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[jamsat-bb:5984] Control by CALSAT


相田さん、中島さん、皆さん、こんばんは。
池田/JI1OWPです。


28日の東京ミーティングでは、MacDopplerProやSTARSを使って、
Phase 3Dで複数局で同時にラグチューをしましょう、という話題が
出ましたね。

また、CALSAT32を開発された相田さんも、
>私が作っている CALSAT32 にも、ぜひローテータやドップラーシフトをコントロール
>する機能を加えたいと思っています。
>
>また、コマンド体系が異なる複数のリグのコントロールをサポートする方法について
>の情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらご教授いただければ幸いです。
>
との予定をお持ちのようです。
そこで、STARSの試験時にお手伝いさせていただいた経験から、その辺について、
少し書き込みをしたいと思います。
もっとも、STARSを開発されたJA6SNK/1平川OMには、無茶な注文ばかり出して、と
思われているでしょうが・・・


閑話休題。
まず、当局の構成からお話します。
WinOrbit─WoStars─STARS┬─ クリエイトのローテータ
            └─ FT-847
となっています。ここで、
WinOrbitは言わずと知れた衛星追尾用フリーソフトです。まだ若干のバグがあることと
(回避策が判っているバグもいくつかあります)、16bitアプリなので、Windows2000等では
動作しないことが欠点です。WinOrbit自体は衛星の位置情報やドップラーシフト情報などを
コマンドとしては外部に出せませんが、WindowsのDDEインターフェースで、他のソフトに
情報を渡すことが出来ます。(Tracking Serverというのがそれです)

2番目のWoStarsは、毎秒WinOrbitのDDEインターフェースに情報を取りに行き、Easy Comm2
形式のコマンドに変換するインターフェースプログラムです。
Easy Comm2の仕様自体が確立されたものではないことは平川OMの昨日の書き込み
[jamsat-bb:5978]にあるとおりです。ここで、見逃してはならないことは、WoStarsでは、
WinOrbit内にある文字列をトランスペアレントに(透過的に)STARSに送ることです。
この文字列とはSTARSに対する独自コマンドで、ローテータに関するものと、衛星情報に
関するものに分かれます。
ローテータに関するものとしては、ローテータのゼロ点オフセットがあります。
私の使っているローテータでは、例えば仰角ローテータの場合、仕様から−20度〜120度
の可変範囲を持ちます。そこで、水平にしたときもローテータの位置検出用ポテンショメータ
の出力電圧は0Vではありません。水平ローテータの場合も−180度(南)でのVR出力は
ゼロではありませんでした。このため、オフセットの設定が必要になりますが、これをSTARS
では独自コマンドでやっています。
ちなみにケンプロのローテータではオフセット電圧は最初からほとんどゼロとのことです。
ここでお気づきのように。ローテータのオフセット情報などというものは、衛星追尾ソフトに
とっては無関係のものです。でも、WinOrbitでは、衛星ごとに用意された情報ファイル
(拡張子がATT(例えばFO-29.ATT))があり、その中に記述された任意の文字列をDDEインター
フェースから読めるようになっています。 

また、衛星用コマンドとしては、アップリンク・ダウンリンク周波数、モード。ダウン・
アップコンバータを使うときの局発周波数などをSTARSに送信してやります。これらの情報も、
先ほどのATTファイルに記述してやります。

さて、STARS本体では、WinOrbitから送られてきた衛星の位置情報をもとにローテータを制御し、
また各社のトランシーバのCATフォーマットに合わせた形式で、コマンドを編集して送信
しています。
ヤエスの、じゃなかったバーテックスのFT−847とSTARSの間の通信速度は9600bpsですが、
速度的にはぎりぎりのようで、周波数の変化にコマンドの送出が追いつけなくなる可能性が
あるようです。
平川OMはもっと、通信速度を上げたい意向があるようですが、FT-847の場合、その上は
57600bpsになってしまいます。もともとRS-232C(ITU-TのV.28)では規格として、速度上限を
19200bpsと決めているので、イレギュラーな使い方になってしまいます。
また、iCOM製品は外部からの制御がTTLレベルの半二重という特殊な仕様になっており、CI-V
という特殊なケーブルを使ってRS-232Cが使えるようになっています。しかし、元が半二重なので、
送受のやり取りの競合など起きないのかが心配です。
また、STARSでは、ローテータに対しては、右旋回指示、左旋回指示、上向き指示、下向き指示の
他に、クリエイトのローテータ特有のスロー信号を出力する仕様にしていただいており、位置合
わせの精度向上を考慮しています。


さて、ここまで読まれた賢明な読者は、周波数制御だけならわざわざSTARSを間にはさまなくても、
ソフト(上記の例ではWoStars)から直接トランシーバを制御できるようにすれば良いことに気づか
れたと思います。そう。WoStarsでも、FT-847とIC-821の周波数直接制御を可能にしています。
また、ローテータについてもヤエスのじゃなかったバーテックスのローテータにはRS-232Cで
直接制御できる機種がありますから、COMポートに余裕があればソフトからローテータも直接制御
することが可能です。
事実、MacDopplerPro等はその選択が可能になっています。
  
CALSAT32でドップラー補正やローテータ制御を行う場合、出力をEasy Comm 2等にして、あいだに
STARS(相当)のものをおくのか、ダイレクトに制御できるようにすれば良いのか、悩ましいところ
だと思います。
いずれにしても、各衛星ごとの情報ファイルは必要になると思います。
余談になりますが、Nova for Windowsでは、この各衛星毎の情報がどこにあるのか良く判りません。
お分かりの方がいらしたら、教えてください。

さて、ずいぶん長くなりました。
平川さん、間違っている箇所がありましたら訂正を宜しくお願いします。
私も、STARSまたは同等のシステムが普及して、ハンズフリーで複数の局と同時にQSOできる日が
早く来ることを願っています。

ではまた。


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