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[jamsat-bb:10700] 今回運用したグアムのKH2JU Danny宅について


JF6BCC 今石です。

  1993 年に初めて海外移動運用でグアムに出て、海外移動運用暦も、短いと
は言え既に9年目です。KH2JU Danny とは、私の所属する海外移動運用クラ
ブ PIRC (URL は文末署名を参照) のメンバーの紹介で初めてお会いし、以降
グアムを訪ねるたびに、色々と彼にお世話になっています。彼に会うのは今
回、実に4年ぶりだったのですが、忘れずに親しくしていただき感激してい
ます (^^)。

  さて、CQ誌などにも紹介されたのでご存知だと思いますが、彼は自宅の
シャックを、旅行者向けのレンタルシャックとして、訪問者へ便宜を図って
います。私はこのレンタルシャックの運営者と言う訳ではないので、詳細に
ついてはそちらの Web サイトをご覧下さい。
  今回、私も彼の好意で、このシャックからデモンストレーション運用を行
いましたし、旧知の仲と言うこともあって、島内観光などにも連れて行って
もらうなど、多大な親切をしていだきました。その件を ML への日記として
投稿しましたが、一部、誤解を招く表現があったかも知れませんので、補足
をさせていただきます。

Palm Tree DX Club
http://www.oguri.com/je1hja/PalmTreeDX/j/indexMain.html

1. レンタルシャックは商売ではない。

    CQ誌では、サイパンや東マレーシア、パラオのレンタルシャックと一
  緒に紹介されていましたので、PTDXC のレンタルシャックも同様のサービ
  スだと認識されている方が多いと思います。が、PTDXC の施設は商業ベー
  スのサービスとして準備されたものではなく、Danny も商売としてこれを
  運営している訳ではありません。
    高いレンタル料金を取るのだから、いいサービスをしろ、と言う気持ち
  になるかも知れませんが、高温多湿の離島で良好な無線シャックを維持す
  るのは相当の費用と時間がかかるものです。それに、パックツアーなどで
  使われている安い宿泊料金は、ホテルなどの大規模施設が、年間に大量の
  旅客が途切れず訪問するような環境にあるから実現できるものであり、多
  いとは言っても、年に十数組程度の訪問しかないレンタルシャックで、同
  じ考え方を取るのは無理があると思います。

#   現地で潜水艦ツアーに参加したり、ダイビングやフィッシングなどのア
# トラクションをすれば、日に $100〜200 は軽く飛んでいきますが、それ
# を高いとは思わないですよね。レンタルシャック代は、ホテル代なのでは
# なく、特殊な機材のレンタル料なんだ、と考えた方が適切だと思います。

    Danny は、設定されている料金が高いことは承知していますし、そのた
  め、多少無理をしてでも滞在者にサービスをしようと努めてくれる傾向が
  あります。が、それを当然だとは思わないで下さいね。おそらく彼は、受
  け取った費用から、家人や雇用人などに仕事をさせた場合の追加の労賃な
  ど、必要最低限の実費以外は引かず、全て施設の維持用にプールしている
  と思います。ガソリン代すら、自腹で処理しているんじゃないかと思いま
  すよ。本業も別にあるのですから。
    また、彼は日本語がわからないのですから、英語ができないと細かなニ
  ュアンスは伝わらないし、感謝の気持ちも伝えることが大変です。旅行者
  なら現地の旅行業者に甘えればいいことですが、Danny は業者ではありま
  せん。日常生活の細かなことまで、彼に負担をかけるべきではありません。

    個人的には、買出しや空港までの交通手段としてレンタカーを確保し、
  最初に彼の家までの道順を案内された後は、彼の手を煩わせることなく自
  力で行動する、あるいはそれが無理なら、滞在中にいっさいでかけなくて
  も済むように、最初の訪問時点で必要な食料や水を準備しておく (^^;)、
  そういう覚悟のうえで利用を申し込んで欲しい、と思います。英会話なん
 てのは度胸ですし、右側通行だって慣れの問題ですよ。
    KH2 から出れば、JA ばかりか欧米から呼ばれることは必須です。だいた
  い、海外移動運用なんて、パイルを浴びるのが目的ですよ (^^;)。そういう
  不埒者には(私も含めて)、日本語しかできない、なんて甘えは許されませ
  んぞ!。


