  Aモードで運用されているようですが、ビーコンは5秒間キャリアを送信、
 2秒間停止を繰り返しているようです。トランスポンダは、ビーコンの送信
 がおこなわれている間だけオンになっているようです。


●FO-20
  夜間のパスでは、食によってUVC(Under Voltage Controler:バッテリの
 過放電防止のため送信機への電源を遮断する)が動作し、送信が一時的に停
 止します。
  夜間は、食から抜けるパスの後半でトランスポンダが使えるようになって
 います。


●FO-29
  以下のスケジュールで運用が予定されています。
    2/1 - 7/2 アナログ


●AO-27
  電源に余裕がないため、昼間のパスでのみトランスポンダがオンになりま
 す。
  運用スケジュールは3月24日に次のように変更されました。
    TEPR 4=38
    TEPR 5=78
 衛星に日が当たり始めた19分後から20分間トランスポンダが動作します。
                                          [from KM4NZ Chuck @amsat-bb]


●AO-16
  RBBSは再開されていませんが、デジピータがオンになっています。
  週末にSバンドのビーコンがオンになることがあります。

  5月13日にデコードしたデータです。
    PACSAT-1>TIME-1 [13-May-01  21:37:35] <UI>:
    PHT: uptime is 455/08:59:33.  Time is Sun May 13 12:36:37 2001
    PACSAT-1>AMSAT [13-May-01  21:37:39] <UI>:
    April 2001
    AO-16 (PACSAT) owned and operated
    by AMSAT-NA
    AO16 Command Team <WJ9F>
    PACSAT-1>LSTAT [13-May-01  21:37:40] <UI>:
    I P:0x1D00 o:0 l:6654 f:7171, d:1 st:1


●LU-19
  CWビーコンがオンになっています。CWビーコンは12WPMのゆっくりとした
 CWで約30秒毎に送信されています。

  5月13日 21時過ぎのパスで強力なCWビーコンを送信しているのを確認しま
 した。


●UO-11
  正常動作しています。


●UO-14
  JモードのFMリピータの運用がおこなわれています。


●UO-22
  正常運用しています。


●KO-25
  正常運用しています。


▲TO-31(TMSAT-1)
  管制局の可視範囲でのみ送信機をオンにしているようです。


●GO-32(TechSat-1B)
  断続したビーコンが送信されているようです。


●SO-33(SedSat-1)
  テレメトリを送信しており、SGS20というソフトでデコードすることがで
 きます。SGS20は、
    http://uah.seds.org/projects/sedsat/SGS20Source.zip
 から入手できます。


●UO-36(UoSAT-12)
  437.375MHzで38.4Kbpsの信号を送信しているようです。

  5月13日 19時過ぎのパスでは信号を確認できませんでした。

  UO-36の情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sstl.co.uk/


●OO-38(OPAL)
  デジピータとして機能しているようです。周波数は、アップリンク、ダウ
 ンリンク共に437.100MHzです。


●Tiungsat-1
  38400bpsの運用がおこなわれています。普段はダウンリンクは、オフにな
 っていますが、地上局からのコマンドでオンにすることができます(WiSPで
 サポート)。ダウンリンクの出力は8Wで良好に38400bpsの信号がデコードで
 きているようです。


●ISS
  パケットの運用が始まり、デジピータが動作しています(1200bps AFSK)。
  北米上空では、頻繁に音声による運用があるようです。

  初の宇宙旅行でISSを訪れていた KG6FZX Dennis Tito氏は、5月2日 18z過
 ぎに北米上空でNA1SSのコールサインでARISSの運用をおこなったそうです。
                                             [from W8ZCF @amsat-sarex]

  TNCのRAMのバックアップ電池が切れているため、また、TNCにPCを接続し
 ていないためTNCの初期状態でパケットの運用をしています。コールサイン
 "NOCALL"でデジピータの運用をしています。

  デジピートするには、unprotoを
     UNPROTO  CQ VIA NOCALL
 のように設定し、CONVERSモード(convコマンドまたはkコマンドを実行)
 で送信すると送信した信号がデジピートされます。
  周波数は、アップリンク 145.990MHz、ダウンリンク 145.800MHzです。
  北米やヨーロッパでは、ハンディー機+ホイップでもデジピートできてい
 るとの報告がありますが、日本上空ではQRMのためか、デジピートは簡単で
 はないようです。

  デジピートに成功した局にはQSLが発行されます。現時点ではアメリカと
 カナダの局向けのQSLマネージャーは設定されていますが、その他の地域は
 未設定です。各地域のQSLマネージャーについては、オランダのESA ESTECで
 5月第一週に開催されるARISSのミーティングで話し合われる予定です。
                                            [from KA3HDO @amsat-sarex]

