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[jamsat-bb:6444] Re: トップらー効果


JF6BCC 今石です。

At 2000/11/24 19:48:30 Kuniyoshi NAKADA wrote:
> 上記の相違は,通過する距離によるものです.
> 
> つまり,
> 救急車が一定速度で遠く(1km先とか)を走ると衛星のように
> 周波数がだらだらと低くなります.
> 逆に,
> 衛星は真横をかすめ飛べば(実際はありえないが)周波数は
> 一気に下がります.

  間違ってはいないと思うのですが、通過する距離によると言う説明
は適当ではないのでは?。ドプラーシフトが発生するのは、相対速度
の存在(一定時間内に信号源が移動するから)のためですが、それが
変化するというのは、相対速度が変化するからですよね。
 「通過する距離による」と言っても、一定距離を一定時間で通過す
る方法は、その時間が十分に長くて、その間に複数の異なる速度を取
ることができると仮定すれば、無数にあるわけですから…誤解を招く
のではないかと思いました。

 例えば、救急車が相対速度一定で走行している(自分の居る場所に
一直線に近づいているか遠ざかっている)場合、救急車のサイレン音
の周波数は「一定」で聞こえます。ダラダラと上がったり下がったり
しはません。
 もちろんこれは、救急車の進行方向が、自分の居る場所を通らない
場合には、救急車が一定速度で進行していたとしても、観測者との間
は相対速度の変化が現れます。近づいているか遠ざかっているかによ
って周波数の上下は変わり、相対速度の変化が少しずつ大きくなって
いるなら、ダラダラと上がり/下がりすると思います。
  自分が事故の当事者でもない限り、救急車が自分に向かってくるな
んてことはそんなにないと思います (^^;) ので、普通はダラダラと
変化するように聞こえるかも知れませんね。

# 自分が事故の被害者だったら、救急車が来るまでは気絶していたり
# するし、音源と一緒に病院まで運ばれますから、ドップラーシフト
# は観測されませんね (^^;)。周波数の上下より、血圧と脈拍の上下
# の方が大事だし。

  低軌道衛星からのダウンリンクが、AOS から最大仰角の手前までの
間、周波数がダラダラと下がっているように観測できるのは、円軌道
衛星の移動速度が一定だからではなくて、衛星の移動する軌跡が直線
ではなく、かつ観測者の位置と離れているために、衛星が接近するに
従って、観測者との相対距離の変化量が少なくなっていくからですよ
ね。
 そして、特に仰角が高いパスの場合、最大仰角の近くでシフト量が
プラスからマイナスに2分以内に大きく動くのは、衛星が接近して相
対距離の変化が急に大きくなり、それまで減っていた距離が急に増え
る方向に変わるからですよね。これが、救急車が真横を通過するとき
に相当すると思います。真横ではないにしても、数千キロの彼方から
飛来した衛星が 500km の「近距離」を通過していく訳ですから、真
横をかすめ飛ぶと言っても良さそうですね.

 これとは逆に、AO-40 のビーコン信号の周波数は、近地点付近でな
い限り、10分やそこらの間には大きくは変化しません。AO-40 の軌
道上の移動速度は一定ではないし、移動方向は観測者の位置と交差し
ませんが、10分程度の短時間で考えた場合、観測者との相対速度が
あまり変化しないので、ビーコン周波数も大して変動しないんですよ
ね。

> 理由は皆さんが考えてみてください.大学入試「物理」レベルです.
> ヒントは速度のベクトル(向き)です.

  …「共通一次試験」世代です。なつかしいなあ。

では。
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Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市
JF6BCC, KH2GR (ex. T88J, T88IY, V63BP)
  imaishi@aa.mbn.or.jp
  http://plaza16.mbn.or.jp/~palau/
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