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[jamsat-news:1408] SATINF#180 30 December 2000



衛星情報  SATINF#180   30 December 2000
                                                           JN1GKZ 新井


トピックス

◆AO-40は、一時ビーコンを停止していましたが、S2ビーコンの送信を再開し
 ました。現在、衛星の状態を確認中で、当面、S2ビーコンのみの運用にな
 ります。

◆FM衛星、RS-13の運用が盛んです。新しい局も沢山QRVされています。



1.運用中の衛星

●AO-10
  mode-B up:435.030-435.180MHz CW,LSB/down:145.975-145.825MHz CW,USB
         ビーコン:145.810MHz キャリア

  姿勢安定化のためのスピンが止まってしまい、姿勢がふらついているもの
 と思われます。そのため、状態はその日によって違います。ビーコンを受信
 し、状態を把握してQSOに望むと良いと思います。

  遠地点が南であるためため、ヨーロッパや北米と窓が僅かになってしまっ
 ています。反面、AOS直後にヨーロッパ、LOS直前に北米との窓が数分間開け
 るのでローパワーや簡単な設備で北米とのQSOのチャンスがあります。

  12月30日にはカリフォルニアの局とQSOができました。


●RS-12/13
  mode-KA up:21.260-21.300MHz CW,USB、145.960-146.000MHz CW,USB
          down:29.460- 29.500MHz CW,USB
          ビーコン:29.458MHz CW
          ロボット up:145.840MHz CW/down:29.504MHz CW
  mode-KT
          up:21.260-21.300MHz CW,USB
          down:29.460-29.500MHz、145.860-145.900MHz CW,USB
          ビーコン  :29.458MHz、145.863MHz CW
          ロボット up:21.139MHz CW/down:29.504MHz、145.905MHz CW

  RS-13がKTモードで動作しています。2mのダウンリンク信号はとても強力
 です。アップリンクはDPでも十分なダウンリンクが帰ってきます。
  また、ロボットの運用がおこなわれています。
  ロボットのCQの後に自分のコールを送信します。ロボットがコールを確認
 すると、QSOナンバーが送信され、交信成立です。ロボットとのQSOにはQSL
 が発行されます。
  ロボットとのQSOは、以下を参考にして下さい。
  RS-13 : "CQ CQ DE RS-13 QRU 145.840 kHz AR"
  地上局: "RS 13 de (call) AR"
  RS-13 : "(call) de RS13 QSL NR0137 OP ROBOT TU SW QSO NR0137 73 SK"

  RS-12は、ビーコンの送信だけをおこなっています。


●RS-15
  mode-A up:145.858-145.898MHz CW,USB/down:29.354-29.394MHz CW,USB
         ビーコン:29.352MHz

  Aモードで運用されているようですが、ビーコンは5秒間キャリアを送信、
 2秒間停止を繰り返しているようです。トランスポンダは、ビーコンの送信
 がおこなわれている間だけオンになっています。

  12月30日1045JSTのパスではビーコンが聞こえておらず、ダウンリンクも
 帰ってきませんでした。


●FO-20
  mode-JA up:145.900-146.000MHz CW,LSB/down:435.900-435.800MHz CW,USB
          ビーコン:435.795MHz キャリア

  夜間のパスでは、食によってUVC(Under Voltage Controler)が動作し、
 送信が一時的に停止することがあります。
  UVCとは、バッテリの過放電を防止するための回路でバッテリ電圧が低下
 すると送信機への電源供給を遮断します。
  バッテリに十分な電力が充電できなくなったために起きている現象と考
 えられます。FO-12でも同様の現象が起きていたようです。

  12月28日23時JST過ぎのパスではFO-20とFO-29が同じような方向に見え、
 FO-20とFO-29の両方に同時にアップリンクすることができました。


●FO-29
  mode-JA up:145.900-146.000MHz CW,LSB/down:435.900-435.800MHz CW,USB
          ビーコン:435.795MHz CW
  mode-JD(1200bps) up:145.850, 145.870, 145.910MHz 1200bps AFSK
                   down:435.910MHz 1200bps PSK
  mode-JD(9600bps) up:145.870MHz 9600bps FSK
                   down:435.910MHz 9600bps FSK
  デジトーカ:435.910MHz