  現在、3名がISSに滞在しており、次の2名がコールサインを持っています。
   UA9AD/R3MIR Yuri Usachev
   KC7NHZ Susan Helms

  ISSのアマチュア局のコールサインと運用周波数は次の通りです。
   コールサイン:RZ3DZR、R0ISS、NA1SS、DL0ISS
  FM音声のアップリンク周波数は、日本ではバンドプランに合致しないため
 対応が考えられています。当面は、FM音声のアップリンクはしないで下さい。

  ARISSの情報は、以下のサイトから得られます。
    http://ariss.gsfc.nasa.gov/


2.調整中の衛星

●SNAP-1
  SNAP-1は、OBC(on-board computer)ソフトがないため、マニュアルで衛星
 を制御しなければなりません。また、小型衛星であるため、電源に余裕が無
 く、コマンド局(英国 サレー大学)の可視範囲でのみ、ダウンリンクをオ
 ンにしています。
  ダウンリンクは、2430MHz 100mW、38.4kbpsですが、2.4mのディッシュで
 良好に受信できているそうです。
                                          [from G7UPN Chris @amsat-bb]


▲KO-23
  10月30日にOBCがリセットされ、未だ復旧していませんが、変調の掛かっ
 た信号を送信しています。


▲PO-34(PanSat)
  スペクトラム拡散の運用が予定されていますが、未だ運用されていません。
  PanSatの情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sp.nps.navy.mil/pansat/


●SAUDISAT-1A(SO-41)、SAUDISAT-1B(SO-42)
  現在、管制局(リヤド、ワシントンDC、デンバー)の可視範囲でのみダウ
 ンリンク(9600bps)がオンにされ動作確認がおこなわれています。


★AO-40(P3D)
  現在、アップリンクUバンド・L1バンド、ダウンリンクS2バンドで試験運
 用がおこなわれており、多くの局がQSOに成功しています。
  MA=134から240までトランスポンダがオンしています。運用周波数は次の
 とおりです。なお、ダウンリンクの強さは、ミドルビーコンより10dB低く
 なるようにアップリンクのパワーを調整して下さい。
   S2バンドダウンリンク: 2401.210 - 2401.495 MHz
   MB         : 2401.323 MHz
               (±5kHzの範囲はダウンリンク禁止)
   L1バンドアップリンク: 1269.496 - 1269.211 MHz
   Uバンドアップリンク : 435.780 - 435.495 MHz


  5月1日に、12月の事故後、初めてRUDAKの試験がおこなわれました。
  0419zにRUDAKがオンになり、RUDAKがオンになっても電力には余裕がある
 ことがコマンド局のW4SMによって確認されました。
  その後、1400zから1615zに掛けてRUDAKチームのWD0Eにより、RUDAK-Aに関
 する試験(2401.72MHzのダウンリンク、リアルタイムクロックの設定、変調
 度と周波数の測定など)がおこなわれ、機能の一部の正常動作が確認されま
 した。
  5月3日には監視制御用のタスクがロードされ、RUDAK-Aのテレメトリが
 2401.72MHz 9600bps FSKにて送信されるようになりました。テレメトリの数
 値は、RUDAKが健康であることを示しています。
  RUDAKは沢山の機能があり、確認に時間が掛かります。当面、RUDAKは、機
 能確認の試験のためにオンされます。RUDAKがオンになっていても正式なア
 ナウンスがあるまで、RUDAKへのアップリンクは控えて下さい。

  5月5日0800zにトランスポンダの試験運用が始まりました。モードは、ア
 ップリンク Uバンド・L1バンド、ダウンリンク S2バンドです。MA135から
 MA240までオンになっています。
  運用に際しては、S2ミドルビーコンに妨害を与えないよう、ビーコンの
 ±5kHzの範囲でのダウンリンクを禁止しています。ビーコンに妨害を与え
 る場合はトランスポンダの運用が停止されます。
  運用周波数は次のとおりです。
    S2バンドダウンリンク: 2401.210 - 2401.495 MHz
    MB         : 2401.323 MHz
                (±5kHzの範囲はダウンリンク禁止)
    L1バンドアップリンク: 1269.496 - 1269.211 MHz
    Uバンドアップリンク : 435.780 - 435.495 MHz

  初日は日本からは窓がありませんでしたが、5月7日朝には良好な窓があ
 り、国内QSOはもとよりヨーロッパとのQSOができています。5月8日には
 JH2ESW 五島さんがSSTVのループテストに成功されています。従来の衛星に
 比べてQSBが少なく、良好な画像が受信できたとのことです。
  トランスポンダの試験運用は、次のマイルストーンであるアークジェット
 モータにより近地点高度変更までの約10日間継続しておこなわれる予定です
 (5月14日現在、試験運用終了のアナウンスは有りません)。
  この間、スクイントアングルとウインドウが良好な場合には、Uバンドと
 Vバンドの送信機の試験も検討されています。

