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[jamsat-bb:7084] Re: FM衛星の運用形態についての疑問


JF6BCC 今石です。

  昨日のコメントでは、肝心な部分を外していましたね。

At 2001/01/10 22:19:56 Takayuki Kikunaga wrote:
> 衛星にアップリンクした事のない私が、初めてアップリンクするとき、CQ
> の局を呼ぶ場合はフォネティックを使うと思いますが、CQを出す場合はた
> ぶん使わないだろうなと思います。
> おそるおそる遠慮しながらショートCQで、もしコールサインをcopyし
> てくれればコールしてくれるだろうし、できなければ呼んでこないだろうか
> ら。(普通の(衛星以外の)QSOは、こんなもんだと思いますから。)
> 「相手に自分のコールが取れなくても構わない。」ではなく、「もし取れた
> らコールして欲しい。」という感じでしょうか。ビギナーの常連局へ迷惑を
> かけたくない気持ちと、衛星を使ってQSOしてみたいという期待から..

  運良く取ってもらえたなら…、と言う気持ちはわからなくもないです。
かつて私も、開局当初はCQを出すのは怖かったものです。見も知らぬ相
手と話をしようと言うのはやはり「異世界」ですからね。やってみたい、
でもいきなり呼ばれたら、どうしていいかわからないから怖い。とりあえ
ずそろ〜っと声を出してみようか…。こういう気持ち、皆さんにも憶えが
あるのでは? (^^;)。ご本人でなくても、奥さんとかお子さんに免許を取
らせた最初の QRV とか Hi。
  ただ、CQを取ろうとしている側としては、よく聞き取れないコールサ
インってのは、あまり嬉しくないものなんですよ。熊谷先生 (^^) が書か
れたように、迷惑をかけたくないと言う配慮をしてもらえるのであれば、
あとで聞き返さなくてすむように、最初から明確にコールサインをアナウ
ンスしてもらった方が、嬉しいんですよね。それに、積極的なCQと消極
的なCQのどちらに応答したいと思うか、と言う点も重要だと思います。
型どおりのQSOに満足できなくなっているベテランの方々なら、消極的
なCQより、積極的なCQの方が、面白みのある交信ができるかも知れな
い、と思うでしょうから。

  話をフォネティックに戻せば、他人の発音ってのは結構聞き取りにくい
もので、例え RS 59+ で入っていてもよく聞き取れない場合があります。
SSB/CW や AM では伝送帯域が狭いことや雑音などの問題があって、肉声に
近い声で聞けることはまずありませんが、比較的音質が良好な FM であっ
ても、やはり程度の問題なんです。
 また、例えばDを「ディー」と読む若者と「デー」と読むご年配の方々、
Vにも「ヴィ」と「ブイ」がありますね、まあ世代によって発音そのもの
にも違いかありますし、話をHFに持っていくと、Zを「ゼット」と思い
こむと英米人の「ズィー」が理解できないとか、イタリア語にはJが無い
のでGと誤解されやすいとか…、まあ、アルファベットの発音ひとつにし
ても標準は無かったりするものです。その点では、V/UHF の FM での運用
経験しか無い方だと、基本的にごく限られた範囲で似たような世代の人と
話す、と言う事情から、この辺を意識することは少ないかも知れませんね。

 で、少なくともフォネティックってのは、1語を表す情報量が多いので
聞き間違える可能性は低くなりますし、個々人の発音の違いを緩和してく
れます。
 1回の送信の時間を短くするためには、冗長なフォネティックより単純
にアルファベットを言った方が明らかに効率的です。ただし、送信する目
的が他の人と交信することにある訳ですから、結果的にもっとも効率的な
のは、最初からフォネティックで明瞭にコールサインを言ってしまうこと
だと思うんですよね。

