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[jamsat-bb:9632] 2.4GHz-Helix4に関するQ&A


みなさま

 とある方から、私のホームページ、
http://www.asahi-net.or.jp/~ia6m-isk/
に掲載してある2.4GHz用軸モード・ヘリカルアンテナ4号機について
ご質問をいただきました。同様な質問をお持ちの方もいるかと考え、
回答をこのbbにも書き込みます。だいぶ長くなってしまいましたので、
興味のない方は読み飛ばして下さい。

Q1. 6mmのテフロン支持棒はどこで入手可能でしょうか。

A1.このテフロン棒は、秋葉原ラジオデパートのマルカ電機工業にて
購入いたしました。以前は、地下1階にありましたが、今は2階に移転
しています。おそらく在庫はなく取り寄せになると思います。
 我が家にもここから購入したものがありますので、JAMSATの定例ミーティ
ング等において実費でお分けすることは可能です。が、
 このテフロン棒は1m=1000円と高価です。最近、この代替品を
見出しました。それは、直径約6mmx長さ30mmの中空スペーサです。
中心部にM3ネジが通過可能に貫通孔がある白色のプラスチックです。
 材質は不明ですのでこのプラスチックの誘電体損がどの程度あるのかわ
かりません。テフロン棒の半分程度の価格で入手でき、ありがたいことに
あらかじめ30mmの長さにきちんと切りそろえてくれています(hi)。
 長さが30mmと使用目的にぴたっりですので、5号機(ホームページ未掲載)
から使用しています。購入場所はラジオデパートの通りを先に行ったところ
にあるネジなどを扱っている西川電子部品で、店頭においてあります。
 注意する点は、この中空スペーサの外径が実際には5.8mm程度しかあり
ませんので、6mmのドリル刃を使用して穴をあけるとゆるくなって固着力が
生じません。5.8mmのドリル刃を使用して穴をあけるのが適当だと思い
ます。0.1mm単位のドリル刃は、秋葉原の富士無線電機の通り手前のヒ
ロセテクニカル(だったかな?。角にある工具等を扱っている店です。)で
安価に入手できます。

Q2.マッチング用アルミ板ですがこれは幅10mmでよろしいでしょうか。
  また円周長はどの位にするのでしょうか。
  また微調整はどこをいじくればよいのでしょうか。(1992.2 CQ誌のは
  よく分かるのですが)

A2.私のホームページに掲載した4号機においては、幅10mmとして
ありますがヘリカル線側の間隔が大きくなりすぎますので、8mm幅くらいの
方が良いように思います。この場合は間隔を計算しなおす必要があります。
コネクタ側を50オームに、ヘリカル線側を140〜150オームとして、
このインピーダンスになるような間隔にします。
 幅が8mmの場合は、コネクタ側の間隔は1.7mm、ヘリカル線側の間隔は
11.5mm程度になります。
(めんどうな計算も今ではエクセルのシートで一瞬で計算できますね。)

 1/2波長・指数関数型テーパーマッチングという名前のとおり、
マッチング用アルミ板の長さは、1/2波長にします。2400MHzでは
長さは、62.5mmになります。アルミ板の中心の長さがこの長さになる
ようにしました。ヘリカルの周囲長は約1波長ですので、半円周の長さとなり
ます。

 微調整は、マッチング用アルミ板と、反射板との間の間隔をSWRが低く
なるように調整します。きちんと調整すればSWRは1.1程度になるはず
です。反射板側の組立体を回転させながら軸方向に前進・後退させて間隔を
調整いたします。

 CQ Ham Radio 1999年2月号に発表したヘリカルアンテナ3号機においては、
Qマッチを踏襲してテーパーマッチング部の長さを1/4波長としましたが、
図6に示されているように、低い周波数(2400MHz)より高い周波数
(2440MHz)の方がSWRは低くなっています。Phase3D用には、低い
2400MHz側で低くなるようにすべきですので、最適化できていないこ
とは明かでした。
 諸外国の文献やウェブサイトにおいて、軸モード・ヘリカルアンテナのマ
ッチング部の長さは殆ど1/4波長程度となっています。
 マッチング用ストリップを使用して、ヘリカルアンテナのインピーダンス整合
を行うことを最初に提案したのは、ヘリカルアンテナの元祖であるクラウスさん
です。
JOHN D.KRAUS, A 50-Ohm Input Impedance for Helical Beam Antennas, IEEE
TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION, VOL.AP-25,NO.6,NOVEMBER 1977, 
page913.
 この文献において、マッチング用ストリップの長さは、ヘリカルの中心軸から
円周部に至る1/4波長より短い伝送路になっています。その長さについては
特に記述されていません。
 ところで「この1/4波長は、誰がどのような理由で決めたのだろう」と自問
しました。Qマッチは、1/4波長、あるいは、その奇数倍とすることを承知し
ていましたが、テーパーマッチングの最適長については知りませんでした。
 そこで、いろいろと文献を調べてみた結果、下記の文献にいきあたりました。
通常、入手し易いのは、文献1と9だと思いますので、この本を専門書店、ある
いは図書館でご覧になって下さい。

