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[jamsat-bb:8574] AO-40運用報告onOrbit#251


JF6BCC 今石です。

  木曜夜 19:47〜 金曜朝 10:18 の AO-40 のパスに、22:25〜6:50 の間ワッチ
& QRV を行いました。トラポンが on となる MA=70〜210 の 0:45〜LOS では、
明け方からヨーロッパが視界に入るチャンスがありました。

  設備:(1) マキ29エレループ八木+マキLNA+標準改造2880。受信は BS 用2
            分配器を介して FT-817(ビーコン受信) と IC-821(交信)に分配。
        (2) IC-821(5〜20W) と 435MHz 用仰角25度固定6エレ八木。

<2001/5/17〜5/18>
 - - - -
 JST   MA  Dist(km) Events
 ----- --- -------  ----------------------------------------------------
 22:25  38 37,230  帰宅。S2-MB 受信開始。CRCC OK とはなかなかならないが信
                   号は聞こえる。
 00:30  66 49,750  アンテナを1時間後の位置に向け AO40RCV を動かしたまま
                   就寝。
 02:33  94 56,750  (睡眠中)パソコンがハングアップしていた…>
 03:50 111 59,250  確認のため起きる。パソコンのハングに気づき再起動。
 03:58 113 59,440  S2-MB 受信再開。アンテナを1時間後の位置に合わせ再度就
                   寝。
 05:35 135 60,590  起床、アンテナ方位再調整。
 05:40 136 60,590  アンテナ+LNA性能比較作業 (*) 開始〜6:13
 06:07 142 60,520  パソコン再ハング!、再起動。
 06:13 144 60,480  2401.348 でイタリア語のような会話、S2-MB より数 dB ほ
                   ど低いだけで強すぎる。LEILA 警告を感じず。L-Up か?。
                   U-AGC は 13dB!。
 06:16 144 60,460  2401.430 でループテスト、RST=419 程度で弱い。アリゲー
                   タのせいか?。
 06:17 144 60,451  2401.348 で「…ウノ・アルファ・オスカ・エクスレ…」と
                   聞き取れた。ZL1AOX Ian のコールサインだろう。この強力
                   な局の誰かは、今朝、Ian の声を聞いたか、あるいは交信し
                   たのではなかろうか?。LEILA 警告無し。
 06:18 145 60,440  2401.356 で "TEST VV..." 受信、コールサイン確認できず。
 06:19 145 60,430  2401.369 で DC8TS Hardy の SSB の CQ を RS=53 で確認。
                   JH1AOY 局と交信するのをワッチ。
 06:27 147 60,360  DB8TS 局を SSB で呼ぶが、「チャーリー」のみしか届かない。
                   断念して CW で呼び、クロスモード 53-559 で交信成立。
 06:29 147 60,340  2401.370 付近で SSB で "PE…" と聞くが確認できず。
 06:31 148 60,320  2401.380 でループ、529 で良好。〜6:40 に CW で CQ を出
                   すが応答なし。
 06:40 150 60,200  出勤準備のため QRT。
 06:50 152 60,050  S2-MB 受信中断。出勤。
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  22:25〜 の前半はテレメトリのデコード率はごく低かったのですが、明け方の
遠地点付近からの S2-MB は非常に安定していて、デコード率は 95% 以上になり
ました。最終的に取得できたテレメトリブロックは 1,717、うち 68% の 1,164
個が CRCC OK でした。
  スキント・アングルが良好であれば、S2-MB の受信には殆ど苦労がありません。
3軸制御されるようになれば、軌道上の大部分の時間、同様に良好に受信できる
ようになりそうです。

  それにしても、強力なイタリア?局と、それによるものかどうかわかりません
が、遠地点での 13dB にもなろうかと言う U-Rx AGC 値にはガッカリします。早
いところ 1.2GHz でアップリンクできるようにならないと… (--;)。

  テレメトリの A/M ブロックの内容です。

M  QST AMSAT OSCAR-40       ***UPDATE***            2001-05-15  
           ALON/ALAT=6/2.  Middle beacon on continuously.       
   Experimental U/L1 ->S2 transponder activity MA 70 to 210     
    Transponder activity may be interrupted for testing!!!      
                                                                
        The AO-40 team would like your telemetry files!         
 Please "zip" compress your daily telemetry files and e-mail to:
                   ao40-archive@amsat.org                       

