DOVE を S-Band で受信する

Jim White, WD0E, wd0e@amsat.org
November 5, 1997


コマンドチームは S-バンドの受信機を試験しようとする 方のために DOVE の S-バンド送信機を常に ON に保つように試 みており、一時的に off にする時には amsat-bb にアナウンス をしています。現在、S-バンド送信機は ON になっています。

DOVE の S-band 送信機は、およそ .8 ワットを +Z 面の端か ら 10cm ほどのところに取り付けられた 1/4 波長ホイップに送り 込んでいます。 衛星が北半球にある時には +Z 面は地球から遠い 側にあり、南半球上空を通過している時には、地球の側を向きま す。 赤道の北側(北半球)で聞くと、およそ 30 秒に一回信号が 弱くなります。これは衛星が Z 軸を軸として回転しており、衛星 の本体が S-バンドのアンテナを隠してしまうためです。赤道より 南で聞く信号は安定しています。

S-バンド送信機から送信されるデータは 2m 送信機と 同じ物であり、電源事情により 30秒から 1分ごとにテレ メトリと短いブロードキャストメッセージが送られます。 変調は 1200 baud PSK です。

この送信機からのデータをデコードするのはなかなか 興味深い挑戦となります。これは変調がキャリアより約 20dBのレベルにあるためです。 打ち上げの際 にキャリアの抑圧に故障が生じたことにより、キャリアが 大量に漏れて変調レベルが小さくなっています。これまで にこの送信機からはキャリアを抑圧するためにトラッキング DSP ノッチフィルターを使って、ほんの少しのパケットを デコードできたにすぎません。 このテクニックを使うには、ノイズから変調を 10dB 浮き 上がらせるために、30dB 以上の信号対ノイズ比の能力の ある受信システムと、キャリアを除去する手段が必要にな ります。

S バンド能力を試すのにお勧めできるのは、連続して送信 されているフラグ(バズ音)を受信する方法です。データが送 られた時に音色が変化するのを聞き取ることができれば、あな たの受信能力は 20dB SNR 以上といえます。 もし非常によい S-バンド受信システムをお持ちであって、キャリアをノッチア ウトできるのならば、パケットをデコードするためにその出力 信号を PSK 復調器に接続してみてください。

ドップラーシフトを追尾するのも大変でしょう。 通常、TCA においてはドップラーを追尾するために 100 Hz ステップで追い かけねばなりません。もし受信機がパケットの途中で周波数ステ ップするとまず間違いなくそのパケットは壊れてしまい受信しそ こないます。

付け加えて、近い将来に音声カードとペンティアムPCを使った この送信機のための復調ソフトが書かれて、キャリアをノッチア ウトすることなく、データを取り出すことができるようになるか もしれません。もしそうなれば、それは S-バンド受信システムを 評価するための簡単な方法となることでしょう。


This article was originally posted to the AMSAT-BB mailing list on November 5, 1997, by Jim White, WD0E, wd0e@amsat.org.