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[jamsat-bb:8158] Re: AO-40の現状報告とサン・アングル関連の情報@AMSAT-bb


JF6BCC 今石です。

At 2001/04/25 19:04:22 S. Fukushima wrote:
> 今石さん、こんばんわ。GWはアイボールできますか。

  夕刻以降なら問題無くできるかと…。詳細はまた後日、クラブの ML で。

> alotが1回近日点を通る度に平均-2.43度ずつ小さくなっている
> ように、原文の表から見ました。それがどういった物理的意味を
> 持つのかは、私には全く分かりません。

  衛星のスピン軸が、地球の近地点を通過する度に、予想外の力によって、天頂
方向から見て時計回りの方向に 2.43 度ずつ移動している、と言う意味ですね。

  400N モータが(おそらく)使えなくなった AO-40 で、軌道傾斜角の変更を断
念して、近地点高度を上げるためにアークジェットモータを使うことになると思
うのですが、そのためにはアークジェットモータが、近地点を手前にして天頂方
向から見た時に、右側 (ALON=270) に位置するように姿勢を変更しなくてはなり
ません。
  最初の「冬眠」を抜けた時、確か姿勢は ALON=210 近辺でしたので、そのまま
半時計回りに 60 度変えれば、目的の姿勢に達するはずでした。しかし、実際に
マグネトルキングで姿勢変更を試みたところ、近地点での変化が1度程度しか得
られず、「未知の効果」によって衛星の姿勢が、時計回りに動いていて、マグネ
トルキングと打ち消し合っている事がわかった訳です。そこで、姿勢変更の方向
を反対に(時計回り)にして 210->180->90->0->270 と、遠回りながら変化率の
良い方向で、姿勢を変えようとしているのが現在です。その途中で2回目の「冬
眠」に入りましたが、冬眠中もこの「未知の効果」によって姿勢は少しずつ変化
していった訳です。

  現在の ALON は 91 と見積もられていて、これはアークジェットモータが「左」
を向いている状態です。目的の「右」とは正反対ですね (^^;)。400N モータが健
在なら、この姿勢で遠地点で噴射することで近地点高度を上げることができるの
ですが、400N モータとは正反対の面についているアークジェットモータを使うの
ですから、更に半周が必要です。
  ただし、この経路の途中では、ALON=0 を通過することになります。これは衛星
のビームアンテナが、遠地点で地球を向くと言うことですから、ビーコン受信を
含めた衛星との通信に最適な状況となります。おそらく、このあたりで衛星搭載
機器の再チェックが行われるのではないかと思いますし、各局が用意しているマ
イクロ波 S,X,Ka 帯の受信設備の能力を、実際に試すことができるかと思います。

# X/Ka 帯の受信設備を準備中の方は、急いだほうがいいかも (^^;)。

  なお、JAMSAT 総会のシンポでも解説がありましたが、アークジェットモータを
使って近地点高度を上げないと、このまま近地点高度が下がり続けて墜落してし
まうのではないか?、とお考えの方も居るかも知れません。が、その心配は無用
で、急いで近地点高度を上げなくても、太陽や月の引力によって、現在下がって
いる近地点高度はまた上昇に向い、現在のままの軌道でも今後十数年間は、墜落
する恐れが無いことが、AO-40 コマンドチームが行ったシミュレーションではっ
きりしているそうです。
 いずれにしても、太陽電池パネルが展開されないことには、トランスポンダー
の一般開放は無いのですから、我々の側が慌てる必要は無いですね。当面は ALON
=0 になる機会にどのような実験が実施されるかに注目したいと思います。

> 平均という乱暴なものでフィッティングしているので、「どの位
> その直線から離れているのか」という指標がRMS fitであると、
> 推測します。Root mean square fit(平均2乗誤差フィッティン
> グ)の略だと思います。偏差値とか標準偏差を思い出して下さい。
> そのalot=-2.43度/perigeeがガウス分布であると仮定したとき、
> その本当の値が-2.43プラス、マイナス0.52である確率は、60%位
> (数字は覚えていません)であるということを-2.43という数字
> の信憑性を与えているのです。

  なるほど、納得です。ありがとうございました。

では。
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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
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