A  HI, THIS IS AMSAT OSCAR-40       2001-05-17  21:45:33  #017A 
+--------------------------------------------------------------+
| ALON/ALAT=6/2; EXPERIMENTAL U/L1->S2, MA 70-210;  AVOID MB!  |
+--------------------------------------------------------------+

  さて、文中に書いた LNA 性能比較作業ですが、内容し単純で、受信状態が安
定している時の S2-MB の信号を、マキ 29 エレループと標準改造 2880 の組み
合わせで、マキの LNA、某OMの LNA、LNA なしの3ケースについて比較して
みたものです。
  比較には AO40RCV を使い、スペアナ画像でそれぞれの画面キャプチャを取っ
て比較することにしました。テレメトリデータの、おそらく E か N ブロック
だと思いますが、レコードの後半で信号が 2 TONE になる数秒間が時々現れま
すので、それを比較に使用しました。

比較画像
http://plaza16.mbn.or.jp/~palau/images/s-lnacompare.gif

  気になるのが AO40RCV の縦軸1目盛りの大きさです。ソフトの説明書等に
は明記されていないのですが、FT-817 の音声出力を AO40RCV に入力しながら、
ボリュームで音量を調整し、無信号時の雑音レベルを DMM の AC 電圧レンジ
で測定してみたところ、1目盛りあたり電圧比 3.1 倍となりました。負荷が
一定だとすると、電力比は電圧比の自乗で 10 倍ずつ、つまり 10dB という
ことになります。この目盛り、思ったよりも大きいんですね。

  さて、1目盛り 10dB だとすると、LNA つきの3ケースでは S/(S+N) はど
れも 30dB は取れているが、LNA なしでは 20dB ちょいしか取れていないこと
になります。また、スペック 0.3dB の LNA と 0.8dB の LNA との差は殆ど感
じられません。これは実際に耳で聞いても違いはわからない状態で聞こえます。
  それに加えて、この画像はテレメトリ信号の中で変調がかからず、ほぼ 2
tone 状態になった時のものです。実際に変調がかかっている時は、信号が帯
域に分散しますから、ピークはもっと低くなります。だいたい1目盛り程度落
ちるでしょうか、つまり S/(S+N) は 10dB 低くなると言う勘定です。
  つまり、LNA 無しだと S2-MB の S/(S+N) は 10 dB程度、LNA ありなら 20dB
程度になる、と言う計算ですね。これは JAMSAT-bb #8535 で紹介した W3PM
の回線設計エクセルシートの出力結果と、非常に良く一致したことになりま
す。

  S2-MB は S2-GB より +8dB であり、交信はそれを上回ってはいけない、と
言うことになると、一般 QSO の S/(S+N) は、更に -10dB 程度下がってしま
う計算です。つまり、LNA ありで 10dB となり、CW には問題無いが SSB の
了解にはギリギリのレベル、LNA 無しでは 0dB、つまり雑音スレスレとなっ
てしまうので SSB はまず無理で CW がせいぜい、という結果を予想できます。
さて実際はいかがです?、これが、全くその通りなんですよね (^^;)。

  LNA ありで利得が十分にある場合、IF 段に 10dB の ATT が入っても入ら
なくても、S/(S+N) はほとんど劣化していません。親機のSメータが景気良
く振れているからと言って、耳が良くなった訳ではなく、ただ雑音が底上げ
されてメーターが振れるようになったに過ぎないんですね (^^;)。と言う事
は、親機側のダイナミックレンジを確保するためにも、親機側でSメータが
振れない程度にまで、ATT をかけてやるのが、効果的だと思います。
  ですから、LNA と IF 利得低減改造なしの 2880 を使う場合、2880 から
親機までのケーブルに低損失のものを使う意味は殆ど無く、シールドさえし
っかりして 2m 帯の混信が飛び込まない限りは、VHF-TV 用の 3C-2V 数十メ
ートルを延々と引き回したって構わない (^^;) ってことだと思います。

  いや、実に興味深い結果となりました。

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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
JF6BCC, KH2GR (ex. T88J, T88IY, V63BP)
jf6bcc@jarl.com or jf6bcc@jamsat.or.jp
<http://plaza16.mbn.or.jp/~palau/> 
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