1. 中島将光「マイクロ波工学」pp.191-192 、1975年、森北出版 
2. 石井宗典,東生造,青木敏夫,大井国夫「マイクロ波回路」pp.185-189、昭和44年、
日刊工業新聞社 
3. 小口文一「通研叢書1 マイクロ波およびミリ波」pp.324-332、昭和39年、丸善 
4. HENRY JASIK, Editor "ANTENNA ENGINEERING HANDBOOK" 31.4.TAPERED LINES,
Chapter 31 IMPEDANCE MATCHINNG AND BROADBANDING, 1961, McGRAW-HILL 
5. R.E.Collin "Foundations for Microwave Engineering" 2nd edition ,
pp.370-393, 1992, McGRAW-Hill 
6. A.F.HARVEY "MICROWAVE ENGINEERING" pp.39-45, 1963, ACADEMIC PRESS 
7. "THE ARRL ANTENNA BOOK" 18th Edition, p.26-5 
8. David M. Pozar "Microwave Engineering" 2nd edition , pp.288-295,1998 ,
 John Wiley & Sons 
9. 岡田文明「マイクロ波工学 基礎と応用」pp.110-111 、1993年、学献社 

 これらの文献を参照すると、インピーダンス・テーパーの傾斜を指数関数形する、
そうすると1/2波長のところに反射係数の第1ヌル点が生ずることがわかりま
した。 私の得た結論は、私の目的にかなうテーパーマッチング部は、
1/2波長・指数関数形テーパーマッチングであるということです。
 実際にこのテーパーマッチングをヘリカルアンテナに適用したところ、SWRが
バンド全体で1.1になりました。そこで、1999年3月に開催されたJAMSATシ
ンポジウム99で発表しました。

 課題は、このテーパー部を低損失で作ること、誘電体として空気(比誘電率1)
を使用しており、テーパー部に雨水や雪が入るとインピーダンスが変わるので防水
することです。
 
Q3. 2.4GでのSWRの測定にはどこの測定器をお使いでしょうか。
(私のは1.2Gまでしか測れません。周波数が高くなると言うことは大変お
 金がかかると言うことなのですね。)

A3.私は、2.4GHzのSWR測定に、BIRD社の43型通過形電力計を使用し
ています。本体の他にプラグイン・エレメントが必要で、私は最初に、5Wエレ
メント(型番:432-28)を購入しました。
上記のごとく1/2波長・指数関数型テーパーマッチングを採用することにより、
SWRを1.1以下にすることができることがわかりましたので、1.1以下を
精確に測るために100mWエレメント(型番:430-182)を追加購入しました。
 BIRD社の製品カタログは、
 http://www.bird-electronic.com/
から入手可能です。私にとってもこのBIRD社の機器は高価でしたが、購入当時に
他に適当なものが見あたりませんでしたので思い切って買いました。高いだけの
ことはあり、パワー値の読み取りが容易で信頼性があり、良い製品だと思います。
hpの表示ある高価な測定器などに比較すれば安価です(HI)。

 測定対象のアンテナ、送信機、電源等をお持ちいただけるのであるならば、
JAMSATの東京エリアミーティングにて私が上記の測定器を持参してSWR測定
会を開催することは可能です。

Q4.マッチング用アルミ板は調整が終わったら多分アルミ半田でエレメントに
溶着するのかと思うのですが調整中はどういう風にしておかれましたか。

A4.マッチング用アルミ板は、指数関数形風に湾曲させて、両端をエレメント
に巻き付け、かしめた後、アルミ半田でエレメントに付けます。その後、SWRを
測定しながら反射電力が少なくなるよう、反射板との間隔を微調整しました。
 
Q5.エレメントは44mm直径の螺旋ですが、これはどうやって巻かれたのでしょ
うか。35mm直径位の物に巻き付ければこのくらいになるのかなとは思っています
が・・・(まだ材料が手元にあるわけではないのでただ推測しています。このく
らいの工夫は作るならしなければいけないのかも知れませんが。)

A5.私は、2号機の透明アクリル樹脂パイプ(外径40mm)が手元にありま
したので、これに巻き付けて螺旋を形成しました。透明アクリル樹脂パイプは
意外と高価です。外径40mm程度の筒状のものであれば何でもOKですので、
紙筒、スプレー管、塩ビのパイプ等身近にあるものから探してみて下さい。

井関守三 JH1CMP 2001/09/16
jh1cmp@jamsat.or.jp

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