  以下のスケジュールで運用が予定されています。
    12/25 - 1/31 アナログ


●AO-27
  mode-J up:145.850MHz FM/down:436.795MHz FM

  日照時間帯にトラポンがオンになります。
  運用スケジュールは11月25日に次のように変更されました。
    TEPR 4=18
    TEPR 5=36
 です。衛星に日が当たり始めた9分後から9分間トランスポンダが動作します。
                                          [from KM4NZ Chuck @amsat-bb]


●AO-16
  mode-J up:145.90, 145.92, 145.94, 145.86MHz 1200bps AFSK
         down:437.025MHz 1200bps PSK

  RBBSは再開されていませんが、デジピータがオンになっています。
  Sバンドの運用は停止しています。

  12月30日にデコードしたデータです。
    PACSAT-1>TIME-1 [30-Dec-00  10:35:42] <UI>:
    PHT: uptime is 320/22:00:25.  Time is Sat Dec 30 01:35:33 2000
    
    PACSAT-1>AMSAT [30-Dec-00  10:35:46] <UI>:
    Happy Holidays to All
    and a Prosperous 2001
    from the AO-16 Command Team (WJ9F)
    
    PACSAT-1>LSTAT [30-Dec-00  10:35:46] <UI>:
    I P:0x1D00 o:0 l:6654 f:7171, d:1 st:1


●LU-19
  mode-J up:145.84, 145.86, 145.88, 145.90MHz 1200bps AFSK
         down:437.150MHz 1200bps PSK
         ビーコン:437.125MHz CW

  CWビーコンがオンになっています。CWビーコンは12WPMのゆっくりとした
 CWで約30秒毎に送信されています。


●UO-11
  ビーコン:145.825MHz 1200bps, 2401.500MHz キャリア

  正常動作しているようです。


●UO-14
  mode-J up:145.975MHz FM/down:435.070MHz FM

  JモードのFMリピータの運用がおこなわれています。


●UO-22
  mode-J up:145.900 or 145.975MHz 9600bps FSK/down:435.120MHz 9600bps FSK

  正常運用しています。


●KO-23
  mode-J up:145.900MHz 9600bps FSK/down:435.175MHz 9600bps FSK

  10月30日にOBCがリセットされました。復旧作業に努めていますが、まだ
 運用を再開していないようです。


●KO-25
  mode-J up:145.980MHz 9600bps FSK/down:436.500MHz 9600bps FSK

  正常運用しています。


●IO-26
  mode-J up:145.875, 145.900, 145.925, 145.950MHz 1200bps FSK
         down:435.822MHz 1200bps PSK

  デジピータがオンになっています。


●TO-31(TMSAT-1)
  mode-J up:145.925MHz 9600bps FSK/donw:436.925MHz 9600bps FSK

  BBSへの書き込みはできませんが、ディレクトリ、テレメトリデータ、CCD
 カメラの画像データのダウンロードが可能です。


●GO-32(TechSat-1B)
  ビーコン:435.225MHz 9600bps HDLC

  断続したビーコンが送信されているようです。


●SO-33(SedSat-1)
  ビーコン:437.910MHz 9600bps FSK

  テレメトリを送信しており、SGS20というソフトでデコードすることがで
 きます。SGS20は、
    http://uah.seds.org/projects/sedsat/SGS20Source.zip
 から入手できます。


●SO-35(SunSat)
  mode-B up:436.291MHz FM/down:145.825MHz FM
  mode-J up:145.825MHz FM/down:436.250MHz FM
  mode-J デジタル up:145.825MHz 9600bps、145.900MHz 1200bps
                  down:436.250MHz

  BモードのFMトランスポンダの運用がおこなわれています。FMトランスポ
 ンダが動作していないときは、Jモードでデジタルの運用がおこなわれています。

  1月14日までのスケジュールは次のように発表されています。
   12/31  1645-1459 JST
    1/ 1  1744-1758
    1/ 2  1703-1717
    1/ 3  1622-1636
    1/ 4  1722-1736
    1/ 5  1641-1655
    1/ 6  1741-1755
    1/ 7  1659-1713
    1/ 8  1800-1814
    1/ 9  1718-1732
    1/10  1637-1651
    1/11  1737-1751
    1/12  1655-1709
    1/13  1615-1629
    1/14  1714-1728

  SunSatの情報は、次のweb siteから得られます。
    http://sunsat.ee.sun.ac.za
    http://esl.ee.sun.ac.za
    http://www.jamsat.or.jp/oscar/sunsat/mirror/


