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[jamsat-news:1432] SATINF#183 12 February 2001



衛星情報  SATINF#183   12 February 2001
                                                           JN1GKZ 新井


トピックス

◆SO-35は、運用を停止しました。



1.運用中の衛星

●AO-10
  1月中旬からダウンリンクが帰ってこない時間が長くなり、ダウンリンク
 が帰ってきてもQRHを伴った不安定な状態になっています。姿勢の関係で太
 陽電池での発電量が落ちているものと思われます。ダウンリンクにQRHが有
 ったり、FM掛かっていたら運用は控えて下さい。


●RS-12/13
  RS-12のAモードが動作しています。

  RS-12 mode-A up:145.910-145.950MHz CW,USB
               down:29.410- 29.450MHz CW,USB
               ビーコン:29.408MHz CW


●RS-15
  Aモードで運用されているようですが、ビーコンは5秒間キャリアを送信、
 2秒間停止を繰り返しているようです。トランスポンダは、ビーコンの送信
 がおこなわれている間だけオンになっているようです。


●FO-20
  夜間のパスでは、食によってUVC(Under Voltage Controler)が動作し、
 送信が一時的に停止することがあります。
  UVCとは、バッテリの過放電を防止するための回路でバッテリ電圧が低下
 すると送信機への電源供給を遮断します。
  バッテリに十分な電力が充電できなくなったために起きている現象と考
 えられます。FO-12でも同様の現象が起きていたようです。


●FO-29
  以下のスケジュールで運用が予定されています。
    2/1 - 4/2 アナログ


●AO-27
  電源に余裕がないため、昼間のパスでのみトランスポンダがオンになりま
 す。
  運用スケジュールは11月25日に次のように変更されました。
    TEPR 4=18
    TEPR 5=36
 衛星に日が当たり始めた9分後から9分間トランスポンダが動作します。
                                          [from KM4NZ Chuck @amsat-bb]


●AO-16
  週末にSバンドのビーコン(2401.143MHz)がオンになるようです。

  RBBSは再開されていませんが、デジピータがオンになっています。

  2月10日にデコードしたデータです。
    PACSAT-1>AMSAT [10-Feb-01  22:31:42] <UI>:
    February 2001
    AO-16 S-Band Tx testing will continue
    Pacsat owned and operated by AMSAT-NA
    AO-16 Command Team <WJ9F>
    
    PACSAT-1>TIME-1 [10-Feb-01  22:32:07] <UI>:
    PHT: uptime is 363/09:55:57.  Time is Sat Feb 10 13:31:56 2001


●LU-19
  CWビーコンがオンになっています。CWビーコンは12WPMのゆっくりとした
 CWで約30秒毎に送信されています。


●UO-11
  正常動作しているようです。


●UO-14
  JモードのFMリピータの運用がおこなわれています。


●UO-22
  正常運用しています。


●KO-25
  運用を停止しているようです。


●IO-26
  デジピータがオンになっているようです。


▲TO-31(TMSAT-1)
  全日照の期間に入り、温度上昇を抑えるために送信機を停止しています。
                                          [from G7UPN Chris @amsat-bb]


●GO-32(TechSat-1B)
  断続したビーコンが送信されているようです。


●SO-33(SedSat-1)
  テレメトリを送信しており、SGS20というソフトでデコードすることがで
 きます。SGS20は、
    http://uah.seds.org/projects/sedsat/SGS20Source.zip
 から入手できます。


●SO-35(SunSat)
  1月19日1522zを最後にコマンド局との通信が途絶えました。その後、復旧
 に努めていますが、2月1日現在、SO-35からの応答はなく、SO-35に障害が発
 生した可能性が高いと、コマンド局から発表がありました。
  SO-35は、5ヶ月にも及ぶ全日照のため、搭載しているNiCdバッテリが過充
 電され、NiCdバッテリのメモリ効果のために充電容量が極端に少なくなって
 しまいました。このため、食の期間にはOBCがリセットされる現象が発生し
 ました。そこで、1月中旬よりバッテリの強制放電などによるメモリ効果の
 解除作業がおこなわれ、バッテリの充電容量は復旧しました。しかし、運用
 を再開しようとしていた矢先、コマンド局は、SO-35と通信できなくなって
 しまいました。
  障害の原因として、以下のものが推測されています。
   (1)複数箇所の故障
   (2)バッテリセルまたはメインパワーダイオードの故障による電源バ
      スの障害
   (3)浮遊物(スペースデブリ)との衝突

