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[jamsat-bb:4422] RE: AO-10 spin rate


武安/JA6XKQです。

小黒さん>坂本さんに便乗して質問ですが、スピンレートが小さく
小黒さん>なってゆく原因を作っている力ってなんだか分かっている
小黒さん>のでしょうか?

いえ、「これだっ!」というところにはいたっておらず、皆で議論して
いるところです。ただ、「たぶん、これかな?」という程度から推論
を始めて、定性的、定量的な解探しの状態ではないでしょうか。
知的ゲームとして楽しいものがあります。

衛星の軌道論、姿勢制御論ではこの辺りが既に論じられていま
すので、私はそれらを参考にしながら書き込みをしています。
例えば、ジャテック出版の「実践 静止衛星設計入門」は入手
しやすい参考書だと思います。「姿勢を乱す外乱トルクの性質」
という章で解説があります。

衛星に働く力で考えられるものを列挙して、それぞれの可能性を
考察するというのが本来のやり方かもしれませんが、「勘」で
もっともありそうな仮定(太陽光輻射圧)から考えている次第です。

小黒さん>私の推測ですが、多分、その力は一定ではなくて、
小黒さん>衛星の位置に関係するような気がします。やはり、
小黒さん>一番大きな力は地球と月でしょうから、その周
小黒さん>期は周回周期にあっているのではないでしょうか?
小黒さん>でも、この変化は、測定間隔が十分小さくて、精密
小黒さん>でないと現れないでしょう。間隔が大きければ、
小黒さん>積分されて、直線を描く様な気がします。でも、もしか
小黒さん>すると月の位置や距離によって変化が見られるかも
小黒さん>しれません。また日照や太陽の活動の状況に影響
小黒さん>されているかもしれません。グラフが楽しみです。

可能性の大小は別にして、小黒さんの仮定はあり得ると
思います。衛星に働く力を列挙してみると、

1.太陽光輻射圧
2.潮汐力
3.磁気力
4.熱輻射圧
5.アウトガス

などでしょうか?

1は、坂本さんの解説を参照してください。小黒さんも
指摘されている2.潮汐力。単純に考えると、スピン衛星
であるAO-10は、スピン軸を中心にしてダイナミックバランス
が調整されているはずです。したがって、潮汐力が作用
してもスピン軸回りにはモーメントが打ち消しあうはず
です。ただし、「はず」です。3拍子のQSBの原因は、分離の
際に打ち上げ機最終段が衝突してアンテナが曲げられて
しまったと推定されているように、曲がったアンテナが
ダイナミックバランスを崩しているかもしれません。おもしろい
仮定のひとつではないでしょうか?

3.磁気力は、残留磁気や先に私が書きましたマグネ
トルカ等が地磁気と作用して力を発生させるものです。
また、地磁気の中で回転するときに発生する衛星表面の
渦電流と地磁気との相互作用があります。

4.熱輻射圧は、太陽光輻射圧と同様のものです。
言葉を代えると、黒体放射です。熱である赤外線も
光ですから放射により力を発生します。例えば、
AO-10において、熱い部分があればそれが放射
圧を生じる訳です。惑星探査機のボイジャーだったか、
太陽圏の縁で謎の減速が観測されたとき、その原因
として原子力電池(正確な名称を失念)からの廃熱に
よる輻射圧が有力視されたことがありました。しかし、
AO-10にはそれほど熱い部分はないことは明白ですね。

5.アウトガスは、構成材料や推進剤タンクからの
ガス放出です。枯れたAO-10では無いでしょう。
アポロ13号では、確か冷却系からの微少アウトガスが
予想外の外乱として働き、当初それが判明せずに
生還作業で苦労したとの記述を書籍で読んだことが
あります。

坂本さん> 太陽光輻射圧のことは賛成です。
坂本さん>こんなシナリオでどうでしょう。

ありそうなシナリオですね。賛成です。数値的に的が絞れると
いいですね。(って言い出しっぺかな?)

AMSAT-DLの関係者にAO-10の各部の質量や
サイズを聞いてみると具体的な数値で議論できる
かもしれません。概略のオーダーを見積もるだけ
なら大胆な仮定だけでもOK?

James Miller/G3RUHが既に計算しているかも!?

新井さん、貴重なデータをありがとうございます。

武安
ja6xkq@jamsat.or.jp