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[jamsat-bb:5829] Re: 10/7のFMレピータ衛星


JF6BCC 今石です。

  雨もやみ、無事運動会も開催されました (^^;)。

# 10/8 付けの AMSAT ニュースプレテンで、P-3D の打ち上げが 11 月
# 中旬に延期されるそうですね。同居(本来の目的の?)衛星の部品
# 到着と準備の遅れが原因だとか…。

At 2000/10/09 10:04:55 Shoichi Nakashima wrote:
> 今石さんの偏波面レポートはとても参考になります.
> 手持で受信すると色々な事がわかってきますね.

  そうですね。体力だの気力だのと言うマイナス面に躊躇せずに、ち
ょっと試してみるといいですよ、皆さん。経済的には数百円程度の出
費で済むんですし。

> 理由は衛星からの電波がもし
> 右旋>水平>左旋>垂直を繰り返したとして、

  右・左旋回の偏波についてなんですが、FO-29 のようなスピンして
いる衛星であっても、そのアンテナは基本的にはダイポールのような
単一偏波アンテナであって、回転(円)偏波になっている訳ではないで
すよね。回転偏波ってのは本来、そう意識して作り出さないと発生し
ないものだと思います。

 回転偏波ってのはその1サイクルで偏波が1回転する電波で、クロ
ス八木でも位相差を使って、また軸モードのヘリカルでもピッチを調
整して、うまく1サイクルで1回転するように調整しています。で、
回転偏波の場合、旋回方向が違うと半サイクル毎に位相が反転して完
全に打ち消し合う状態となり、たぶん JH3BJN さんの言われているよ
うに、理論的には減衰量が無限大、実際にも数十 dB は落ち込むと思
います。だから、相手が回転偏波の衛星の場合、左右旋回の切り替え
が必須になるのだ、と理解しています。衛星放送なんかでも、近隣諸
国や近接チャネルと旋回方向を変えている、なんて話もききますし。
 ただ、FO-29 はスピンはしているものの、姿勢安定のためのもので
数秒間に1回といったゆっくりしたサイクルですし、UO-14 のような
Microsat はスピンしていません。こういう状態の衛星から降ってくる
電波ってのは、回転偏波になるわけではなくて、位置関係や電離層通
過時の影響などで偏波面が一定しないだけで、ある時点では基本的に
直線偏波だと思います。

 つまり、FO-29 や UO-14 のような直線偏波の衛星に対して、クロス
八木のような回転偏波アンテナを使うってのは、どう変化するか分か
らない偏波でも対応できることを狙っているだけな訳ですよね。少な
くとも、1回転するのに十数秒〜数分かかるようなケースでは、回転
偏波アンテナの旋回方向が左右どちらであるかと言うのは、あまり影
響しないのではないかと思うんですよ。
  -3dB ってのは、回転偏波(1サイクル中のエネルギーが全ての角
度に分散している)と単一偏波(特定の角度のエネルギーにしか反応
しない)とを対向させた場合に、エネルギーの半分が無駄になるから
であって、旋回方向とは無関係な数値だと思っています。

 もっとも、実際に左右旋回を切り替えて見ると違うと言う話も聞き
ますし、UO-14 などが AOS する時、手持ちの単一偏波八木では安定
して受信できる信号が、クロス八木では 8〜10Hz 程度の QSB を感じ
ますので、単純にそれだけではないようです。このあたりは実験で確
かめて見る必要があるんでしょうけど…。
 一応、うちのクロス八木も、ラジエタの向きを入れかえることで旋
回方向を変えられるようにしてありますし、手持ち八木と2組同時に
使えるようになりましたので、時間をみて誰かに協力してもらって、
じっくり試してみたいですね。

> そこで円偏波か単一偏波を選択するに
> シンプルさでは垂直と水平を切り替える方がよさそうです.
> ただし、あらゆる傾きの偏波面に対応するなら円偏波アンテナですね.