  SO-35は、1999年2月23日1029zに打ち上げられてから通信が途絶えた2001
 年1月19日1522zまでに696日間動作し、地球を10027周しました。
  この間、多くの成果を上げてきましたが、その1つにアマチュア局用のFM
 トランスポンダの運用があります。従来の衛星に比べて容易にアクセスでき
 ることから、ビギナーからベテランまで、沢山の局がSO-35を介しての交信
 を楽しむことができました。AO-13無き後、衛星通信を再び活性化した衛星
 と言っても良いでしょう。日本でからアクセスできたのは、わずか15ヶ月
 でしたが、印象の強い衛星でした。

  日本でのSO-35を介しての1stは、1999年10月16日1040JST JA4GVA-JN1GKZ
 でした。

  SunSatの情報は、次のweb siteから得られます。
    http://sunsat.ee.sun.ac.za
    http://esl.ee.sun.ac.za
    http://www.jamsat.or.jp/oscar/sunsat/mirror/


●OO-38(OPAL)
  ビーコンを送信しているようです。


●Tiungsat-1
  38400bpsの運用がおこなわれています。普段はダウンリンクは、オフにな
 っていますが、地上局からのコマンドでオンにすることができます(WiSPで
 サポート)。ダウンリンクの出力は8Wで良好に38400bpsの信号がデコードで
 きているようです。

  ダウンロードしたCCDカメラの画像がJE9PEL 脇田さんのwebサイトで公開
 されています。
    http://www.asahi-net.or.jp/~EI7M-WKT/
                                            [from JE9PEL/1 @jamsat-bb]


●ISS
  ロシアのモジュールに対して新しいコールサイン R0ISS が12月12日付け
 で発行されました。音声とパケットの運用に使用される予定です。

  現在、次の3名がISSに滞在しており、2名がコールサインを持っています。
 U5MIRは、MIRからの運用実績があります。
   William Shepherd, Expedition commander, KD5GSL
   Yuri Gidzenko, Soyuz commander
   Sergei Krikalev, flight enneer, U5MIR
 この3名の搭乗員は、2001年3月までISSに滞在予定です。
  ISSのアマチュア局のコールサインと運用周波数は次の通りです。
   コールサイン:RZ3DZR、R0ISS、NA1SS、DL0ISS
  FM音声のアップリンク周波数は、日本ではバンドプランに合致しないため
 対応が考えられています。当面は、FM音声のアップリンクはしないで下さい。

  パケットの運用準備が進められています。コールサインは、RZ3DZRの予定
 です。初期の運用では、デジピータの運用がおこなわれます。また、ISSか
 らビーコンが2分間に1度送信されます。RBBSの運用は暫く先になるようです。
  ISSからのパケット信号をデコードするとQSLが発行されます。QSLの発行
 手順は追って発表されます。
  ISSからのパケットの信号が聞こえない場合は、アップリンクしないよう
 にアナウンスされています。
   アップリンク:145.990MHz
   ダウンリンク:145.800MHz
                                      [from KA3HDO Frank @amsat-sarex]



2.調整中の衛星

●SNAP-1
  SNAP-1は、OBC(on-board computer)ソフトがないため、マニュアルで衛星
 を制御しなければなりません。また、小型衛星であるため、電源に余裕が無
 く、コマンド局(英国 サレー大学)の可視範囲でのみ、ダウンリンクをオ
 ンにしています。
  ダウンリンクは、2430MHz 100mW、38.4kbpsですが、2.4mのディッシュで
 良好に受信できているそうです。
                                          [from G7UPN Chris @amsat-bb]


▲KO-23
  10月30日にOBCがリセットされ、未だ復旧していませんが、変調の掛かっ
 た信号を送信しています。


▲PO-34(PanSat)
  スペクトラム拡散の運用が予定されていますが、未だ運用されていません。
  PanSatの情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sp.nps.navy.mil/pansat/


●UO-36(UoSAT-12)
  437.400MHzで38.4Kbpsの信号を送信しているようです。

  UO-36の情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sstl.co.uk/


●SAUDISAT-1A(SO-41)、SAUDISAT-1B(SO-42)
  現在、管制局(リヤド、ワシントンDC、デンバー)の可視範囲でのみダウ
 ンリンク(9600bps)がオンにされ動作確認がおこなわれています。