●OO-38(OPAL)
  up/down:437.100MHz 9600bps FSK

  12月8日にデジピータをオンさせようとしましたが上手くいかなかったよ
 うです。



2.調整中の衛星

●SNAP-1
  SNAP-1は、OBC(on-board computer)を搭載していないため、マニュアルで
 衛星を制御しなければなりません。また、小型衛星であるため、電源に余裕
 が無く、コマンド局(英国 サレー大学)の可視範囲でのみ、ダウンリンク
 をオンにしています。
  ダウンリンクは、2430MHz 100mW、38.4kbpsですが、2.4mのディッシュで
 良好に受信できているそうです。
                                          [from G7UPN Chris @amsat-bb]


▲PO-34(PanSat)
  スペクトラム拡散の運用が予定されていますが、未だ運用されていません。
  PanSatの情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sp.nps.navy.mil/pansat/


●UO-36(UoSAT-12)
  mode-J up:145.960MHz 9600bps FSK/down:437.025, 437.400MHz

  437.400MHzで38.4Kbpsの信号を送信しているようです。

  何度か受信を試みていますが、信号は聞こえませんでした。

  UO-36の情報は以下のサイトから得られます。
    http://www.sstl.co.uk/


●Tiungsat-1
  mode-J up:145.850、145.925MHz 9600bps FSK
         down:437.325MHz 9600bps、38400bps

  11月2日からアマチュア局に解放されました。ファイルのアップロードは
 できませんが、ダウンロードは可能です。9600bpsでの運用です。
  近々に38400bpsの運用がおこなわれるようです。38400bpsの運用には電力
 を使うため、常時オンにはできません。地上局からのコマンドによりダウン
 リンクがオンになるようです。
                           [from G7UPN @amsat-bb、JE9PEL/1 @jamsat-bb]

  ダウンロードしたCCDカメラの画像がJE9PEL 脇田さんのwebサイトで公開
 されています。
    http://www.asahi-net.or.jp/~EI7M-WKT/
                                            [from JE9PEL/1 @jamsat-bb]


●SAUDISAT-1A、SAUDISAT-1B
  現在、管制局(リヤド、ワシントンDC、デンバー)の可視範囲でのみダウ
 ンリンク(9600bps)がオンにされ動作確認がおこなわれています。


★ISS
  up:145.900MHz 1200bps AFSK、down:145.800MHz FM、1200bps AFSK

  現在、次の3名がISSに滞在しており、2名がコールサインを持っています。
 U5MIRは、MIRからの運用実績があります。
   William Shepherd, Expedition commander, KD5GSL
   Yuri Gidzenko, Soyuz commander
   Sergei Krikalev, flight enneer, U5MIR
 この3名の搭乗員は、2001年3月までISSに滞在予定です。
  ISSのアマチュア局のコールサインと運用周波数は次の通りです。
   コールサイン:RZ3DZR、NA1SS、DL0ISS のいずれかが使われる予定
  FM音声のアップリンク周波数は、日本ではバンドプランに合致しないため
 対応が考えられています。

