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[jamsat-bb:3799] PANSAT情報


先月PANSATが打ち上げられましたが、この衛星については日本語になっている
情報が少ない様です。今までのデジタル衛星とは互換性が無く、スペクトラム拡散を
使用するので取っ付きにくそうな面も有りますが、次世代の通信であるスペクトラム
拡散通信を理解するのに格好の実験材料になると思います。
下にPANSATのホームページの情報を概要にまとめて日本語にしてみました。


PANSATはアメリカの海軍大学院(NPS)の学生と職員により設計・製作された衛星
で、The Petite Amateur Navy Satelliteの略です。(Petiteは日本語にもなってい
る’プチ’です。)主な目的は宇宙工学とシステムの運用の教育です。
PANSATは10月30日にスペースシャトルSTS-95(向井さんが乗っていたシャ
トルですね)から放出されて高度約550Km、傾斜角28.4度の円軌道にのりま
した。
PANSATはストア−アンド−フォワード型のデジタル通信の衛星で直接拡散方式
のスペクトラム拡散変調で転送速度は9842BPSです。周波数は436.5MH
zで送受信とも同じ周波数を使用するシンプレックス(半2重)方式です。(直接拡
散方式のスペクトラム拡散変調についてはJAMSATシンポジューム’98の予稿
集のPRUGのJJ1CEI真野氏の資料その他を参照下さい。)
通信プロトコルにはAX25を使用します。アマチュア局はこれをブリテンボード形
式で使用することができます。ビーコンモードで電波を連続して出していることはあ
りません。
当初は軍用の周波数帯を使用する計画だったそうですが、すでに過密状態にあること
や周波数の割り当てに時間がかかることから、海軍の周波数を割り当てる機関からア
マチュアバンドの使用をすすめられ、ARRLを通じて使用する周波数を決めてもら
うことにした。結果として承認のプロセスが大幅に簡単になり、教育の目的も達成さ
れました。
スペクトラム拡散は現行のFCC規則にあわせて7ビットレジスターの1と7の帰還
タップを使用した擬似雑音コード(PNコード)を使用しています。PNコードは
データと混合され拡散された信号はBPSK変調され送信機へ送られます。
PANSATは堅強な構造で安全率を高く取った設計がしてあり、多種のロケットでの打ち
上げに対応できるようになっています。
衛星は直径約19インチ、重量150ポンドで、姿勢制御装置や駆動装置は持ってい
ません。設計寿命は2年ですが、4〜6年位は稼動できる予定です。(寿命は乗せら
れる軌道の高度次第だそうですが、初めに予定されてた350Km程度の高度では
4〜6年だそうです。)衛星の構造は2段の装置がのるプレートとソーラーパネル、
それに円柱状のサポートからなります。外壁はアルミ製の18の正方形と8の三角形
パネルの組み合わせで構成されており、17の正方形パネルには太陽電池が取り付け
られており、三角形のパネルには4本のダイポールが取り付けられています。
衛星の主要なサブシステムとしては電源装置(EPS)、デジタルコントロール装置
(DCS)、それにコミュニケーション装置です。
送信機は最低でも2Wの出力が得られますが、出力を低下させることもできます。衛
星の送受信機は通常のナローバンドのBPSKに切り替えることもできます。
アンテナは4本のダイポールを持った無指向性のターンスタイルでゲインは0dbで
す。地上局は市販の15dbの利得を持ったアンテナを使用することを想定していま
す。コミュニケーション装置は市販の部品を使用して設計されており、放射線耐度の
高い部品は重要度の高い部分のみに使用されています。
電源は太陽電池で、地球の影の部分を通過するときの電力供給にニッケル・カド
ミューム電池を持っています。スペースシャトル内にあるときは衛星が活動しないよ
うに電池は空の状態にされています。放出直後は、十分な電力がチャージされるまで
スタンバイモードになっています。
太陽電池は低価格であるが十分な効率を持っているのでシリコンタイプが使用されま
す。
デジタルコントロールシステム(DCS)はM80C186XLが使用された冗長性
があるシステムです。DCSは64KBのシステムROM、エラー訂正(EDAC)
が可能なシステム用512KBのRAM、及び4.5MBのメッセージとテレメト
リーデータが保存されるユーザーメモリーを持っています。ユーザーメモリーの内の
0.5MBにはフラッシュメモリーが試験的に使用されています。
4.5MBのユーザーメモリーは冗長性を持たせる目的で2バンクありますが、テス
ト終了後にはこれを別々に使用して倍の容量としても使用できます。
地上局側の設備は通常のアマチュア局のアンテナと送受信機の他に、パソコン、TN
C、スペクトラム拡散通信用のモデム、それに特別なソフトが必要です。
コマンド局はNSPに置かれ、これも通常のアマチュア局と同様の設備が使用されま
す。ユーザー側の地上局とほとんど同じ設備で、違うのは使用するソフトに多少の違
い、たとえばコマンドするときのパスワードを入力できるとかです。
アマチュア無線家のためにハードとソフトの安価なキットを開発している様です。こ
こでいっているキットとは部品等を集めたキットの意味ではなく、ソフトウエアと
ハードの製作に関する資料集の様なものと想像します。

本日、下記PANSATのホームページで最新情報を仕入れようと思いましたが接続
できませんでした。
http://www.sp.nps.navy.mil/pansat/


平川でした

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