  こう書いていて、私がCQでのフォネティック使用に拘る理由が何とな
く理解できてきました。要するに、私が入門者だったのは遠い昔 (^^;) の
ことで、しかも比較的マイナーな分野ばかりで遊んできたものですから、
自分の身の回りに、アマ無線の交信そのものが初体験、なんて人が居なか
ったことにあるんではないか、と。
  衛星も比較的マイナーな分野(失礼)ですが、その前は海外移動運用と
言うもっとマイナーな内容でしたし、それより前は転送型 RBBS のシスオ
ペ、ミニファクス、50MHz の国内 DX…。どれも、全くの初心者の方がいき
なりのめり込む世界じゃないんですよね。私が開局した 1981 年頃は 50MHz
が入門バンドと言われていましたが、すぐに主流は 2m/430MHz の FM にな
ってしまいましたし、私は 6m の AM と言うアングラな (^^;) モードに熱
中して、2m/430 に深入りすることは無かったんです。当然、そこにいる同
好の諸兄は、基本的な交信スタイルであるとか、交信を効率的に行なうた
めのノウハウであるとかは、心得ている人たちばかりな訳ですよ。
 ごく自然にフォネティックを使ってCQを出す人たちに囲まれていれば、
フォネティックなしのCQに違和感を感じるのは当然ですね。

 私の衛星の経験の基本は AO-13/FO-20 にある、と書きましたが、AO-13
や FO-20 ってのは、決して初心者向けのジャンルではありません。SSB/CW
での運用経験が必要なのは無論ですが、自分のアップリンクパワーを「適
正に抑え、他局とパワーを分け合う」必要性から、非常に厳しい受信状態
を強いられることになります。受信状態が厳しいのは FM 衛星も一緒です
が、AO-13 はそれ以上です。何しろ、ビーコン信号より自分の信号が弱く
なくてはいけないのですから…。
 反面、AO-13 は長楕円軌道の衛星ですから、数時間以上に渡って交信を
続けることができます。FO-20 は LEO ですから時間こそ限られていますが、
SSB/CW 衛星は同時に複数の人が使えます。信号は微弱だが時間には余裕が
ある、となれば、効率を考えて、コールサインをフォネティックで言うの
は、至極当然ってことになる訳です。
 で、あえてそれをしないってことは、必要無い=交信したい訳じゃない
んだよ。本当は「あー」で済ませたいところだけど、法定だから最低限の
コールを言ってるだけさ、ってな態度に解釈してしまうんでしょうね。

  しかるに、私があまり運用することのなかった 2m/430 の FM はどうで
しょうか?。今でこそアマ無線は、衰退の坂道を転げ落ちている (^^;) 状
況ですが、インターネットも携帯電話もない 15〜10 年前は、入門の主流
と言うこともあり、北九州市のような田舎でさえ大混雑でした。また、交
信は不特定多数ではなく、特定のグループ内のものが主流になっていたと
思います。つまり、交信する相手に自分のコールサインをフォネティック
で伝える必要性が、ごく少ないということですね。
  混んでいて、相手は自分の知った人間、ただ、誰が聞いているか判らな
いから「CQ」を使う…。となると、フォネティックを使わないCQって
のが当然になっても、不思議はなさそうです。そして、そういう雰囲気の
中で無線を始めた方には、それが常識に映るのが当然だと…。

  この辺が「フォネティックを使わないCQ」を話題にして、他の人から
の反応に戸惑っている理由なんじゃないかな、と思います。気がつくのが
遅過ぎますね Hi。

  フォネティックと言えば、144MHz/430MHz SSB の地上波では、珍妙なフ
ォネティックを耳にすることがあります。海外局と英語で交信する可能性
がごく低く、交信相手も限られているが、信号強度は弱いので、時間をか
けてでも確実に伝送したい、でも毎回同じでは変化が無い…。こういう事
情が、珍妙なフォネティックを編み出して「ウケを狙う」と言う方向に流
れていったのではないかな、と言う気がしますね。
 14MHz の DX では、ARRL の標準によらない、スペイン語・フランス語・
ロシア語向けにアレンジされたフォネティックを耳にすることもあります。
フォネティックに限らなくても、EME では RST レポートの代わりに TMO
レポートが使われますし、コンテストではどんな微弱な信号も RST 599 に
なると言う不思議 (^^;) が常識として受け入れられています。FM 衛星も
そうですよね、私も含めてほとんどの人は 59 しか送ってないですから。

  一口にアマ無線と言っても、かように世界は広く、常識も多様なんだっ
てことですね。と言うことで、他の「ジャンル」の常識にとらわれず、FM
衛星にはそれに適したスタイルを考えるのがよろしい、と言うことで…。

では。
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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
JF6BCC, KH2GR (ex. T88J, T88IY, V63BP)
  jf6bcc@jarl.com
  http://plaza16.mbn.or.jp/~palau/
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