  北米では、KD5GSL局の運用が何度かあったようです。

  12月21日にイリノイ州のBurbank小学校とのコンタクトに成功しました。
 今後、多くの学校とのコンタクトがおこなわれることと思います。


★AO-40(P3D)
  一時ビーコンが途絶えましたが、現在は、S2ビーコンが送信されていま
 す。衛星の状態を確認中です。

  打ち上げ以来、Vバンドのビーコンを送信していましたが、11月29日から
 は近地点付近でSバンドのビーコンがオンになるようになりました。
  12月9日には、RUDAKの試験がおこなわれました。S2送信機を使って9600bps
 の信号が確認されています。
  12月10日、姿勢変更を終え、遠地点を50000kmにするための400Nモータの
 噴射を12月11日のオービット 50/51の近地点でおこなうことになり、必要な
 プログラムがロードされました。しかし、燃料バルブを開けるためのヘリウ
 ム圧力が無く、エンジンに点火できませんでした。12月11日のオービット51/
 52の近地点で再度、噴射が試みられ、今度は成功しましたが、噴射時間が予
 定より3分間長くなり、遠地点が60000kmになってしまいました(遠地点高度
 が60000kmになってしまったことは、今後の計画に問題を及ぼすものではあ
 りません)。
  軌道変更後もVバンドのビーコンは送信されていましたが、12月13日 1123z
 にビーコンが途絶えました。
  AO-40には、非常時に起動する「コマンドアシスト」と呼ばれるエマージ
 ェンシールーチンが搭載されており、このルーチンの起動を待ちました。復
 旧のためには、リセットを掛けることも一手段ですが、AO-40に何が起こっ
 たかを解析するための情報が消えてしまうため、リセットは最終手段です。
  「コマンドアシスト」は、通信が途絶えた場合、自動で復旧を試みるプロ
 グラムです。送信機、受信機、アンテナを切り替えて通信の復旧を試みます。
 「コマンドアシスト」の起動は、12月16日11-18z、21日2255zに期待されま
 したが、AO-40からの信号は聞こえませんでした。
  IHU-1がクラッシュしたと判断し、12月24日からリセットコマンドとVバン
 ドのミドルビーコンをオンにするプログラムのアップロードが始まりました
 が、成功しませんでした。そこで、Sバンドのビーコンをオンにするように
 プログラムを変更したところ、12月25日2145zにZL1AOX局がS2ビーコンをオ
 ンすることに成功しました。ビーコンの強さは以前と変わっていないようで
 す。
  12月26日には、ISP他のプログラムがロードされ、テレメトリの送信が始
 まりました。AO-40の状態を確認中ですが、温度センサや電流センサに異常
 があるようです。また、スピンレートが予測より早くなっており、原因を
 究明中です。
  AO-40は、当面、S2ビーコンの送信のみになります。

  ビーコン周波数(1998年8月20日発表のもの 実際と異なる場合があります)
   BEACON    General Beacon  Middle Beacon   Engineering Beacon
    2  m            -           145.880MHz           -
   70  cm        435.450MHz     435.600MHz       435.850 MHz 
   13  cm(1)    2400.200MHz    2400.350MHz      2400.600 MHz 
   13  cm(2)    2401.200MHz    2401.350MHz      2401.600 MHz
    3  cm      10451.000MHz   10451.150MHz     10451.400 MHz 
    1.5cm      24048.000MHz   24048.150MHz     24048.400 MHz 
   IR Laser                     360    THz

  YACEによって撮影された画像が以下のサイトで公開されています。これ
 は、VP9MU Paul氏がテレメトリのDフレームを収集して再生したものです。
   http://camel.campbell.edu/~hammond/ham/p3d/images/



3.運用を停止している衛星

▲MIR
  搭乗員は6月16日にMIRを離れ、無人状態になっており、アマチュア局の運
 用は停止しています。
  新しい搭乗員が乗り組むのは、MIR誕生15周年となる2001年2月が予定され
 ています。
  投棄が決まったとの話もありますが、確認できていません。

  12月26日1240JSTからMIRを管制局との交信が途絶えましたが、21時間後に
 復旧しました。原因は不明です。


▲DO-17


▲WO-18


▲WO-39(JAWSAT)



4.これから打ち上がる衛星

●Kollibri
  Kollibriというアマチュア衛星が2001年にMIRの補給船プログレスから打
 ち上げ(放出)される計画があります。テレメトリとデジタルボイスの送信
 機能を持ち、大気圏に再突入するまでの4〜6ヶ月間、運用をおこなう予定で
 す。
  http://www.iki.rssi.ru/kollibri/missija1.htm
 に詳細があります(ロシア語)。
                                        [from WF1F Miles @amsat-sarex]



5.衛星に関する情報

★STS-102打ち上げ延期
  ISSにドッキングするスペースシャトル STS-102の打ち上げが2月15日から
 3月1日に延期になりました。このため、ISSの最初のクルーの滞在期間が延
 びることになりました。
                                          [from VK5ZAI Tony @amsat-bb]

★KH0XX、KH0/W1FPU
  12月14日から17日に7L1FPU 中田さんがサイパンから衛星にQRVされまし
 た。QSLはホームコールへ。中田さんからのQSLは、既にJARLへ発送したと
 のことです。
                                                        [from 7L1FPU]

★D68 DXペディション
  2001年2月にインド洋コモロ諸島からのDXペディションが計画されていま
 す。コールサインはD68Cが予定されています。詳細は以下のサイトをご覧
 下さい。
   http://www.dxbands.com/comoros
                                       [from G3RWL Richard @amsat-bb]


参考
 ANS、SpaceNews、JAMSATメーリングリスト、AMSATメーリングリスト

JN1GKZ 新井
   jn1gkz@jamsat.or.jp     http://www.din.or.jp/~m-arai/