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[jamsat-bb:5846] Re: 衛星の偏波


中島さん、今石さん、皆様、

武安/JA6XKQです。偏波についてひとつだけコメント
させて下さい。

> > FO-29、FO-20についてはターンスタイルアンテナだそうです.
> > したがって人為的に全指向性にしており、
> > 見る方向によっては回転偏波です.
> > (参考文献;JARL News 1997年6月号P.14)
>
>   え、そうなんですか!。失礼しました。

「回転偏波」という用語が気になります。「円偏波」が
正しいのではないでしょうか?

「円偏波」を斜めから見ると「楕円偏波」、真横から
みると「直線偏波」です。それぞれ、Circular、Elliptical、Linear
Polarizationという技術用語があります。

直線偏波において、「偏波が回る」という表現を、例えば
ファラデーローテーションや反射の場面で使うことはあります。
しかし、「回転偏波」というのは初耳です。

件のFO-20と29のアンテナですが、位相給電によるターンスタイル
アンテナとのことです。ターンスタイルアンテナである本来の目的は、
円偏波の発生自体ではなく、軸と直角方向の輻射特性をOmni
(全指向)にして、衛星の姿勢変化に対する輻射特性の変化を
小さくしたいからです。

一方、アンテナの指向特性と衛星の姿勢制御方式は表裏一体です。
FO-20では衛星に磁石を付けて、地磁気に沿って姿勢が保たれる
ように(アンテナの指向特性変化が少ないように)設計されています。
この結果、太陽にさらされる面も変わることになり、熱設計としても
一石二鳥です。FO-29ではFO-20の受動的な姿勢制御から、能動的
なホイールモード(スピン安定)を採用しています。(ホイールモード
がどこまで活用されているのかは、私自身は知りません)

衛星のアンテナと姿勢制御(能動、受動にかかわらず)、そして
使い勝手はそれぞれ単独に論じることはできず、設計側もユーザー
も非常に興味が尽きない部分です。

ひとつのコメントのはずが長文になりました。:−)ごめんなさい。
皆さんの運用に即した議論を興味深く拝見しております。

武安
ja6xkq@jamsat.or.jp