  5月12日にはLEILA(LEIstungs Limit Anzeige)の動作が試されました。ミ
 ドルビーコン(MB)より強力な局があり、UバンドのAGCは16dBにもなってい
 ました。コマンド局は、LEILAをSCAN/JAM/NOTCHモードとし、動作点をゼネ
 ラルビーコン(GB)の強さに設定しました。そして、見事にアリゲータの排
 除に成功しました。
  LEILAは、強力な局を見つけると、そのダウンリンク周波数で警報音を発
 します。送信出力が下げられない場合は、ノッチが働きダウンリンクを排除
 します。
  衛星通信では、ダウンリンクの強さをビーコンの強さ以下にするとされて
 いますが、AO-40のS2バンドのMBはGBより8dBも強くなっています。AO-40の
 ダウンリンクの基準はGBの強さ以下です。自分のダウンリンクは、MBより
 10dB低くなるように送信出力を調整して運用してください。LEILAのお世話
 にならないように注意して下さい。

  Xバンド送信機の試験が5月13日0411-0600zにおこなわれましたが、残念な
 がら動作確認ができませんでした。Xバンドのモジュールに電力が供給され
 ていないように見えており、28V電源もしくは電源制御系の問題と考えられ
 ています。更に調査をおこない原因を究明する予定です。
  この試験で、Cバンドの受信器がS1バンドの送信機に接続されましたが、
 Cバンド受信器のAGCは20dBという異常値を示しており、Cバンドの受信器も
 動作確認できていないようです。


  テレメトリ解析ツール P3T のVer1.4cが、テレメトリデコードソフト
 AO40Rcv のVer1.3xがそれぞれリリースされ、以下のサイトから入手できま
 す。
    P3T    : www.cstone.net/~w4sm/software2/P3t_AP.zip
    AO40Rcv: www.qsl.net/ae4jy/ao40rcv.htm 


  AO-40のテレメトリデータがamsatのサイトで公開されています。
    http://www.amsat.org/amsat/ftp/telemetry/ao40/
  P3Tでデコードしたテレメトリデータを ao40-archive@amsat.org へZIP形
 式の添付ファイルとして送付するように求めています。
                                            [from VP9MU Pau @amsat-bb]



3.運用を停止している衛星
▲DO-17


▲WO-18


▲IO-26
  運用を停止しているようです。


▲WO-39(JAWSAT)



4.これから打ち上がる衛星

●CubeSat
  東京工業大学等で開発している10cm立方のナノサテライト CubeSatが11月
 にロシアから打ち上げられる予定です。
  アップリンク 145.835MHz、ダウンリンク 437.450-437.500MHzが予定され
 ています。
   東工大CubeSatプロジェクト
    http://horse.mes.titech.ac.jp/srtlssp/cubesat/index.html
   東大CubeSatプロジェクト
    http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/cubesat/index.html
             [from 東京工業大学 此上さん、宇井さん、JG1LDV @jamsat-bb]



5.衛星に関する情報

★AMSAT Journal CD-ROM
  AMSAT-NAの機関誌、AMSAT JournalのバックナンバーがCD-ROMとして
 AMSAT-NAから頒布が始まりました。1998-2000年(Vol21-23)と1995ー1997年
 (Vol18-20)の2巻があります。価格は、それぞれ、AMSAT-NA会員が$20、非
 会員が$60です。2巻まとめると会員が$30、非会員が$90です。


★3B6RF DXペディション
  予定より遅れて5月7日から運用が始まりました。AO-10の運用は、5月9日
 07JSTから始まったようです。QRHがあるものの信号は良好でした。AO-10の
 運用設備は、2m 9エレ、70cm 21エレが使われるようです。
  運用スケジュールは、以下のサイトで公開されています。
    http://www.agalega2000.ch/
    http://members.tripod.de/kc2dma/3B6RF-SAT.html
  ログのサーチが http://www.agalega2000.ch/ でできますが、5月11日に
 確認したところ、衛星でのQSOは、SSBもCWとして登録されてしまっていまし
 た。ログシステムへの登録ミスだと思われます。
  QSLは、ビューロまたはダイレクトでHB9AGHへ。ダイレクトには、SASE
 (IRCは2枚)が必要です。
    HB9AGH  Ambrosi Fluetsch
    Lerchenberg 29, CH 8046 Zurich, Switzerland



参考
 ANS、JAMSATメーリングリスト、AMSATメーリングリスト

JN1GKZ 新井
   jn1gkz@jamsat.or.jp     http://www.din.or.jp/~m-arai/