2. WH2DX のコールサインを使うには条件がある。

    今回、私が WH2DX のコールサインで運用したことから、彼のシャックで
  WH2DX を使っての運用を希望する方が出てこられるかもしれません。PTDXC
  のクラブ局のメンバーである(になる)事と、Danny がそれを了承するこ
  とが条件だ、と言うのはもちろんですが、その他にも以下の2点が条件と
  なります。

    ・運用者が FCC のコールサインを持っていること。
    ・QSL info に混乱を来たさないこと。

    JA 免許をベースにした相互運用協定では、現地のクラブ局を運用するこ
  とはできません。FCC のルールでは幸い、JA で使っているリグを条件にし
  てはいないので、現地ハムのシャックを借りて(無論、日本の免許の範囲
  内で)運用することは問題ありませんが、FCC 管轄のコールサインでの運
 用までは行えないのです。ゲストオペ、と言う方法も無くはないのですが、
  コントロール・オペレータの監視が必要であるなど、WH2DX の構成員に負担
  を強いる事になります。
    衛星の場合は VHF 帯以上が対象ですから、RS-13 の KT モードなどの特
  殊なケースを除いて、初級の technician 級であれば十分ですが、いずれに
  しても試験を受けて、FCC からの免許を取得することが必要です。ちなみに、
 FCC 免許を初級でも取得すると、JA 免許による相互運用協定での運用は失
  効してしまいます。HF でバリバリ運用したければ extra 級を取らなくては
  なりませんゾ。HF も衛星もやりたければ、JA 免許のままが無難です。

    また、WH2DX で大量の交信をした場合、QSL Info をどうするかの問題が
  発生します。そのままだと Danny 宅に大量の SASE が届いてしまいますが、
  かと言って DX News などに QSL Info を流しても、実際にはそれに従って
  くれないのが実情です。衛星の場合は、比較的 QSL Info を尊重してくれる
  ので助かりますが…。
    加えて、WH2DX の運用者はコロコロ変わりますから、QSL Info はその都
  度変えなくてはなりせんが、一度1つの情報が流れてしまうと、それが一
  人歩きしてしまう危険性が多々あります。他人の運用時の QSL 請求が自分
  のところに、逆に自分の運用分が Danny や他の運用者のところに行ったり
  してしまう問題を回避できなくてはなりませんが…。妙案はなかなか無い
  のです。
    私の場合は衛星のみの QRV ですし、衛星に関しては HF や 6m の DX と
  は別の情報網がありますから、混乱は発生しないでしょう。しかし、上記の
  ことを考えると、安易に WH2DX での運用はすべきではないと思うんですよ
  ね (--;)。自分でやっておいて何ですけど。

    FCC の資格試験は、基本的にはアメリカ国内で行われているものですが、
  ボランティア試験 (VEC) 制度と、試験の実施地および試験官の国籍に制限
 がないことなどから、日本国内でもいくつかボランティア試験官(VE)チーム
  が活動しています。興味のある方はお問い合わせください。
    ただし、FCC 資格に合格してしまうと JA 免許による相互協定での運用
  は失効します。上級を取らないと、特に HF 帯での運用は不利になります。
  最終的に extra 級まで取る気概を持って、試験に臨んで下さい。また、受
 験には、FCC からの連絡先として使用できる、アメリカ国内の郵便住所が
  必要です。過去にこの Mailing Address を巡ってトラブルが多発したこと
  から、日本国内の VE チームは、郵送住所については一切便宜を図りませ
  んので、米国内に親しい友人を作るか、郵便物転送サービスと契約するな
  ど、自力解決が必要になります。


  以上、ちょっと長くなりましたが補足します。

  成田や関西からだと、グアム行きは夜行便がありますし、私が今回利用し
たように、接続便を使って福岡などの地方空港から夕方出発することも可能
です。金曜にちょっと早退し、月曜にちょっと遅刻することが可能なら、週
末だけグアムで過ごすと言う旅行も簡単にできます。
  テロ事件以降、航空券もずいぶん安くなりましたから、グアム旅行を計画
して、彼のレンタルシャックを利用したい、と言う人も増えると思いますが、
その際には、以上のことをご考慮いただたきたいと思います。

# 私も、この際、PTDXC の構成員に正式に加えていただこうかと考えており
# ます (^^)。

  なお、この文章については、そのままの形で利用される限り、海外移動関
連の情報網への、自由な転載に同意いたします。

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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
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