  SAUDISAT-1A、SAUDISAT-1Bにオスカーナンバーが付きました。
    SAUDISAT-1A  Saudi OSCAR 41/SO-41
    SAUDISAT-1B  Saudi OSCAR 42/SO-42


●AO-40(P3D)
  新しい動きはありません。近地点高度が数百km変動するものの、安定した
 軌道上にあります。

  S2ビーコンが近地点付近で受信できます。
  約60度という高いサンアングルと17回転/分以上の高速なスピンレートの
 ため、サンセンサが機能せず、マグネトルーカを使った姿勢変更ができてい
 ません。サンセンサを使わずにスピンレートを下げる試みが検討されていま
 す。
  テレメトリのスピンレートはゼロを示していますが、これはサンセンサが
 機能していないためです。

  AO-40の最新状況はAMSAT-UKのwebサイトに上手くまとめられています。
    http://www.uk.amsat.org/

  クールーでの最終チェック時のビーコン実測周波数が発表されました。こ
 れらは、室温23Cでの測定値であり、温度の変化、エージング効果や打ち上
 げ時の振動などにより、変化していることも考えられます。
   BEACON    General Beacon  Middle Beacon   Engineering Beacon
    2  m            -           145.8993MHz           -
   70  cm        435.438MHz     435.588 MHz       435.838MHz 
   13  cm(1)    2400.188MHz    2400.338 MHz      2400.588MHz 
   13  cm(2)    2401.168MHz    2401.318 MHz      2401.568MHz
    3  cm      10450.975MHz   10451.125 MHz     10451.375MHz 
    1.5cm      24047.885MHz   24048.035 MHz     24048.285MHz 
                                                [from DB2OS @amsat-bb]

  AO-40のテレメトリデータがamsatのサイトで公開されています。VP9MU
 Paulさんは、ここに無いデータ(CRCCエラーのないもの)を所持している局
 は、ao40-archive@amsat.org へP3TでデコードしたAブロックをZIP形式の添
 付ファイルとして送付するように求めています。現在は、WODデータを送信
 しているので、全ブロックを求めています。
    http://www.amsat.org/amsat/ftp/telemetry/ao40/
                                            [from VP9MU Pau @amsat-bb]


3.運用を停止している衛星

▲MIR
  MIRは、3月6日に南太平洋に投棄されることが決まりました。
  投棄の作業は無人で行われるため、MIRからのアマチュア局の運用は望め
 ないようです。

  投棄の第一ステップとして軌道離脱のための燃料を積んだプログレスが打
 ち上げられ、1月27日にMIRとのドッキングに成功しました。


▲DO-17


▲WO-18


▲WO-39(JAWSAT)


4.これから打ち上がる衛星

●CubeSat
  東京工業大学等で開発している10cm立方のナノサテライト CubeSatが11月
 にロシアから打ち上げられる予定です。
  アップリンク 145.835MHz、ダウンリンク 437.450-437.500MHzが予定され
 ています。
    http://horse.mes.titech.ac.jp/srtlssp/cubesat/index.html
                    [from 東京工業大学 此上さん、宇井さん @jamsat-bb]



5.衛星に関する情報

★amsat-bb アーカイバ
  AMSAT-NAが運営するメーリングリスト amsat-bb のアーカイバがAMSAT-NA
 のwebサイトにできました。98年2月以降のメールが参照できます。
    http://www.amsat.org/amsat/archive/amsat-bb/index.html


★9M6RJT
  JE7RJZ 野田さんが2月2日から5日まで東マレーシアのコタキナバルからFM
 衛星を運用されましたが、残念ながらVR2XMT局との1QSOに終わりました。
  現地には9M6SU ドナルド氏がおられ、衛星通信の準備をされているそうで
 す。


★D68C
  DXペディション局 D68Cがコモロ諸島から2月末まで運用しています。現在
 はHFの運用をおこなっていますが、数日中に衛星のセットアップがおこなわ
 れる予定です。AO-10で窓がありますが、衛星の状態を考慮し、無理の無い
 運用をされて下さい。



参考
 ANS、SpaceNews、JAMSATメーリングリスト、AMSATメーリングリスト


JN1GKZ 新井
   jn1gkz@jamsat.or.jp     http://www.din.or.jp/~m-arai/