  自宅の単一偏波八木と手持ち八木とを使った経験から、水平・垂直
の切り替えだけでも十分使い物になりそうに思います。とは言え、手
持ち八木で 10W で UO-14 から返ってくる自分の信号が明瞭なのは、
ある角度の前後計 30 度くらいに限られるんですよね。つまり、水平
・垂直の切り替えだけだと、角度がその中間付近になった時に、どっ
ちつかずの弱い信号になってしまうと…。パワーが十分かけられる、
あるいは利得の高い単体アンテナが使える場合は問題にならないかも
知れませんが。
 そう考えると、最初から -3dB になるのを承知で。あるいはその分
だけ単体利得の高いアンテナを使って回転偏波アンテナを採用するの
が、結局はベストなんだろうなと思います。で、私の場合はそこまで
やる元気も資力もない (^^;) ので、好天時の移動運用に限られるけど
自分の手で信号を聞きながら偏波面をくるくる回す方式が、可搬性・
経済性もいいし、少ないパワーでも対応可能で、しかも方位と仰角を
ラフに合わせただけで使えるので、一番かな、と思っている次第です。

 もちろん、手で偏波面をのんびり調整できるのは、スピンのかかっ
ていない Microsat の FM レピータ衛星に限った話ですよね。スピン
のかかっている FO-29 でドプラーシフトを追いかけながらループテ
ストをする必要のある状況で、たった数秒に1回転でも、アンテナを
操作することなんて…無理無理 (^^;)。こういう場合には、アンテナ
では方位と仰角だけ気にすれば済むように、回転偏波アンテナにする
のが適切なんだろうなと思います。
  それに、ここ北九州市ではほとんど気にしなくても済む違法局の混
信も、首都圏〜中京〜京阪地区では依然としてあるようですから、そ
の対策として嫌でも水平偏波にしなきゃならないケースもあるでしょ
うし、逆に豪雪地帯だと水平偏波なんてとんでもないかも知れないで
すし…。

> 仰角が低くなると水平偏波が有利に思えるので、
> (衛星との距離も離れるし、地表の反射波のメリットがあるかも?)
> きちんと水平偏波のゲインは確保しておきたい.
> 水平のみだと90度偏波面が違う時の-6dBを稼ぐために
> 垂直にも切り換えられるようにしておく.

  単一偏波アンテナで偏波面が直交している場合、理論的には -6dB
ではなくて無限大、実際には数十 dB の減衰になります。どっちにし
ろ、単一偏波で固定されたアンテナの泣き所がこれなのは間違い無い
ので、改善するとしたらやはりここを攻めるべきかと思います。

  クロス八木で、位相差ケーブルを使って1本の同軸で給電するのを
やめて、2本のケーブルで、シャックあるいは切替器を入れたリモー
トボックスまで引いてくる、と言う手がいいかも知れませんね。これ
なら、一方だけ使い他方を短絡(あるいは 50ohm で終端)すること
で、水平・垂直の単一偏波で、単体アンテナの利得を最大限利用でき
ますし、シャックあるいは切替器で位相差ケーブルを使って同時給電
すれば、必要な応じて回転偏波にできます。ケーブルが2本になる分
取りまわしは大変になりそうですが…。
  あとは、八木ではなくてCQにするのも手ですよね。ディレクタと
リフレクタのループはブームから絶縁しておき、ラジエタエレメント
に2ヶ所の給電点を用意して、どちらから給電するかを切りかえられ
るようにしておくんです。これだと外観は普通のCQと何も変わりま
せんし、給電ポイントを 45 度ずつ4ヶ所用意することができれば、
45 度刻みで偏波面を変更できます。…同軸の取りまわしと切り替え
機構が更に大変になりそうですが (^^;)。

  今夜の SO-35 も。懲りずに挑戦したいと思います。自分でも他局
でも、交信が成立した場合は、皆さん、その場で拍手しましょう!。

# Parrot Repeater を実用にするためには、EME のような交信ルール
# が必要ですね。10 秒単位の送受信の切り替えが1分に三組あるの
# で、例えば、奇数分 00 秒以降の1回目は東日本の局が CQ を出し、
# 次の2回目は応答局が答え、3回目は最初に CQ を出して応答を受
# けた局が返答してオシマイ、次の偶数分では1回目に西日本の局が
# CQ を出して…てな具合に。秒単位まできちんとあわせた時計を全
# 員が用意すれば可能? (^^;)。でも、そこまでしないよね普通。
# パケットみたいにアップリンク周波数を複数用意して、ダウンリン
# クに音声を全部 MIX して降ろすほうが、まだ現実的かも。

では。

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Yoshihiro Imaishi 今石良寛  
mailto:imaishi@aa.mbn.or.jp 
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