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[jamsat-bb:8794] 目的の近地点高度?@AMSAT-bb


JF6BCC 今石です。

  AMSAT-bb で Edward R. Cole が、AO-40 の軌道に関する話題の中、こんな
ことを書いていました。

  "Amsat-DL indicates that the initial arc-jet boost will only raise
   perigee by about 200 km." 
  (AMSAT-DL によると、初期のアークジェットによる軌道変更は近地点を
    たった 200km 上げるだけだ)

  この原文がどこにあるのかと、AMSAT-DL のサイトを探してみたのですが、
見つけられませんでした。

  I8CVS Domenico によれば、アークジェットモータが持つ全加速力は 470m/s
(500時間分) で、パワーこそ 400N モータの四千分の一ですが、加速力のトー
タルでは 400N の 1,100m/s の 42% に過ぎない計算とのことです。この数値
から考えれば、近地点高度をたった 200km しか上げられないパワーしか無い
とは思えないのですが、どうやら Ed はそれを心配している様子の文面です。
  個人的には、トータルの加速力に遜色は無くても、時間あたりの加速力が弱
い (0.1N) アークジェットは、例えば、遠地点付近で1周期ごとに1時間の運
転を 20周期続けたとしても、トータルで 18.8m/s 程度の加速力にしかならな
い計算です。それで「initial boost」は 200km 程度しか上げられないのだ、
と言うことだと思っていますが…。

  で、疑問点と言うのは、アークジェットモータによる噴射で目指す近地点高
度はどこなのか?、と言うことです。

  現状の軌道でも長期間安定して動作すると聞いていますし、オムニアンテナ
が機能しない現状では、衛星が近地点付近を通過する時間は短い方が適切で、
その意味では近地点高度を上げる必要性はさほど無いのかな、と思っています。
ただし、「冬眠」中に発生した例の「ひきずり」効果の問題があり、太陽電池
を展開すればその効果はおそらく大きくなるでしょうから、それを避けるため
にある程度は近地点高度を上げなくてはならない、と言うところではないでし
ょうか。
  200km 云々の原文が探せないので、そのあたり断言はできないのですが、も
しそうだとしたら、当面の目標をとりあえずそのあたりに置いて様子を見る、
ということなのかな、と思っています。

  ところで、AMSAT-bb では "burn" (燃焼・焼き)と言う用語についてちょっ
とした意見交換がありました。その中で KB0ZEV John が、400N モータとアー
クジェットモータの違いについて、こんな解説をしていました。

 「400N モータは、モノメチルヒドラジン(MMH)とニトロゲン・テトロキサイ
  ド(四酸化窒素:N2O4) を燃焼室内で混合させ、自然発火により爆発する反
    動を推進力にするので、燃焼と言うことばがふさわしい。それに対して、
    アンモニア・アークジェットは、推進剤としてのアンモニアの噴射を加速す
  るためのシステムで、噴射されたアンモニアに加熱し・プラズマ化で速度
    を上げるよう働くに過ぎず、自身が燃焼する訳ではない」

  日本語で「燃焼」としてしまうと、どちらもたいして違わないような気がしま
すが、航空機のエンジンに例えるなら、400N がエンジン本体でアークジェット
はアフターバーナーに相当するシステムなんですね。

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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
JF6BCC, KH2GR (ex. T88J, T88IY, V63BP)
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